Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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私見:WILLCOM D4の延期の理由はバッテリーではなかろうか?

2008-05-24 19:34:41 | PC

 EeePCから始まった、小型で安価なノートPCの販売競争。これまでの機種はインテルのCeleronもしくはVIAの省電力CPUを使ってきましたが、今後の本命は、なんと言ってもインテルのAtomプロセッサでしょう。

 ダイサイズ(CPUの大きさ)を小さくすることで省電力、低発熱を実現し、且つ価格の大幅な低下を達成したAtomプロセッサは、UMPCに最適な選択肢ということで、発表段階から大きな注目を集めてきました。そのAtomを世界初で搭載する量産UMPCが、WILLCOM D4です。

 開発は、Willcomのスマートフォンを手がけてきたシャープが行っており、正に鳴り物入りでの登場でした。

 しかしながら、発売直前になって突然の延期が発表されてしまったのです。

ウィルコム、「WILLCOM D4」の発売を7月中旬に延期 CNET Japan

 ウィルコムは5月23日、同社の次世代通信端末「WILLCOM D4」の販売時期について、6月中旬から7月中旬に延期すると発表した。「より高いパフォーマンスを出すためのチューニングに時間がかかっている」(ウィルコム)というのが理由。

 発表当初から、確かにおかしな部分はありました。このスペック表にあるように、発表当初からバッテリー駆動時間の項目には、

現在測定中につき、測定でき次第順次ご案内します。

という一文。小さな筐体でフルスペックWindowsが動いて、且つ電話内蔵というのが最大のウリではあるのですが、それを「現実的なバッテリー駆動時間」で実現したAtomに世間的な注目は集まっているわけです。となると、D4のスペック表に置いてもっとも注目されるべきところが曖昧にされていると言うことに他なりません。

 普通のノートPCなら2時間~7時間でも問題ありませんが、D4の場合はそうはいきません。なぜなら、通話機能がWindowsアプリケーションとして実装されているため、Windowsが起動した状態でないと着信もままならないわけです。つまり「バッテリー駆動時間=待ち受け時間」となるわけですから、重大事なのですよ。

 私は、今回の延期の理由は、思ったよりもバッテリー駆動時間が稼げなかったための調整であると考えます。世界初のAtom搭載製品と言うことで、ある程度使い物になる駆動時間が示せなければ、Atomを提供しているインテルの面子が丸つぶれ。今後、UMPCに力を入れようとしているマイクロソフトの思惑にも影響が出てきます。Willcomはより直接的な売り上げに響いてきますし・・・すでにWillcomとシャープ2社の問題ではなくなっているのです。

 思ったほどAtomの消費電力は低くなかったか。もしくは、駆動時間を延ばそうとするとVistaのレスポンスが致命的に悪くなるとか・・・何にせよ、7月中旬には何らかのアナウンスが出ることでしょう。無事発売されるとは思いますが、決して安いわけではないのですから(12万くらいだそうですよ)、皆に望まれた形での発売であると良いですね。