コロナ禍で外食などもってのほか、ましてや旅行などいつ行けるようになるのか? 皆目見当もつかなかったのですが、マスク使用緩和、コロナウイルス感染症の5類移行など、締め付けがだんだん緩くなってきました。
「気を付けていけば大丈夫かな?」
世間もそんな方向に変わってきていたので、4月24・25の両日、治療院の慰安旅行を催行しました。行き先は、以前から1回は行ってみたいと思っていた山梨県の忍野八海(おしのはっかい)です。スタッフに話を向けたところ大変喜んでくれ、仕事のスケジュールの工夫も日時もあっという間に全てが決まりました。
スタッフと旅行ガイドブックなどを読み、情報を整理して観光場所も決まりました。忍野八海をめぐり、日本の霊峰富士を中心に観光することになりました。話の成り行きで青木ヶ原樹海も散策することになったのです。
4月24日、新宿から9時半発のJRの列車「富士回遊」で富士山駅へ向かいました。富士山が近づき、途中、車窓からクッキリした形で見え始めると、列車に乗り合わせた人達(特に外国人)から歓声と拍手がわき、盛り上がっていたのが印象的でした。
こちらの参加人数は5人。富士山駅には予約した大型観光タクシーが来てくれました。車種はアルファード。助手席に1人、真ん中と後部の座席にそれぞれ2人ずつ。ゆったり座れて快適でした。
初めに向かったのは青木ヶ原樹海です。皆様よくご存じだと思いますが、富士山北西麓に広がる樹海は今から約1200年前に起きた噴火(貞観大噴火)で流れた溶岩の上にできた原生林です。推理作家松本清張氏が自殺の名所として作品の中で紹介したことで一躍有名になりましたが、その前から「自殺の名所でひとたび中へ入ったら出てこられない」「コンパス(磁石)が利かなくなる」「樹海の中には人を襲う熊や野犬がいる」など都市伝説もどきのものがいくつも語られていました。
しかし現在は、いくつか散策ルートもあり、訪れる人も多いと聞きました。この日、タクシー・ドライバーからは、ここで入ったら車は出口で待っていますから、そっちで会いましょうと話がありました。さらに道が分かれてわからなくなったら、右へ右へと進めばいい、と簡単なレクチャーがありました。
いよいよ青木ヶ原樹海です。自殺を思いとどまらせようとする看板もありました。入り口でのおどけた写真撮影に盛り上がりました。少し不気味そうなのに、皆楽しそうです。
人が踏み締めてある溶岩の路を進み始め、鬱蒼とした木々の中に散策路ができています。散策路からは絶対に外れて歩かないように、と観光タクシーのドライバーさんに言われていました。
富士山の噴火でできた火口岩だけの道は、ガタガタで結構歩き難いのです。転ばないように必死です。未知の領域を行く気分? です。迷うと大変、くっついて行くのに必死です。結果、雰囲気作りは十分でした。
樹海の中は、無風で僅かな風も吹いていませんでした。鳥の鳴き声は、少し聞こえますが、わずかなものです。これが樹海? 経験のないことですが、言葉にしてみると空気が硬い「塊」になった感じでした。これで鳥の声もなければ、耳が詰まった感じになる静けさです。
この写真は、雰囲気をうまく撮っていると思います。なんか怖そう!
樹海は、倒木だらけです。
花崗岩の上に積もった土の上ですから木も根を深く張れず、自重に負けて木が倒れ、いき場を失っているようです。大木はあんまり見当たらず、ほとんどの樹々は、それほど樹齢の古い樹ではないと思われます。根っこから曲がっても、倒れてもそれでも頑張って生きていこうと思っているようにも見えます。森林の独特な雰囲気を醸し出しています。
行っても行っても樹また樹です。先の人にしっかりついて歩いて行きます。といっても、足を痛めた1人は車に残っているので、私たち4人だけです。他には誰も見当たりません。頑張ろう!
なぜか? ベンチが2つ並んでいました。
苔むして、どう見ても誰も座らないベンチだと思います。
ここでゆっくりする気分には、ならないと思うのですが?
途中、亀がひっくりかえているような岩のテーブルを見つけました。
写真で見てもなんか? 変! 気持ちが悪い。写真を撮り終え、一瞬座ってみようかな? やっぱり誰も座ろうとはしませんでした。正解! ここには、一緒に座りたい人などいないでしょう。
樹海の中には、花はないのかな? と話していたらなんと咲いていました。とっても小さなスミレのようでした。
この後、3〜4本の同じ花を見つけました。陽射しが届きにくい環境です。この健気な可憐な花を愛しく思い、応援したい気持ちが湧いてきました。日常では、見えていないものを見つけたような嬉しさに不思議な気分になりました。
森は、樹も苔むして陽射しが入りにくいのがよくわかります。この写真も遠い部分を見ていただくと分かってもらえると思います。すぐに樹しか見えなくなります。
今回の樹海散策は4人でした。1人では絶対無理ですし、例え2人でもかなり気持ち悪い思いだったでしょう。
散策路に分かれ道があったので「とにかく右!」また分かれ道がありました。皆で「右!」
観光タクシーの運転手さんが、溶岩のかけらは、花を植えたり、花器にしたり、置物にしたり。石ではあってもごく軽く、使い勝手が良いために、誰もが悪気なく持ち帰ってしまうとこぼしていました。
次の写真は散策路終点にあった看板です。これらの自然破壊に対して、環境省と山梨県から大事にしましょうと呼びかけられています。
この樹海ルートは、大体20分くらいで歩けると聞いていました。しかし私達は、30分かかってしまいました。この不思議な空気感は、行って見た方しか分からないと思います。体験してよかった、というのが実感でした。
観光タクシーのドライバーさんがとても親切で、ガイドさんのように色々教えてくれました。聞くと土地の人で、郷土愛に溢れた方でした。お陰で「来てよかった」と、思える樹海ツアーでした。
( 次回は忍野八海、本栖湖などについて書きます。ーつづくー )