人間は、忘れる生き物です。中でも変わりない日常の一コマなんてのは特に印象に残りづらく、例えば、一昨日の夕飯だとか、先週会ったときの服装、朝の通勤風景などはよっぽどの事が無い限り、細部まで鮮明に思い出すことは難しいです。一般論として、「先週の日曜に出かけたとき、すれ違った車の車種で一番多かったのは?」なんて質問にはとても答えられないでしょう。
しかしながら、そういうちょっとした事が後々、大きな証拠や、ナイスなアイディアを生まないとは言い切れません。まあ、そういう大義名分が無くても、「自分の人生をすべて記録する」という誘惑に負けてしまう人もいるでしょうねえ。
あなたの24時間365日を自動記録するライフレコーダ–ネックレス型の小さな装置–がもうすぐ登場, あなたはほしいかな? TechCrunch
ライフレコーダ(life recorder)は首からネックレスのようにさげる小さなデバイスで、数秒ごとにあたりの写真を〔魚眼レンズで〕撮り、音声は終日記録する。GPSもあり、データをワイヤレスでクラウドに送ることもできる。クラウド上ではデータにタイムスタンプと位置情報を付けて保存する。音声データはテキストに書き起こし、インデクシングされる。人物の写真はその名前等が自動認識され、タグが付けられる。
つまり、人生全体が記録され検索できるようになる。やがては、子孫たちが先祖(あなたのことだ!)の生涯を検索できるようにもなるだろう。
現実にはここまで技術が進んでいるわけではないし、このようなサービスが出現しているわけではないけれど、このようなデバイスの研究は日々進んでいます。元記事によれば、2010年・・・なんと、来年には発売できるかも、って事らしいですよ。
このデバイスがあれば、細かい描写はまだしも、様々な場面を思い出す「ヒント」を無数に記録しておけますし、少なくとも「聞いてなかった」という言い訳は通用しなくなります。また、普及すれば世の中に「監視カメラ」があふれることになりますので、犯罪捜査にも大いに役立つことでしょうね。
また、「自分が2年前のこの時間に何をやっていたか」とか、「友人はこの時間に何をしていたか」を追体験出来る訳で、思い出をより濃密に思い出すための、記憶を補完するデバイスとして有用かもしれません。
でも、私は出来れば使いたくないですね。
記憶は、別に良い物ばかりじゃありません。忘れ去りたい物や、そっと胸の奥だけにしまっておきたい物もあるんです。それが別に残っているというのは、なんだかいやですね。
また・・・これは実用的な問題なのですが、記録した物を再生するためにもまた、その人の過ごした時間と同じだけかかるのです。編集もされていない冗長な出来事を、ただ緩慢と眺めて思い出に浸るなんて・・・半日分を追体験するのに半日ですよ?これこそ、時間の浪費だと思うんですけどねえ。
結論としては、日記って実に良くできているツールだと思うのですよ。出来事を整理して、手で文章を書き起こす。後から見て思い出すのには最適です。・・・ま、続いたことなんてありませんけどね!