東アジア歴史文化研究会

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『中国経済崩壊、そして日本は甦る』田村秀男著(ワニブックス) 長年の中国ウォッチと膨大なデータから実証される「ゾンビ経済」の実態 日本企業への最終勧告は「ぐずぐずするな。早急に撤退を!」

2024-09-12 | 中国の歴史・中国情勢

これ一冊で中国経済の真相が掴める。

経済論壇において異色の論陣をはりつづける著者に保守派のファンが多い。経済ジャーナリズムの主流、とくに官庁エコノミスト、日銀・財務省御用達記者や、親中派の多いアカデミズムが口にしたがらない中国の真実を抉り、窮地に陥った中国経済の実態に、ずばずば斬り込んでいくダイナミックな論法に、だれも正面から批判しないのはなぜか?

中国を高く評価してきたエコノミストや経済学者が、田村氏を正面から批判しないのはなぜか。真実が何かをかれらも知っているからではないか。

あの貧困に喘いでいた極貧国家をどん底から引き上げたのは日本の無償援助だった。ついで大々的な投資、中国経済の大躍進を支えてきたのは日本である

無自覚的に、世界の工場だと信じ、深く考えることなく進出し、大損をしたばかりか、撤退を決めたはずの日本企業がまだ中国に踏みとどまっている末期癌のような決断のなさは、合弁の契約の罠にはまり、撤退しようにも、資金を持って帰れず、投資がすべてパアになるからだ。おまけに撤退姿勢にはいるとアステラス製薬社員のようにスパイの濡れ衣をかぶせられて逮捕される

こうした中国企業を采配しているのは西側のように経営者と株主ではない。党の書紀が社長より偉いし、人事権を握っている。民間企業にも社内に共産党細胞をつくれと命令がでた

つまり『一企業二制度』だ、と田村氏は言う。

「土地とカネ(資本、金融)を中国共産党という独裁権力が支配し、その配分を決めている」

そのため資本主義の原理原則からは遠い、異質のシステムが、中国経済をきわめつきにユニークな構造とした。

倒産しているのに恒大集団も碧桂園も潰れない。田村氏によれば、碧桂園にJPモルガン・チェースが、香港市場で株式を買い増ししているという

モルガンCEOのジェイムズ・ダイモンは有名な親中派だが、「ただ親中だけで巨額の損失をかかえている企業の株式を買い増す筈がない。そこには米国政府による何らかの働きかけがあったはずである」(166p)

中国の銀行は不良債権を誤魔化している

なにせ、国家統計局はGDP水増し三割が常識だから驚くことではないが、真相は危機的な状況というより絶望の淵にあって、死ぬ一歩手前ではなく死んでいるのだ。ところがどっこい、まだ恒大集団などは延命しているわけだからゾンビなのだ

中国経済の隆盛は日本のカネと技術、昨今はキャリートレードという日本のマネーであり、日本経済は停滞中なのに日本は他国の繁栄を助け自らを貧しくした

日銀と財務省の誤謬である

円キャリートレードとは低金利で円安の日本円をごっそり借りて、ウォール街のファンドとなり、それがドルに化けて中国に投資しているからだ

ドル本位制が実態の人民元は、米ドルの裏付けがあって輪転機を回し人民元を発行する。一時は中国人民銀行にドルがうなって通貨発行量の120%もあった。ところが現在は60%だと著者は指摘する。

ということは評者(宮崎)が計算するところでは、人民元の実勢レートは13円(9月6日現在の1人民元=18円)あたりに落ち着くだろう。

評者も田村氏との共著で繰り返し強調してきたが、中国経済を壊滅できる武器は米ドルと香港ドルとの交換停止である(詳細は宮崎と田村共著『金融大波乱』、徳間書店)。

田村氏はこれに次を加える。

中国の国有商業銀行との取引禁止、米銀による融資の禁止、外貨取引の禁止、ドル決済の金利、貿易決済の禁止、米国内の資産凍結、米国からの投融資の制限など、米国の対中武器は基軸通貨ドルだからである(83p)。

これら方法はロシアに対して米国が実施してロシア経済を締め上げた。しかしなおプーチンが高笑いを続けているのは中国が陰に陽にモスクワを助けているからである。

げに国際政治の舞台裏は奇々怪々にして複雑怪奇。とくに中国には妖怪が蠢いている


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