少し前に「めずらしく経営のこと」というシリーズを書いたのですが、何人かの方から嬉しい言葉をいただきました。
そんなわけで調子に乗って今回は、開業準備中の頃のエピソードを通して、開業準備をされている方へエールをお送りしたいと思います。
あくまで体験談ですが、何かの参考になれば嬉しいです。
私が開業を準備したのは、札幌に引っ越してきて一年にも満たないとき。
当然ながらお財布事情は寂しいものなので、融資を受けることにしました。
融資先で選んだのは、札幌市の創業・雇用創出支援資金です。
年利が1.10%以内で、利子の支払いのみで済む据置期間は最長2年。
日本政策金融公庫(当時は国民生活金融公庫)の同じような制度では、年利が3%前後、据置期間は半年ですからこれは助かります。
売り上げがある程度上がる前に、返済がはじまるのは厳しいものがありますからね。
各自治体にも、同じような制度はあるはずです。
ただし、融資を受けるのは銀行からなので、事業計画書はよりきちっと作らなければなりません。
とりあえず、商工会議所などが主催している創業塾に参加してその雰囲気をつかみ、作り始めました。
けれども数字となったら、私はハクション大魔王。
見たら泣けてきます。
それでもウンウン唸りながら事業計画書を書き上げ、向かった先は札幌中小企業支援センター。
こちらは市の融資制度の窓口になっていて、相談無料です。
中に入り、相談した担当者は銀行OBのオヤジさん。
敬愛の意味を込めて、そう呼ばせて頂きます。
オヤジさんは、いかにもという気難しいオーラを醸し出していて、ふつうにしていても眉間のシワは取れません。
私の事業計画書をみたオヤジさんは「これじゃ全然ダメ。まったくなっていないね」とバッサリと切り捨て、精根込めた計画書はけんもほろろに突き返されてしまいました。
でも不思議と落ち込んだり、腹が立ったりしません。
むしろハートに火がついた感じ。
それからというもの、オヤジさんが担当している日をわざわざ選び、ちょこちょこ書き直した計画書を持ってセンターに訪れました。
はじめはつっけんどんだったオヤジさんも、少しずつ打ち解けはじめ「あなたみたいに熱心なのか、しつこいのかわからない人はあまりいないねぇ」と言われるように。
じつは私もこのようなクセのある…失礼しました、個性的な方が好きなのかもしれません。
オヤジさんに話を聞いてもらいながら、自分の考えを整理するような感じで相談を続けました。
そのうち世間話や身の上話、「最近、肩を上げにくくなっているんだわ」と身体の相談までされるようになりました。
これは役得ですね。
その場でちょっと拝見し、肩がスムーズに上がるようになると驚いて喜んでくれ、やがて私がセンターに行くと、ニコッと笑って手を挙げて挨拶してくれるようになったのでした。
親しくなってから、はじめはずいぶん素っ気なく対応されていたことに触れると「近頃は安易な気持ちで独立して、立ち行かなくなる人が少なくないからね。ちょっと厳しくされたくらいで滅入るようじゃ、独立なんてしないほうがいいんだよ。」
なるほどなぁ。厳しさの中にある、オヤジさんの優しさを垣間見た気がしました。
そして今となっては、オヤジさんがおっしゃる通りだと思います。
そんなある日のこと。
オヤジさんから、申請の時に提出する内装工事の見積書に印鑑が必要だから、業者さんに押してもらってきてほしいと頼まれました。
私は業者に向かい、社長さんにその旨お話しすると「見積書に印鑑を押すなんて聞いたことがない!!」と突っぱねられてしまいました。
渡されたのは印鑑のない見積書。
何度か話しても、らちが明きません。
社長さんもかなりガンコです。
でもその印鑑を押してもらえないと融資の手続きが進まないので、私も気が気ではありません。
まったくもう。
誰が聞いても大変なことなら仕方がないけど、このようなことで話が進まないなんて何ともやりきれません。
けれどそれが現実というもの。
その日は午後にオヤジさんと会う約束をしていたので、私は悶々とした気持ちのままセンターに向かっていったのでした。
≪次回へつづく≫
