鶴岡八幡宮の段葛、あっという間に葉桜となった。
もともと若い木だから、花の数も少ないので仕方がない。
5年もすればサマになってくるのではないか。
そして、50年ぐらいたったら、桜並木もさぞかし立派に育っているだろう。
でも、その頃私は生きてはいないが、900年近く昔に源頼朝が北条政子の安産祈願のために造営した段葛の大がかりな改修工事に立ち会うタイミングに生きていただけでも幸運だ。
比較すべき生物がほかにいないので、70年とか80年という人間の寿命がこの世の歴史の中で長いのか短いのかはわからない。
ただ、時間という流れの中にいることだけはたしか。
そして人間誰ひとりとして、その流れを止めることも、変えることもできない。
そうである以上、その流れにあらがうように生きても仕方ない。
時間という流れに身を任せ、無理せず素直に、人のことを陥れるようなことはせずに生きていくことがなによりも大切なように思える。
なにもしないでいていいというわけではない