こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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戦争という異常によって正当化される狂気・・・2022年3月の読書記録

2022年04月02日 | 読書、映画、音楽、美術
 『海と毒薬』は先の大戦中に行われた生体解剖を題材とした話だった。解剖を行った医師たちに狂気はなく、それは淡々と行われていた。戦争という状況は人を狂気に導いているにも関わらず、それが狂った行為どころか正当なものであるとする。今、ウクライナで行われているロシア人による殺戮行為は狂気の沙汰としか表現のできない異常な状態であるにも関わらず終息の気配すらない。さらに異常なのは、ロシアが核兵器を世界中に打ち込む可能性があるということだろう。いまや狂人に億単位の人間の命が握られている。
 ジェンダー差別がどうのこうのということはとても大切なことなのだが、それも平和な時代にあって初めて問題にされることだ。ウクライナの人たちの絶望の前に、ペンの力が無力であるということは残念としか言いようがない。

読んだ本の数:3
読んだページ数:944
ナイス数:67

わかっているのについ口を突いて出てしまう一言、そんな何気ない一言が人を深く傷つける。人を傷つけるということ以上に、そういう社会を肯定していることについてよく考える必要がある。とはいうものの日常生活で一つ一つの言葉を注意しながら生きるというのは難しいことだが、何歳になってもそれではダメ。かくいう私は来年還暦、駄言を封印して真の大人を目指したい。
読了日:03月31日 著者: 

朝日新聞の書評(それがどのようなものだったかは忘れた)に惹かれて購入したが、今ひとつ。SFというか実験的な小説というかそんなところなのだが、筒井康隆ファンとしては、"これぐらいの作品、筒井だったらあっさり書いていただろう、それも何本も"と思いながら読み進めた。ラストはまったく筒井のそれであって、まあ、これはこれで今の時代の名作となって残るかもしれないが、私には拍子抜け。
読了日:03月31日 著者:エルヴェ ル・テリエ

冒頭の場面、重松清『疾走』のヒロインの少女がトラックにはねられた工業地帯の景色が浮かんだ。遠藤周作は"日本人とは何か"ということをこの作品を通して考えたというが、その試みはどれほど達成されただろうか。日本人とはこうだという枠を設定することは容易だが、そのことに拘泥してしまうと自虐的なものに堕してしまうように思う。たしかに、付和雷同、同調圧力、見て見ぬふり、低い自己肯定感といった伝統的日本人像を否定する気はないが。
読了日:03月10日 著者:遠藤 周作


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