「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

「ナンバ」 をリハビリに応用、劇的変化に驚く!!

2007年09月13日 | 指圧の活動

  タツヤ君(12歳)は、毎日学校帰りに私の治療所の前を通るとき、必ず嬉しそうに手を振ります。以前、お母さんが指圧に来ていたときに立ち寄ったことがあり、親しみを感じていたのでしょう。

  彼は生まれつき身体に障害を持っています。薬害によるものだと聞いていますが、とても純真無垢なキャラクターに、皆心が和(なご)むのです。
  歩行にも障害があるので、当然リハビリにも手を尽くしていると思い込んでいました。何気なくお母さんに聞いてみると、大学病院で4回の外科手術とリハビリをやって、今の状態までになったそうです。
  これ以上何もやることがないと言われ、この2年は、何もしていないと言っていました。 
  毎日、天使のような笑顔で、目いっぱい手を振ってくれるタツヤ君。その歩き方は、今少し改善できる余地があるように私には見えました。

  9月9日のことです。昨日のブログでお伝えした「骨体操講座」が終わったあと、午後2時から治療所に場所を移して、心身技術研究所の矢野龍彦先生、長谷川智先生にも加わっていただいて、グループ・レッスンになりました。
  私は、タツヤ君が自宅でできるリハビリを考えてみたいと思っていたので、前もって連絡をして、来てもらっていました。身体の様子を診(み)ましたが、腰、膝、足首、足指、全部の関節が固まっているので、歩く姿が非常に不安定なのです。
  歩くとき、踵(かかと)が床につきません。リハビリはとても辛かったといいます。伸びない膝を無理やり伸ばす、曲がらない足首を、何が何でも曲げようとする、これはきついものです。でも、そうしなければ歩けるようにはならないと言われ、必死に頑張ったというのです。
  伸ばすのが辛いなら、かえって曲げたほうがいい。また曲げにくいのなら、伸ばした方が身体は喜ぶのではないか。私にはそんなふうに思えました。 
  私も足を手術した後、辛いリハビリを経験しました。その経験を通して、最近リハビリのやり方自体に疑問を感じることがよくあります。

  ゴム紐でわずかな抵抗運動ができるように、タツヤ君のリハビリの方法を考案して、試してみたところ<大成功>!! 50回の抵抗運動だけで、踵が床に着いて歩けたのです。今までのリハビリの考え方には、ずいぶん間違いもありそうだと、改めて気が付きました。
  これは、「ナンバ」の発想をヒントにして考案したものです。楽な方に身体を動かすことで、返って辛かった方が楽に動くようになったのです。
  8月に考案した指づくりグッズとともに、タツヤ君のリハビリのやり方を、矢野先生、長谷川先生に見ていただきました。手応えは、十分。

  タツヤ君は大喜びです。天使のような笑顔が、いっそう輝いていました。嬉(うれ)しいらしく、何度も何度も歩いて見せてくれました。身体を支えてもらいながら、長谷川先生から直接骨体操を教わることもできました。
  この考え方のリハビリ方法が世の中に出れば、喜ぶ人がたくさんいると思います。今後どのような方向へ動いていくのか楽しみです。
  また、パーキンソン病の老人の「硬縮」にも、驚くほどの効果が出せました。

  その後、タツヤ君に劇的な変化があったので重ねて報告します。
  9月12日(水)の夕方、治療院の前を彼が歩いていくのを目撃しました。スタッフ一同びっくりです!! なんと、彼の背が伸びているのです、歩き方もずいぶんスムーズです。本人も嬉しいらしく、両手をいっぱいに振っていました。
 
 「タッちゃん、日曜日に指圧に来る?」
 「うん!!」
 「じゃあ、3時半ね」

 「ボクも指圧を受けたいな」と言っていたタツヤ君、お母さんからも頼まれていたので、日曜日に圧してあげようと思います。
  身体がよくなっていくのを見るのは、本当に嬉しいことです。その喜びを共有できることに、心から感動を覚えています。

  9月に入ってもまだまだ暑い日が続いていますが、そんなことは忘れてしまうほど、目まぐるしく変化して感動に充ちた毎日です。

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