新刊棋書情報「ひと目の布石」

MYCOMから趙治勲著、「ひと目の布石」が刊行。
題名の通り、「ひと目の詰碁」「ひと目の手筋」に取り組んでいる読者を想定した、布石の「次の一手」本である。
ただし前二作と違い、本書はこれが初出。

趙プロだからといって、特に地にカラい布石が紹介されているということはない。
プロなら10人中10人が「ココに目がいく」という、石の方向を説いている。

ただざっと見た感じでは、選択肢が示されている問題も多いが、比較的難度の高い問題も混じっている。
特に第4章は、プロの実戦からの取材なので尚更。
「ひと目」の読者層が流れてくることを考えると、難しすぎるだろうという感じがした。
「ひと目」シリーズとして刊行するのが、適切だったかという疑問が残る。
この本の前にもっと教科書的な本で、布石の基本概念を学ぶ必要があると思う。
副題の「初段を目指す」というのが、強調されるべき正しいレベル。

また一方で、日本棋院から刊行されている「布石の眼力200 ベスポジをさがせ」、「布石のベスポジ」と難易度、価格帯が被っていることも気になる点だ。
逆に言えばこれらの本で分量的に物足りなかった人は、本書がそれを補う役割を果たしてくれるだろう。
構成そのものは悪くないと思う。
尚、収録問題数はもう一度ちゃんと調べて、後で追記する予定です。