帰ってきたとしさんは 一目見て やつれてる~~ ?
帰るなり
明日焼かれるところだった・・・ 喪服は紋付き袴で・・・ みんな並べられて焼く順番を決めていた・・・行ったところは葬儀屋で僕はもう明日死ぬ・・・
こんなことを 繰り返して 延々と語る
違うよ 葬儀屋ではないよ 生きて帰れてよかったね~
私も 延々と 返事をする
としさんの言い分を 否定せず かと言って 嘘は極力言わず 受け止めていく
否定したり いい加減に生返事したりすると
どうせ 信じてないじゃろう~ 馬鹿にしとるじゃろう~・・・と ドキッとするような返事が返ってくる
もう あそこは嫌じゃ 上品すぎる 葬儀屋は嫌じゃ 絶対にもう行かん
としさんは 悪口は言わない 上品すぎるという表現は、私には なんとなく わかります
以前 病院で 面会に行った私を 個室にもかかわらず 部屋に入るのを禁止 その時 私が五分でも過ぎると 追い出しに来るのですが ことばは 丁寧かつ 同じことの繰り返し
ありがとうございます もうしわけありません 規則でして 別室での面会をお願いします お帰りはエレベーターまでお送りします 失礼します
何を言っても このような 言葉の繰り返し
AI 自動音声の 人工ロボットの 声に 聞こえていた
教育されたスタッフは 失言はしない
だが 丁寧な言葉は 無機質で 心はこもっていないようにみえた
視野が狭く 右手しか使えないとしさんは
食事が 見えなくて 上手くつかめなくて こぼすことも多い
僕は 箸がへたくそじゃ~すぐこぼしてしまう
上手く食べられないとわかると ごちそうさまと言って 食事を終えようとする
介助すると 完食する
施設では 欲しくないと言って 一日目の昼食は 食べなかったらしい
その後も 4割程度の食事量だったとのこと
こぼすことを恥だと思い
食べさせてもらうことを恥だと思い
もういいです・・・といって 残す
こんな一泊二日
じっとじっと 我慢の一泊二日
死ぬと思ったらしく 葬儀場になっていった
今日は どこへも行かんよ!
この言葉が いちばんうれしい としさん