Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

がくっぽいどの開く新しい可能性

2008-05-09 23:48:03 | Thinkings

 昨年の9月に生まれた緑のツインテールのバーチャルシンガー、初音ミク。「ニコニコ動画のランキングに名前が上らない日は無い」そう言い切ってしまって良いくらい、ニコニコ動画というコミュニティ内では浸透しています。それ以外でも、DTMマガジンで取り上げられたり、ゲームの主題歌を歌うことになったり、第二弾として鏡音リン・レンが発売されたり、先輩に当たるMEIKO、KAITOが評価され始めたりと、様々な広がりを見せております。

 要するに、「人の歌声」を楽器として扱う土壌を整備してしまったと言える初音ミクですが、初音ミクが世に出たときにおもしろい考えを書いた方がおられます。

バックアップとしてのVOCALOID ITmedia オルタナティブ・ブログ CloseBox and OpenPod

 自分の声が失われているとわかっていたら、自分の声を最新のVOCALOIDに残したいと考えはしないでしょうか?

 ジャンルによって違いはあるはずですが、ヴォーカリストの声域、色つやのピークは若い頃にくると思います。

ー中略ー

 だったら、VOCALOID、もしくはその進化したものに「バックアップ」をしてもらうというのは考えられると思います。

 著者である松尾 公也さんも自分の声を残したいという趣旨を書いておられます。確かに、初音ミクはキャラクターとしては一人歩きしているけれど、中の人である声優 藤田咲さんの声のバックアップと言えなくはありません。
 しかしながら、初音ミクの企画初期では、自らの声をヴォーカロイド化することによって、「自分の歌をコピーされる」という危惧を抱く歌手の方が多く、協力が得られなかったと言う話がありましたので、このような動きは当分出てこないだろうな・・・と思っていたのですが。やっぱり彼はすげえ。

Gacktの声で歌うソフト VOCALOID「がくっぽいど」6月発売 ITmedia

DTMソフトメーカーのインターネット(大阪市)は5月7日、歌手のGacktさんの声を元に作成した合成音声で歌わせることができるソフト「がくっぽいど」(GACKPOID)を6月中旬に発売すると発表した。同社Webサイトでサンプル音声の公開も始めた。価格は未定。

 発売はクリプトンでないのですけど、使っているエンジンは一緒。ある意味兄弟みたいなものです。ただ、クリプトンのようにヴァーチャルなキャラ付けはせず、あくまで「Gackt氏を歌わせる」のがコンセプトのようです。・・・ヴォーカロイドシリーズの男声は実質「KAITO」しか無いわけで、職人には喜ばれるかも知れません。

 さて、今回の話で重要なのは、「Gacktのボーカロイドが出る」ではなく、「Gackt氏の歌声のバックアップ」ができたと言うこと。将来的にGackt氏の声が変わってしまっても、全盛期の声をボーカロイドで再現できるし、50年後、100年後に新曲を発表することだってできるわけです。これって、歌手の人にとってはとてつもない魅力があるように思うのですけれどね。今後の展開いかんによっては、Gackt氏に続く歌手の人が現れる可能性は十分にあるでしょう。

 もちろん、歌手ではない一般の人にとって見ても、自分の歌声を遺せるというのは魅力的ではないでしょうか。もしかしたら、ここから新しいビジネスが開けていくかも知れませんね。