Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

ISS 宇宙のトイレ事情

2008-06-12 21:15:31 | Technology

 一日に数回の小と一回の大。これが人間の標準的なトイレ事情ですが、新陳代謝を行っている以上、山の上だろうが、海の上だろうが、深海だろうが、宇宙だろうが、出る物は変わりません。

 今回は、ISS(国際宇宙ステーション)のトイレ事情をレポートした記事を見つけましたので、宇宙のトイレ事情について書いてみたいと思います。

 知りたい!:ディスカバリー、もう一つの任務 「修理した 吸い取るトイレ 無重力」 毎日.jp

 日本の有人実験施設「きぼう」の実験室を国際宇宙ステーション(ISS)に運んだ米スペースシャトル「ディスカバリー」。星出彰彦宇宙飛行士(39)が乗り組み、主任務である取り付け作業を無事終えた。その陰で今回の飛行では、もう一つの重大な任務があった。故障したISSのトイレ修理だ。

 記事によれば、ISSのトイレのポンプが故障してしまい、大変な不便を強いられていたが、今回のミッションで修理が完了したとのこと。

 「トイレにポンプ」と聞くと、結構違和感を覚える方がいるのではないでしょうか。水洗トイレならば、水の流れる力によって便を押し流してしまい、後は下水なり浄化槽なりにそのまま流れていってしまいます。非水洗トイレの場合、そのまま下にたまっていきます。両方ともポンプなどは使っていません。では何故、宇宙のトイレにはポンプが必要なのでしょうか。

 地上では重力があるため、小も大も、うまく便器の中に収まって、流されるのを待っています。また、特に圧力をかけてやらなくても、管を逆流したりはしません。しかし、軌道上のISSには肝心の重力がありません。何もしなければ、便器にじっとなんかしていませんし、流したって戻ってくるかも知れません。
 また、ISSは地上と違って完全な密閉空間です。便と一緒に出るガスなども大きな問題となるのです。

 というわけで、ISSのトイレは地上よりもずいぶんと複雑にできています。

 高度約400キロで地球を周回するISS内は無重力状態。地上のように排せつ物は重力で落下しない。トイレは便や尿を空気と一緒に掃除機のような装置で吸引して回収する。

 件のポンプは小を処理するための物らしく、一時は手動で対応していた物の、現在は快適に使えているとか。ちなみに、トイレはロシア製。宇宙への長期滞在には、アメリカよりもロシアの方が一日の長がありますので、トイレのノウハウも強いと言うことでしょうか。

 さて、現在は小も大も、大気圏への突入による「焼却処分」を行っているようですが、将来的には小の再利用を計画しているとか。古い話ですが、映画「ウォーターワールド」の冒頭で、小を濾過してそのまま飲んでいるという衝撃のシーンがありました。イメージ的にはそれとはかけ離れた感じでしょうけれど・・・何でも、補給無しで長期渡航する場合、水の積載量を制限するために必須の技術なんだとか。

 まあ、小から水は分かります。しかし、大を何とかして再利用したとして、そのまま口に入れるとか言うのは無しだなあと思った次第ですが・・・かつて、岐阜県のある町で、下水道汚泥から「クッキー」を作るという試みを行っていたとか。それがありなら、ありなんですかねえ・・・

 とにかく。華やかな部分が強調されがちな宇宙開発ですが、人間が活動している以上、食とその後の問題は欠かせない訳です。そういう地味な部分も含めて、進歩していると言うことなんでしょうね。