昨日で、都心の総合病院での勤務が終わった。初めから1年間の約束だったのでこれといった問題はなく、今日から新しい職場に移る。
1年前の記事(「コロ健、前向きに転進」)を読むと、淡々とした気持ちで1年が始まったということがわかる。信頼できる指導者のもとで1から勉強をし直そうという気持ちでスタートしたが、全く思っていた通りの1年だった。
それまで専門分野一辺倒だった私が、レジェンドと言える病理の先生のところに押しかけて、総合的な病理診断の勉強をやり直した。その間、辛いと思うようなことはほとんどなく過ごすことができた。これもひとえに、その先生と、家族の支えのおかげだった。いや、それだけではない。
もちろん、病理診断科の技師さん、臨床医、技師さん、事務員さんたちのおかげもある。さらに私が、”そうしよう”と思い立つに至ったことを知っていた友人たちも応援してくれたし、以前から研究を一緒に頑張っていた仲間たちもよく理解してくれた。
思い出すといろんな人が助けてくれた。あれこれあっても一緒にいてくれる人たちがいたということは、どれほど幸せなことだったろうか。
それにしても、すごい先生だった。診断能力が高いというだけなら他にもそんな先生はいるだろうけど、それよりすごかったのは、その仕事へのこだわり。
美しくて分かりやすい写真、美しくてわかりやすい診断書をひたすら目指していらした。驚くべきことは、そうすればそうするほど、臓器の写真はシンプルで、診断書の文言も無駄のない平易なものとなる。
自分では、それなりに診断文がかけていると思っていたけれど太刀打ちできなかった。
病理医が目指すべき高みはまだまだ先にあった。
先生には、これまでやってこられたことに裏打ちされた圧倒的な自信があったからだろう、私に対して何も隠すことなく教えてくださった。そのことは、私にとっても見習うべきこと、自分が何を持っているのかをよく理解しなくてはいけない。
何はともあれ、あっという間の1年だった。そして、それは幸いにも幸せなものだった。
これで良かったと思える1年だった。
ありのままを書く