以前「ひとりでできる!!間接法の練習」シリーズをアップしました。
あれから2年過ぎたのですが、その後もソフトな間接法についてのご質問をいただくことが何度かあり、みなさん興味を持たれているようでした。
私は間接法をいざというときの隠し味にように使っており、メインとして用いているわけではありません。
それに知っている人の間では、激痛治療家のイメージが広がっているので、私がソフトな間接法のことを語るなんて笑っちゃうという人がいるかも。
そんな私ですが、これまでひとりで練習してきたことをお伝えしておけば、役に立てられる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は前回のシリーズを踏まえて、もう一歩ステップアップした間接法の練習をご紹介したいと思います。
まずは直接法と間接法の違いの確認から。
「直接法(direct technique)」とは、かたい方向、抵抗の強い方向、制限のある方向、動かしにくい方向に動かしていく治療手技です。
かたく縮んで制限を起こした組織を、直接伸ばしていくというもの。
これに対して、やわからい方向、抵抗が弱い方向、制限のない方向、動かしやすい方向に動かしていく方法が「間接法(indirect technique)」です。
かたく縮んだ組織をさらに縮ませて組織をリラックスさせ、それによって間接的に組織の伸張性を回復させるというもの。
間接法は、直接法と比べて穏やかな刺激がほとんどです。
穏やかな刺激で効果を挙げるというのは、それだけ繊細な感覚が求められるということでもあります。
今回の方法に入る前に、前回のシリーズで間接法のあらましや基本をきちんと復習しておきましょう。
ひとりでできる!!間接法の練習≪間接法について≫ その1
今回は、膝蓋骨周囲組織の間接法(筋筋膜リリース)を練習します。
筋筋膜リリースとしていますが、膝蓋大腿関節を操作することにもなるので、関節モビライゼーションと言ってもよいかもしれません。
まずイスに腰を掛けた状態で、膝を曲げ伸ばしし、膝蓋骨の動きの滑らかさを覚えておきます。
イスをもう一脚準備し、座面に足を乗せます。
ベッドの端に座り、片脚をマットの上に伸ばすという方法でも構いません。
このときムリして膝を伸ばさず、膝のまわりに力が入らない程度にしておいてください。
膝蓋骨を両手の示指と母指で触れて4点で固定します。
できるだけ軽く触れて固定するようにしましょう。
続いて評価に入ります。
「ひとりでできる!!間接法の練習≪筋筋膜リリース」 その4」では、手の甲の皮膚を2~3ミリ程度動かして、もっとも動きにくいを探しました。
今回も同じ方法で行ってみましょう。
膝蓋骨を上下左右斜めのあらゆる方向に2~3ミリ動かして、もっとも動きにくい方向を調べます。
動きにくい、制限の強い方向が分かれば、確認のためにその方向に最大限滑らせてみて、動きの質感と可動範囲を覚えておいてください。
ここから間接法によるアプローチに入ります。
膝蓋骨を動きにくい方向とは反対の、動きやすい方向に2~3ミリ動かして待ってみましょう。
ここで意識していただきたいのは、指先の力で動かすのではなく、身体を使うということです。
わずかな動きを操作する時は、ついつい指先の力に頼ってしまうもの。
でもそれでは、正確な評価と治療が難しくなります。
とくに間接法は、より繊細な感覚が求められるのでなおさらです。
体格が立派で体力のある方ほど、手先の力に頼りやすくなるので注意してください。
身体を使うとは大げさに動かすとこのような感じです。
尾側なら
頭側なら
わかりやすくするためにかなり大げさに動かしていますが、実際にはほとんど動かしていないかのようなわずかな動き、ただ目的の方向にほんのわずか力を加えているというだけです。
「ちいさな操作は大きな動作で」ですね。
待つ時間は、前回のシリーズでは90秒としましたのが、それでもよいでしょう。
でも慣れてきたならステップアップして、待っている間、指の感覚に集中してみてください。
組織の柔軟性が回復したサインである、リリースという現象が起こると、組織がとろけるような、あるいはわずかに膨張してやわからくなる、または温かくなるような感触を覚えます。
ちょうどパンが膨らむような感覚でしょうか。
とはいってもほんのわずかですが。
人によって感覚は異なるかもしれないのですが、とにかく組織の力が抜けていくような感じです。
それがリリースの感覚です。
リリースを感じたら、いちど元に戻して再評価します。
制限の強かった方向に、わずかに動かしてみてください。
先ほどよりも抵抗感は少なくなっているでしょうか?
続いて、最大限動かしてみてください。
動きの滑らかさ、質感、あるいは可動範囲に変化はみられるでしょうか。
可動範囲よりも質感のほうが変わりやすいかもしれません。
さいごに膝を曲げ伸ばしして、膝蓋骨の動きを確認してみてください。
はじめと比較していかがでしょう?
