Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

講義の中で

2005年12月15日 | Weblog
ぼくはいま木曜日に三コマの講義をある私立大学で受け持っている。

大学院生ないしオーヴァー・ドクター冬の時代(極寒!)にあって、非常勤ではあっても自分の考えを講義出来る機会にめぐまれているのは、まことにありがたいことである。「美学特殊研究」という講義では、前期に笑い(機知)論を後期にダンス(優美)論を話した。来週で早くも今年の講義は終わってしまいますが、クライマックスに近くなった今日は、学生達に土方巽のダンスをじっくりみてもらうことにした。

というか、こういう機会があるとぼくもじっくりみることができる。そうすると、ああ、土方巽自身のダンスというのはやはりスゴイ。まったく古さは感じない、むしろ今のコンテンポラリーダンスがあせてみえるくらいだ。いつもいい反応をしてくれる学生Kくんも、「土方さんは、スゴいっスね、これまでのビデオは正直余り楽しめなかったけど、土方さんのダンスは先読めない、スゴイ」と開口一番。コンテンポラリーダンスの世界で踊ろうという人は、まず最初に、『土方巽と日本人--肉体の叛乱』『疱瘡譚』など見ておきましょう。美術界で生きていこうとする人が、ピカソやマティスを見ないなんてことはありえない、というような話です。幸いにも、お金を払えば(先の映像は『土方巽の舞踏』に所収)見ることが出来る時代ですから。

んー。最早先月号になってしまいましたが『美術手帖』ダンス特集でぼくが書くべきだったことは、「土方巽を我々は超えられたのか」というタイトルの論考だったのではないか、とちょっと反省してしまった。いまだ土方のポテンシャルはくみつくされていない。そのことは、これからちょこちょこ書いていくことだろう。

最新の画像もっと見る