Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

今度は大丈夫? OLPC XO-3、プロトタイプを年内お披露目

2010-05-29 23:59:59 | PC

 ここ数年において、PCの世界、特にローエンドと言われるカテゴリーにおいて、劇的に変わったことがあります。そう、価格が圧倒的に安くなったんです。
 ネットブックの登場によって、各社がこぞって超低価格路線に続々参入したことで、ネットブックの価格は3万円台まで下落する物も出てきました。それにとどまらず、価格下落の余波はネットブック以外にも到達し、今や10万円を切るのは当たり前といった状況が作られてしまいました。

 そのきっかけとなったのが、OLPCの正式名「XO-1」、通称「100ドルPC」です。最小構成のPCを世界中の子供に、と言うコンセプトの元、100ドルPC構想を打ち上げたまでは良かったのですが、そのコンセプトにタダ乗りしようとするその他メーカーによって受注を奪われたり、いまいち政府から賛同が得られなかったりと予定数量がはけませんでした。結果的に何カ国かには納入し、子供たちに提供できたものの、当初の目標であった100ドルを切ることはありませんでした。

 さて、最近はすっかりネットブックをリリースする各社に押され、話題にも上らなくなっていたOLPCですが、久しぶりにプレスリリースが出たようです。しかも、結構衝撃的な。

動画:タブレット型のOLPC XO-3、プロトタイプを年内にも披露へ engadget

ひさびさにOLPCの話題です。元祖 100ドルPC(XO-1)で知られるOLPCは、昨年末にタブレット型のバージョン 3.0(XO-3)を開発中であることを明らかにしていました。端末のモックアップ写真はなかなか素敵でしたが、問題は発売が2012年予定とかなり先であったこと。あれから半年。ネグロポンテ会長がPCWorldのインタビューに答え、このタブレット端末のワーキングプロトタイプを年内にも発表し、来年頭のCESで披露すると予告しました。発売時期は変わらないかもしれませんが、それらしいものを見る機会は思ったより早く訪れそうです。

 スペックは、過去の発表通り9型程度のピュアタブレット。物理ボタンは基本的に無し。また、筐体については落としても、多少手荒に扱っても壊れないように、全部プラスチックで作るようです。そして、価格は、これまた当初発表通りの75ドル・・・。100ドルに収まらなかったXO-1、コンセプトだけで終わったXO-2を考えると、何とも不安になる価格設定ですが、はてさてどうなることやら。

 面白いのは、これまでずっと独自路線のLinuxベースOS「Sugar」を搭載してきたOLPCですが、今回は、Androidの搭載もほのめかしていると言うこと。確かに、教育用だけでなく、チャリティ目的で一般流通にも流すことを考えると、そちらだけでもAndroidを搭載した方が市場のウケは良さそうです。75ドルのAndroidタブレット・・・チャリティ価格で150ドルだとしてもまだ十分安いですからね。いやが上にも期待が高まります。・・・これまでの例があるので、手放しで・・・とは行きませんけど。

 OLPCに夢があるのは、何も価格だけに限ったことではありません。他のメーカーが忘れてしまったかのような、非常に尖ったコンセプトで、マシンを一から設計してくるところにも大きな魅力があります。中止になってしまったものの、すばらしかったXO-2、そして実にスマートなXO-3。市場流通ではなく、「子供たちのために」本気で考えているからこそ、このような結果になるのでしょうが、ある意味、それこそがOLPCの最大の魅力なのかも知れませんね。
 是非とも、今後も事業を継続していってもらいたいものです。