そんなわけで調子に乗って今回は、開業準備中の頃のエピソードを通して、開業準備をされている方へエールをお送りしたいと思います。
あくまで体験談ですが、何かの参考になれば嬉しいです。
私が開業を準備したのは、札幌に引っ越してきて一年にも満たないとき。
当然ながらお財布事情は寂しいものなので、融資を受けることにしました。
融資先で選んだのは、札幌市の創業・雇用創出支援資金です。
年利が1.10%以内で、利子の支払いのみで済む据置期間は最長2年。
日本政策金融公庫(当時は国民生活金融公庫)の同じような制度では、年利が3%前後、据置期間は半年ですからこれは助かります。
売り上げがある程度上がる前に、返済がはじまるのは厳しいものがありますからね。
各自治体にも、同じような制度はあるはずです。
ただし、融資を受けるのは銀行からなので、事業計画書はよりきちっと作らなければなりません。
とりあえず、商工会議所などが主催している創業塾に参加してその雰囲気をつかみ、作り始めました。
けれども数字となったら、私はハクション大魔王。
見たら泣けてきます。
それでもウンウン唸りながら事業計画書を書き上げ、向かった先は札幌中小企業支援センター。
こちらは市の融資制度の窓口になっていて、相談無料です。
中に入り、相談した担当者は銀行OBのオヤジさん。
敬愛の意味を込めて、そう呼ばせて頂きます。
オヤジさんは、いかにもという気難しいオーラを醸し出していて、ふつうにしていても眉間のシワは取れません。
私の事業計画書をみたオヤジさんは「これじゃ全然ダメ。まったくなっていないね」とバッサリと切り捨て、精根込めた計画書はけんもほろろに突き返されてしまいました。
でも不思議と落ち込んだり、腹が立ったりしません。
むしろハートに火がついた感じ。
それからというもの、オヤジさんが担当している日をわざわざ選び、ちょこちょこ書き直した計画書を持ってセンターに訪れました。
はじめはつっけんどんだったオヤジさんも、少しずつ打ち解けはじめ「あなたみたいに熱心なのか、しつこいのかわからない人はあまりいないねぇ」と言われるように。
じつは私もこのようなクセのある…失礼しました、個性的な方が好きなのかもしれません。
オヤジさんに話を聞いてもらいながら、自分の考えを整理するような感じで相談を続けました。
そのうち世間話や身の上話、「最近、肩を上げにくくなっているんだわ」と身体の相談までされるようになりました。
これは役得ですね。
その場でちょっと拝見し、肩がスムーズに上がるようになると驚いて喜んでくれ、やがて私がセンターに行くと、ニコッと笑って手を挙げて挨拶してくれるようになったのでした。
親しくなってから、はじめはずいぶん素っ気なく対応されていたことに触れると「近頃は安易な気持ちで独立して、立ち行かなくなる人が少なくないからね。ちょっと厳しくされたくらいで滅入るようじゃ、独立なんてしないほうがいいんだよ。」
なるほどなぁ。厳しさの中にある、オヤジさんの優しさを垣間見た気がしました。
そして今となっては、オヤジさんがおっしゃる通りだと思います。
そんなある日のこと。
オヤジさんから、申請の時に提出する内装工事の見積書に印鑑が必要だから、業者さんに押してもらってきてほしいと頼まれました。
私は業者に向かい、社長さんにその旨お話しすると「見積書に印鑑を押すなんて聞いたことがない!!」と突っぱねられてしまいました。
渡されたのは印鑑のない見積書。
何度か話しても、らちが明きません。
社長さんもかなりガンコです。
でもその印鑑を押してもらえないと融資の手続きが進まないので、私も気が気ではありません。
まったくもう。
誰が聞いても大変なことなら仕方がないけど、このようなことで話が進まないなんて何ともやりきれません。
けれどそれが現実というもの。
その日は午後にオヤジさんと会う約束をしていたので、私は悶々とした気持ちのままセンターに向かっていったのでした。
≪次回へつづく≫
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