Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

iPhoneはソフトバンクから

2008-06-05 21:32:37 | Thinkings

 去る2007年1月9日、MacWorldにおいて発表され、世界中から驚きを持って迎えられた「iPod携帯電話」ことiPhoneは、その斬新なタッチパネルによる操作系と、OS X搭載によるPCライクなインターネット環境により、本国アメリカにおいて2007年6月29日の発売を、大きな歓迎をもって迎えられました。また、各国において提供するキャリアが発表される度、大きな報道が繰り返されてきました。

 さて、時は過ぎて2008年6月4日、ソフトバンクとAppleとの提携が発表され、本国から遅れること1年、ようやく日本での発売が決定しました。

「iPhone」、年内にソフトバンクから登場 ITmedia

 いや、「ようやく」ではなくて「いまさら」かもしれない。発売から早1年、当初の驚きはすっかり鳴りを潜め、その写真もすでに見飽きた感のあるiPhoneを、今もまだ待ち望んでいる律儀な人はどれだけいるでしょうか?

 日本企業の出す携帯とはまったく違うベクトルの製品であるiPhoneは、確かに魅力的だと思います。しかし、待ち切れなかった人(私も含めて)はすでにiPod touchというエサに飛びついてしまっているでしょうし、そうではなかった人にとっても、一年間、様々な情報を仕入れることで、購入意欲がなくなった人もたくさんいるでしょう。

 私は「多分買わない」。なぜなら、目新しさがないのもさることながら、タッチパネルでのインターフェイスは、iPodなら許せるけれど、「携帯電話」だと多分許せないことが多そうだからです。
 いや、touchを使っていると、物理的なボタンの操作性が如何に良いかというのがよく分かります。とっさに電話に出たり、ポケットに入れたままマナーモードにしたりといった「見なくてもいい」操作はボタンならでは。

 あるいは、日本の携帯電話独特のネットサービスが受けられないというのも敬遠されるかも知れません。昨日のエントリでは、「auからスマートフォンが出ない」というぼやきを書きましたが、ラインナップに加えるほど魅力的ではないと判断されていると考えるのが自然なんでしょうね、悲しいかな。日本におけるスマートフォンの普及は、正直言って芳しくありません。携帯ならではのサービスが受けられないというのもさることながら、大多数の人に対し魅力を喚起できないというのが本当のところなんでしょう。iPhoneも、その操作性を抜きにすれば紛れもないスマートフォンです。使うのにある程度のPC等のスキルが求められるのも相まって、選択肢に上らない可能性もありますよね。

 色々と否定的なことを書いてきましたが、「大きな話題性」と「日本勢には無い魅力」、「気持ちの良い操作性」は紛れもない事実としてありますので、正直なところ、ある程度売れると思います。ですが、「携帯の勢力図を塗り替える」とか、「各社が一斉に真似する」とかいう事態にはならないでしょう。何にせよ、蓋を開けてみないと分かりませんし、ソフトバンクがどれくらい売る気があるのかも分かりません。投入時の値段も気になるところですね。

 ただ一つ言えることは、日本の携帯電話メーカー各社に何らかの影響は与えることでしょう。それがプラスに働くかどうかは分かりませんが、「一年前の携帯電話」を蹴散らせるような素敵なケータイを、日本勢が出してくれることを祈って。