手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

「押す」「引く」「まわす」という身体の基本操作 その6

2015-07-11 17:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回のシリーズでは、手技療法を用いるときの基本となる身体操作がテーマでした。

基本はでんでん太鼓がまわる時のように、身体の中心(体幹・下肢)から末梢(上肢)に向かって力を伝えていく。



それによって、自分の身体を傷めるリスクを下げ、触診の精度を上げ、より細やかにコントロールされた操作を行うことができるようになります。



力の伝え方を具体的な動きとして「押す」「引く」「まわす」の3つに整理し、手技療法の操作はこの3つから成り立っているとお話しました。

これらの操作が上手くできれば、どのようなテクニックを学んでも、技術の習得はより早くなると私は考えています。



これからみなさんにぜひやっていただきたいのは、今まで部活や習い事などで身につけてきた動き、慣れ親しんだ動きを、どれでもよいので「押す」「引く」「まわす」に分類し、その時どのように力を出しているか確認してみてください。

打ち方、投げ方、突き方、蹴り方、押さえ方、すくい方など、きっと合理的な使い方であったはずです。

その使い方、力の出し方を手技療法の「押す」「引く」「まわす」に適用させてみてください。

すでに身につけた動きを活かすことで、より効率的に操作できる可能性が高いです。



何か新しいものを学ぶときは、先入観を持たずに頭をまっさらにして取り組むことが大切だとされます。

ただ、ある程度年齢を重ねた人が技術を学ぶときは、それまで身につけてきた動きを活用するほうが習得が早く、その方にとって無理が少ないと私は思っています。

ですから、慣れ親しんだスポーツや趣味の動きと、手技療法の動きを上手くリンクさせるよう工夫してみてください。

ここでは「教わる」のではなく「考える」という作業を、根気よく続けなければ身になりません。



余談ですが「押す」「引く」「まわす」と分類することで、技術を習得する上での心理的なハードルを下げるということも狙っています。

新たなテクニックを学ぶとき、伝える側がその価値を高めるために、インパクトのあるフレーズを使ってこちらをあおることがあります。

それも商売ですから、ある程度は仕方のない面もあるのですが、なかには眉をひそめたくなるキャッチが使われているケースも見かけます。



そしてそのフレーズにあおられて、必要以上に身構えてしまう方もいるのです。

頭っから「難しい」と思いこんでしまうのですね。

そのような時、手技療法の操作は3つシンプルな動きから成り立っているということを予め理解しておき、冷静に動きを見ることができれば、いくらかでも気が楽になるのではないでしょうか。

固くなったままでは、身につくものもつかなくなるかもしれません。

技術の習得には落ち着くことも大切です。



とはいえ、反対に軽く考えて侮ってはいけません。

シンプルな動きは取り掛かりやすいですが、追求すれば果てがありませんから。



身構えすぎず、侮らず、冷静に見ることができるようにしておくためにも、今回のシリーズでご紹介した「押す」「引く」「まわす」という整理法もひとつの方法として有効ではないかと思います。

よろしければ役立てて欲しいと思います。



次回は7月25日(土)更新です。


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