認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人を支援する「成年後見制度」の利用を促進する法律が4月8日の衆院本会議で自民、民進、公明各党などの賛成多数で可決、成立した。
認知症高齢者らの増加に対応し、担い手確保のため市民の後見人を育成するほか、選任する家庭裁判所の監督体制を強化する。
医療や介護に関する後見人の権限拡大も検討する。
郵便物の開封や、後見されている人が死亡した後の手続き代行を認める改正民法などは4月6日に成立。
今後、手術や輸血といった医療行為への「同意権」などが焦点になるが、当事者や支援団体からは「自己決定権が侵害される恐れがある」と懸念の声が出ている。
日本は2014年に障害者権利条約を締結しているが、促進法は、後見人による代行を最小限にとどめる国際的潮流に逆行するとの指摘もある。
認知症高齢者らは財産管理や介護施設の入所契約を結ぷのが難しかったり、悪質商法の被害に遭いやすかったりする。
後見人はこうした人たちの手続きを代行するが、認知症の人が400万人を超えるのに、利用は約18万人にとどまつていた。
促進法は議員立法。
後見人となる人材を確保するため市民への研修や情報提供を実施し、後を絶たない後見人による財産の横領を防ぐ目的で、家裁や関係機関による監督体制の強化を政府に求めた。
利用者増に向けた施策や目標を定めた基本計画を策定し、首相をトップに関係閣僚が参加する利用促進会議を内閣府に設置すると定めた。
また意思決定が困難になった人も医療や介護を円滑に受けられるようにするために、現在は財産管理と介護サービス契約の代行などに限られる後見人の業務拡大を検討することも求めた。
成年後見制度は2000年にスタート。
家族のほか、司法書士や弁護士、社会福祉士ら法律や福祉の専門家が後見人になることが多い。
市民後見人の育成があまりにも進んでいない。
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