Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

ピンク『子羊たちの遊覧船』(@銀座ペッパーズギャラリー)

2005年12月28日 | Weblog
を見た。

問題作、、、
黒沢美香をボスとする一団の若手出世頭な三人(「磯島未来、加藤若菜、須賀めぐみによる過呼吸乙女ユニット」パンフによる)。吾妻橋にも二回連続出場(前回は黒沢美香&ダンサーズとして、今回はスナッキーズのチア・ガールとして)。トヨタのショーケースでも踊るなど、注目度の高い三人。小さい会場(銀座のいわゆる画廊)ながら結構お客さん入った。
公演後、息もまだ荒い磯島氏にあいさつをする。二言三言、「あー、照明が始終明るかったのは、潔くてよかったっすねー、でもそれぞれがソロで踊るときには踊ってない二人の佇まいが重要だから、そこは何か考えないとー」なんてかっこつけて言うが、ことの本質はそこにはないことにうすうす気づいているぼく。ただあてられてしまっただけなのだ「過呼吸乙女」に、その事実に絶句、が本音。
黒沢美香的な無表情でへんてこなことするセンスと、いわゆるアカデミックな美しくキメるダンスのテクとが混在していて、その感じが表層的には特徴。猛烈なスピードで突如ターンをしたと思えばこれまた一瞬のうちに倒れ込み何ごともなかったかのようにぼーっと体育坐り、とか。二人が支えひとりがポーズをとる「組み体操」状態で下の二人が支えきれずあたふたしたり。小技を利かせる。実にアイデアに満ちている。少なくとも若い振付家・ダンサーのなかではその点、図抜けている。一時間の公演を退屈させない。もちろん、もっとこうすれば!と思うことはあるし、正直「作品」というレヴェルではなんとも言えないな、という点は否めない。けれども、だから、問題はそこではないのだ。
正直に言うと、三人はとてもかわいいのだ。そのかわいさが「ダンス」という迂回路を通って迫ってくる。これは挑発、若さというポイズン。それに防御しようと「えー、技術はいいけれどへんてこ感はヤミーダンスの方が上、、、」とか考えたりするも、その毒は、最後、観客の面前で着替えをしいつものチア・ガールというか70年代アイドルみたいな格好で、ストレートに「ピンクのテーマ」(?)みたいな曲と共にアイドル踊りをするころには、完全にからだにまわってしまっている。
技術論でどうこういうよりも、「萌え」なダンスとして正直に降参することがピンクを見るときの正しい鑑賞法なのだ。いや、ダンス的なテクの外装をまとって実は自分たちの若さというポイズンをあてつけようとするところに彼女たちのテクというか術策があるのだ、きっと。ズルい!そう、こんな嘆息に、ピンクの本領があるのだ。その点では、参りました、と言う他ない。
あと、特筆したいのは、彼女たちの毒が非常にハッピーな類のものだということ。「私」にこだわるナルシスな、自傷系だったり引きこもり系だったり「一人語り」的だったりのダンスとは無縁であること。

次作も是非こんなピンク、相変わらずなピンクがみたい。来年の注目株。

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