何らかの変化がみられたら、間接法としてアプローチはひとまず上手くいったということになります。
このような方法は私の場合、非常に過敏になっている場合に用いて組織の緊張を和らげたうえで他のテクニックに移るか、あるいは最後にはっきりした制限がないのに違和感が残るというときに使っています。
次回も同じく膝蓋骨を用いますが、さらにステップアップしましょう。
次回は5月31日(土)更新です。
あれから2年過ぎたのですが、その後もソフトな間接法についてのご質問をいただくことが何度かあり、みなさん興味を持たれているようでした。
私は間接法をいざというときの隠し味にように使っており、メインとして用いているわけではありません。
それに知っている人の間では、激痛治療家のイメージが広がっているので、私がソフトな間接法のことを語るなんて笑っちゃうという人がいるかも。
そんな私ですが、これまでひとりで練習してきたことをお伝えしておけば、役に立てられる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は前回のシリーズを踏まえて、もう一歩ステップアップした間接法の練習をご紹介したいと思います。
まずは直接法と間接法の違いの確認から。
「直接法(direct technique)」とは、かたい方向、抵抗の強い方向、制限のある方向、動かしにくい方向に動かしていく治療手技です。
かたく縮んで制限を起こした組織を、直接伸ばしていくというもの。
これに対して、やわからい方向、抵抗が弱い方向、制限のない方向、動かしやすい方向に動かしていく方法が「間接法(indirect technique)」です。
かたく縮んだ組織をさらに縮ませて組織をリラックスさせ、それによって間接的に組織の伸張性を回復させるというもの。
間接法は、直接法と比べて穏やかな刺激がほとんどです。
穏やかな刺激で効果を挙げるというのは、それだけ繊細な感覚が求められるということでもあります。
今回の方法に入る前に、前回のシリーズで間接法のあらましや基本をきちんと復習しておきましょう。
ひとりでできる!!間接法の練習≪間接法について≫ その1
今回は、膝蓋骨周囲組織の間接法(筋筋膜リリース)を練習します。
筋筋膜リリースとしていますが、膝蓋大腿関節を操作することにもなるので、関節モビライゼーションと言ってもよいかもしれません。
まずイスに腰を掛けた状態で、膝を曲げ伸ばしし、膝蓋骨の動きの滑らかさを覚えておきます。
イスをもう一脚準備し、座面に足を乗せます。
ベッドの端に座り、片脚をマットの上に伸ばすという方法でも構いません。
このときムリして膝を伸ばさず、膝のまわりに力が入らない程度にしておいてください。
膝蓋骨を両手の示指と母指で触れて4点で固定します。
できるだけ軽く触れて固定するようにしましょう。
続いて評価に入ります。
「ひとりでできる!!間接法の練習≪筋筋膜リリース」 その4」では、手の甲の皮膚を2~3ミリ程度動かして、もっとも動きにくいを探しました。
今回も同じ方法で行ってみましょう。
膝蓋骨を上下左右斜めのあらゆる方向に2~3ミリ動かして、もっとも動きにくい方向を調べます。
動きにくい、制限の強い方向が分かれば、確認のためにその方向に最大限滑らせてみて、動きの質感と可動範囲を覚えておいてください。
ここから間接法によるアプローチに入ります。
膝蓋骨を動きにくい方向とは反対の、動きやすい方向に2~3ミリ動かして待ってみましょう。
ここで意識していただきたいのは、指先の力で動かすのではなく、身体を使うということです。
わずかな動きを操作する時は、ついつい指先の力に頼ってしまうもの。
でもそれでは、正確な評価と治療が難しくなります。
とくに間接法は、より繊細な感覚が求められるのでなおさらです。
体格が立派で体力のある方ほど、手先の力に頼りやすくなるので注意してください。
身体を使うとは大げさに動かすとこのような感じです。
尾側なら
頭側なら
わかりやすくするためにかなり大げさに動かしていますが、実際にはほとんど動かしていないかのようなわずかな動き、ただ目的の方向にほんのわずか力を加えているというだけです。
「ちいさな操作は大きな動作で」ですね。
待つ時間は、前回のシリーズでは90秒としましたのが、それでもよいでしょう。
でも慣れてきたならステップアップして、待っている間、指の感覚に集中してみてください。
組織の柔軟性が回復したサインである、リリースという現象が起こると、組織がとろけるような、あるいはわずかに膨張してやわからくなる、または温かくなるような感触を覚えます。
ちょうどパンが膨らむような感覚でしょうか。
とはいってもほんのわずかですが。
人によって感覚は異なるかもしれないのですが、とにかく組織の力が抜けていくような感じです。
それがリリースの感覚です。
リリースを感じたら、いちど元に戻して再評価します。
制限の強かった方向に、わずかに動かしてみてください。
先ほどよりも抵抗感は少なくなっているでしょうか?
続いて、最大限動かしてみてください。
動きの滑らかさ、質感、あるいは可動範囲に変化はみられるでしょうか。
可動範囲よりも質感のほうが変わりやすいかもしれません。
さいごに膝を曲げ伸ばしして、膝蓋骨の動きを確認してみてください。
はじめと比較していかがでしょう?
何らかの変化がみられたら、間接法としてアプローチはひとまず上手くいったということになります。
このような方法は私の場合、非常に過敏になっている場合に用いて組織の緊張を和らげたうえで他のテクニックに移るか、あるいは最後にはっきりした制限がないのに違和感が残るというときに使っています。
次回も同じく膝蓋骨を用いますが、さらにステップアップしましょう。
次回は5月31日(土)更新です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます