ステップ3 リリースの感覚を覚える
ステップ2までは、セラピスト自身の身体を操作するトレーニングを行い、腕の力だけではなく身体の力を使ってテクニックを用いるということを学びました。
身体への負担がより少なく楽に操作できるようになれば、次に組織がリリースしていく様子を感じとる練習です。
前腕の屈筋側をモデルとして練習します。
前腕屈筋の筋腹に反対側の手掌部を当て、ステップ2で行ったノンクロスハンドテクニックの要領で、前方に筋膜を押し伸ばしていきましょう。
力が加わると、はじめは皮膚が移動して組織がスムーズに伸びていきます。
このような動きが起こるのは、皮下組織(浅筋膜層)などに多く存在するエラスチンを中心とした弾性線維によって、軟部組織のあそびが生じているためとみられています。
あるところまで伸びていくと抵抗が強くなりはじめ、やがて止まります。これは主にコラーゲンを中心とした膠原線維の張力や組織の粘性によると考えられます。
ちなみに、ここでもエンドフィール(=終端域の感覚:end feel)は、軟部組織の機能障害を判断する上で役に立ちます。
通常、エンドフィールは関節運動を伴う評価ですが、今回のように、筋筋膜を伸張した終端域の感覚も、関節あそびの評価と同様に膠原線維の弾力性に加え、組織の粘性も評価していることになるので、機能障害の程度によってソフトであったりハードであったりします。
数多くの組織に触れることで、制限の有無やその程度を判断できるようになりますよ。
組織を持続的に伸張したまましばらく待っていると、組織が少しずつ伸びていくクリープ現象と呼ばれるものが起こり始めます。
この変化がリリースと表現されているものです。
この、わずかにジワジワっとした(あるいはフワッとした)感触は独特のもので、感じ取れるようになると面白いですよ。
組織に触れてから、伸びはじめた感覚、スムーズに伸びている途中の感覚、抵抗が強くなり始めた感覚、伸びきって止まった時の感覚、そのまま待っていると再びわずかにジワジワと伸びていく感覚、このプロセスのすべてをじっくり注意深く味わいながら感じ取って練習してください。
手技療法の実践では、このように組織の質が変化している感覚を養うことがとても大切になります。
可動域という量的な変化が起こる前に、質的な変化が起こるので、治療によってそれが起これば、まだ量的には変化していなくても良い兆候だと判断できます。
また、可動域制限など量的な問題が起こっていない場合でも、質的にスムーズな動きが起こっていなければ、もしかしたらいずれ量的な異常を引き起こしてしまう可能性があると注意することが出来ます。
ですから、このように質的変化を感じ取る感覚を磨くということは、筋膜リリースというテクニックに限ったことではなく、手技療法のすべてにかかわることなのですね。
次回は、リリースの感覚を養う練習方法をより具体的に紹介します。
ステップ2までは、セラピスト自身の身体を操作するトレーニングを行い、腕の力だけではなく身体の力を使ってテクニックを用いるということを学びました。
身体への負担がより少なく楽に操作できるようになれば、次に組織がリリースしていく様子を感じとる練習です。
前腕の屈筋側をモデルとして練習します。
前腕屈筋の筋腹に反対側の手掌部を当て、ステップ2で行ったノンクロスハンドテクニックの要領で、前方に筋膜を押し伸ばしていきましょう。
力が加わると、はじめは皮膚が移動して組織がスムーズに伸びていきます。
このような動きが起こるのは、皮下組織(浅筋膜層)などに多く存在するエラスチンを中心とした弾性線維によって、軟部組織のあそびが生じているためとみられています。
あるところまで伸びていくと抵抗が強くなりはじめ、やがて止まります。これは主にコラーゲンを中心とした膠原線維の張力や組織の粘性によると考えられます。
ちなみに、ここでもエンドフィール(=終端域の感覚:end feel)は、軟部組織の機能障害を判断する上で役に立ちます。
通常、エンドフィールは関節運動を伴う評価ですが、今回のように、筋筋膜を伸張した終端域の感覚も、関節あそびの評価と同様に膠原線維の弾力性に加え、組織の粘性も評価していることになるので、機能障害の程度によってソフトであったりハードであったりします。
数多くの組織に触れることで、制限の有無やその程度を判断できるようになりますよ。
組織を持続的に伸張したまましばらく待っていると、組織が少しずつ伸びていくクリープ現象と呼ばれるものが起こり始めます。
この変化がリリースと表現されているものです。
この、わずかにジワジワっとした(あるいはフワッとした)感触は独特のもので、感じ取れるようになると面白いですよ。
組織に触れてから、伸びはじめた感覚、スムーズに伸びている途中の感覚、抵抗が強くなり始めた感覚、伸びきって止まった時の感覚、そのまま待っていると再びわずかにジワジワと伸びていく感覚、このプロセスのすべてをじっくり注意深く味わいながら感じ取って練習してください。
手技療法の実践では、このように組織の質が変化している感覚を養うことがとても大切になります。
可動域という量的な変化が起こる前に、質的な変化が起こるので、治療によってそれが起これば、まだ量的には変化していなくても良い兆候だと判断できます。
また、可動域制限など量的な問題が起こっていない場合でも、質的にスムーズな動きが起こっていなければ、もしかしたらいずれ量的な異常を引き起こしてしまう可能性があると注意することが出来ます。
ですから、このように質的変化を感じ取る感覚を磨くということは、筋膜リリースというテクニックに限ったことではなく、手技療法のすべてにかかわることなのですね。
次回は、リリースの感覚を養う練習方法をより具体的に紹介します。
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