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『騎士団長殺し』みんなちびちび読んでいた・・・2017年3月の読書記録

2017年04月02日 | 読書、映画、音楽、美術

なんと、毎月欠かさず、たとえ読んだ本がない月でも、なにか書いていた読書記録。なんと、今年の1月2月は書いていなかった。これはには驚いた。ずいぶんサボっていたものだ。

さて、先月の読書は村上春樹。読書メーターの感想文を読むと「読み終えたくなかったので、ゆっくり読んだ」などと書いている人がちらほらいる。私だけではなかったのだと知ってホッとした。

偶然だが、今日の朝刊に村上春樹のインタビュー記事が載っていた。やっぱり、というかいつも自然体の彼らしいコメントが載っていた。『ノルウェイの森』も『ねじまき鳥クロニクル』も読んだことのない私は、村上春樹のちょっとファンなだけで、ハルキストでもなんでもないが、これぐらいは読んでおきたいと思った。

この前、私が小説家を断念した話を書いたけど、まさしく私が感じたことをインタビューの中で言っていたので引用しておく。

「長編小説はツイッターとかフェイスブックみたいな、いわゆるSNSとは対極にある。短い発信ばかりが消費されていくのが今の時代。読み始めたらやめられないものを書くのが僕には大事なことです」

だからこそ、私はこんきもを大事にする

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3月の読書メーター読んだ本の数:2読んだページ数:1056ナイス数:106騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編感想もう半分読んでしまった。これだけ字が小さければ読むのにもけっこう時間がかかると思っていたのだけど。その上、1Q84の時の二の舞にならないためにも、読み落としが無いよう、かつずっとこの世界に留まっていることができるようにと、ゆっくりゆっくり読んだのに、もう半分。取り敢えず、今日はこの感想を書いたり、第2部の表紙を眺めたりして、一日過ごそう(実際は仕事だけど)。これだけの物語を読むのにはいろんな意味で体力が必要だし、そのためには休息も必要なのだ。私にだって、それなりにいろいろとある。

読了日:03月09日 著者:村上 春樹

 

第2部の感想は、第1部を読んでない方にはちょっとネタバレなっていますので、未読の方はご注意くださいね。

 


騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編感想昨夜、少し(といっても、読むのに2時間ぐらいかかる程度)残したところで本を閉じて眠ったのだけど、夜中の2時頃になって目が覚め、(ゆっくり読んだけれど)4時ちょっと前に読み終えた。普通ではないことがいちばん起こりやすい時刻だから目が覚めたのかどうかはわからないが、水を飲もうと洗面所に行ったとき、鈴の音が聞こえてきたらどうしようかと少しだけ緊張した。幸いにも読み終えるまで(そしてこうやって、感想を書いている今も)鈴の音は聞こえてこなかったし、つけた灯りのせいで横で寝息を立てている妻を起こすこともなかった。

読了日:03月20日 著者:村上 春樹

読書メーター

 

このあとは完全にネタバレです!

 

 

字数制限のため、読書メーターの感想欄に書ききれなかったことを書き残しておく。

例によって、”あり得ない”(これまでだと”夢の中”の)場面、すなわち、”私”が”顔なが”の出てきた穴に入ってから出てくるまでのところが、この作品の中での最高のクライマックスであり、それは”私”の受胎から成長のメタファーだった。

始まりというのは精子が女性の中に流れ込むことのメタファーであり、受精のために暗い通路をひたすら進み、やがて受胎する。薄明かりの中というのはすなわち子宮の中での成長であり、顔のない男によって川を渡してもらい、外の世界へと”私”は誕生するのだ。順調に育っても、やがて大人になると色々な苦難もある。”二重メタファー”は自己との相克。そしてそれらの経験ののち、”私”は穴の中、すなわち現世に戻る。

この作品では”私”を取り囲む登場人物たち・・・雨田具彦にしても、ゆずにしても、秋川まりえにしても、免色渉にしても・・・はそれぞれの人生を持っていて、”私”の物語とは別の物語を持っている。そのことも、最後になってよく表されている。

誰の心の中にも、”騎士団長”はいて、それぞれの人生を歩んでいく。”私”が殺した騎士団長はそれまでの自分であり、自分が次なる段階に成長していくには殺さなくてはいけない存在だったのだろう。騎士団長に手をかけている、ドン・ジョバンニが”私”そのものだ。ドンナ・アンナは母なる存在か。

続編を望む声があるようだけど、この作品に何を付け加える必要はない。あとは、自分たちそれぞれが物語を紡いでいけばいい。

この作品は「これ以上手を加えるな」と言っている。

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