事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ミステリはかくあるべし

2014-05-12 14:19:17 | ミステリ
煙とサクランボ (光文社文庫) 煙とサクランボ (光文社文庫)
価格:¥ 691(税込)
発売日:2014-04-10

近所の本屋に目的のものが見当たらなかったので何とはなしにゲト、さっすが、このヒトの作品はハズレがない
主人公は人間と話したりある程度この世と物理的接触(つまり物体を動かすこと)もできるという設定の幽霊、なんだがその存在にはいろいろややこしい縛りがあって不便も多い(もちろん便利なこともあるが)、そもこの幽霊たち(複数)が何で幽霊なんかやってるかと言えば(体質が合ってるということも重要らしいのだが)この世に未練を残してるからで、それが解決したら成仏して消えることになってるらしい(おかげで幽霊人口がどんどん増えることはない・・・らしい)

で、主人公の未練とは何か?これがミステリのミステリたる由縁なのでネタバレを自粛するとほとんど何も言えなくなる、だけどド非常識な設定にもかかわらずほとんど破綻がない、そんなアホなことがあってたまるかよと文句をつけたくなったりはしない(このスレッカラシがである)ことは保証してもいい(誰に言うとるんだ?)

ま、チャンドラーの後だからよけいそう思うのかもわからんけどね、何せ彼と来たら「**を殺したのは誰ですか?」と聞かれて「知るか!」と言ったというんだから-とこれは春樹のハードカバーで立ち読み、考えれば考えるほど重大問題なんだが、さて映画ではどうやって解決したんだろ(やっぱ自殺かな?カットするには惜しい映画的シーンだし)、これで「長編なのにほとんど破綻してない」(これも春樹)なんていったいどういう作者だよ?と言いたいとこだが、それほどに偉大だとも言えるわね、チャンドラーがじゃなくてマーロウが、作者にもどうして生まれたのかわからない名キャラってあるもんなんだよな、あれ、完全に話がそれてる・・・・・