ご遺体ならば解剖でいつも接している、というのは品の悪い言い方だけど、病理医も最近は患者さんやその家族と接する機会が増えてきた。病理診断科が標榜科となって病理外来を開設するようになったからだ。 この標榜科というのは、その病院にある診療科を外部に向けて知らせてよい科のことで、内科、小児科、耳鼻科、眼科とかいったようなものだ。
それまでは院内表示までだったのが平成20年に、病理診断科も診療標榜科の1つとなった。
院内で患者さんのため、臨床医のため、病院のために仕事をしているのに存在が消されていたのが、“病理診断科”と、その病院の看板に名前が出るようになったのだから、病理医自身のアイデンティティーもずいぶん確かなものとなった。 そうなると、病理医がいるのなら、直接その人から話を聞こうという人もいる。そのような方のために、病理診断科でも外来を開いて、われわれの下した診断を直接説明するようになった。
私も含め、患者さんに外来で説明する病理医は少しずつ増えて来ている。
案外、おしゃべりも多かったりして