事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

フォークナー3

2016-11-30 10:42:30 | 本と雑誌
響きと怒り」「アブサロム」を読んだらコンプソン青年とそのお父さんお祖父さんがどんなヒトたちなのか絶対気になると思う、幸いソニーにあったのでダウンしてみたらこれが読めない、目次からその章へ飛べないどころか30ページほどでハングして先へ進めなくなっちゃうのである、アタマへ来て会社へ電話で文句を言ったが今回は前回と違って金を返してくれるという展開にならない、「古い機械では読めない」とちゃんと表示したハズだ、アンドロイドかWin7なら読めるからそうしてくれとのことである、なるほどね、確かによくみれば私の機械には対応してないと書いてあるよ、前に私が文句を言ったからさうしたんだな、たぶん、だけどリーダーストアで売っててリーダーに対応してると書いてあればその先を確認するか普通、そも自分の機種が何なのかなんて前(今年2月とのこと、向こうが教えてくれた)に確認したけど忘れてるよ、今はもうすり減って読めんくなっちゃったし、ともあれPCを買い換える気もアンドロイドを買う気もないから約1300円なりをドブに捨てたことになる、面白くない
とは言え読みたいものを読めないのはもっと面白くないから古書をあさった、幸い手ごろな値段のがみつかったので注文、埼玉県の店は24日にゆうメールで発送してくれたのだが名古屋の我が家へ着いたのは28日だった、最近は郵便局もいろいろ事情があってクロネコメール並になったようなのである、着いたんだから文句はないが面白くない

というわけで講談社のこれ、ソニーとは訳者が違うから文体が多少違うし注釈も違う、男の子のベンジーが「わたし」と言うのはちょっと違和感だがクェンティンが「僕」ジェイソンが「おれ」だからしゃーないのかも、人物紹介でネタ割ってるのがケシカランと言うレビがどっかにあったがはてだうなのかね、もちろん作者はミステリを書いてるつもりなんだろが、彼らが何者なのか一応の知識がなかったら最初の章でやめちゃうヒトが多いんじゃあるまいか、という私はその章を適当に流して(後で読み直すことにして)2章に入ったところ、読み始めてすぐ「あ、あれはあの時だったのか」と納得できるくだりに出あって、この調子なら何とか行けそうと思った、以下次号(書かないかもしれない)

作者による「つけたし」を先に読んでもあんまし参考にならない、最初に登場する黒人少年をティーピーと書いているが本文ではラスターである(ベンジーがまちがってるわけじゃなさそう)、これはよくわかるんで後に書かれた「アブサロム」ではクェンティンが語る従者の名前が(その時点でまだ生まれてないハズの)ラスターになっている、つまり作者の中で(叔父甥に当る)ティーピーとラスターが入れ替わっちゃったのだった

さらに・・・お祖父さんの名前はジェイソン二世、南北戦争の後もかなり長生きして1900年に亡くなったとのこと(何歳だったかわからない)、お父さんはジェイソン三世で1910年の時点で引退してるから60歳ぐらい、つまり戦争をリアルで知ってる年代かと思われるが実体験の話はしない、その数年後に亡くなったようである(いつ亡くなったのかどっかに書いてあるのかもしれないが少なくともベンジーの証言にはないような)

パトリック・クェンティン

2016-11-29 11:45:32 | 本と雑誌
死を招く航海」これはQ.パトリック名義の方だそうでこっちの名前はあんまし邦訳がなくてなじみが薄い(私はたまたま知ってたが)、**パズルのウェッブ/ホイーラーではなくウェッブとアズウェルという女性の合作とのこと、言われてみれば女性視点なのかも(こういうのって無意味なんだが)、1933初出、作中のイギリス国歌が「ゴッドセイブザキング」、時代よなあ(クイーンじゃないということ)・・・とは言えネタは古くなっていない、ケイタイはなくて当たり前だが無電はあるから(電話線を切られて)情報が遮断されるという意味の密室は存在しない

事件はまことにシンプル、大金持ちが殺されてそれで利益を得る人間は二人の相続人だけとなれば、他に怪しげな人間(その一人は探偵)が何人いようと動機の点で除かれる、いや一応商売敵というのもいてそいつらも怪しいと言えば怪しいか、被害者はブリッジテーブルで毒殺されたので機会があったのはいっしょにプレイしてた人間、だがそのうち一人は正体がわからない、現場は大型船で航海が始まったばかりなのでほとんどの登場人物はお互い初対面なのだ「はてあいつ何者だったんだ?」「そんな名前のヤツ乗ってませんよ」・・・

細かいツッコミ、被害者が隣に座ってる人間を(たとえ変装してても)見分けられないということがあるかと言えば彼は近視だったという、どうも説得力があるやうなないやうな、隣の人間の顔がわからんほど近くのものが見えないなら向いの人間が出したカードが見えるわけはない、ブリッジなんてできないんじゃないか?この作者は近視じゃないのだな(実感)

ということはあるけどこの犯人には素直にやられたと言っとこう、実行犯はともかく共犯者はわからなかった、恋愛トリックがわりとうまく使われてるからね(おっとネタバレになってませんように)

Azonにつないだが私が読んだのはソニーにおいてたあった電子版、中身は同じだと思う、解説つきなのはグー、字が小さすぎる(私が言うんだから相当なもんだ)のはNG

追記-クイーンマニアには物足りないみたいね、この解決、そっかなあ、クイーンってそんな偉いかなあ、絶対クリスティの方が上だと思うんだがなあ・・・あれ、関係なかったかしらん?

ヘレン・マクロイ(ほぼ)コンプリート

2016-11-27 15:46:50 | 本と雑誌
死の舞踏」これがデビュー作とのこと、1938年初出、心理学者的探偵法なら我が乱歩の方が13年ほど先輩なのである(「心理試験」その乱歩はドストエフスキーに倣ったとのこと、へえさうだったの、知ってたとしても忘れてた)
2,4-Dって毒物がまだ使われ始めたばかりだったらしい、時代だなあ、私らの頃にはごく普通に使われてたんじゃあるまいか(もちろん殺人にじゃなく実験に)、今は一周回ってもう教科書にも出てないかもね、さう言えば作中人物が「ラマルクを擁護」したってのも時代、考えてみればアミノ酸が20個あることは知られててもそれがどうやってタンパクに組み立てられるのかすらまだわかってなかったあの頃、思えば遠くへ来たもんだ

ということはさておいてこれは言うまでもなく犯人当てミステリ、残念ながら私は真犯人があるマチガイをした時点で読めちゃった、何と言うか全然怪しくなさげでかつあんまし目立たない(他のキャラどもが個性的過ぎということもあるが)人物がこういう見え透いたマチガイをするということは何かあるハズ、でも怪しすぎるからもしや赤いニシンかも、だったらいいなと思って読み進んでた、典型的な「だと思ったよ、私ごときに読まれるようじゃまだまだ」なのだ、ま、デビュー作ってそんなもんかもね、怪しいヤツが真犯人でかつ意外という名作はさうあるもんじゃないのだ、やっぱクリスティはケタが違う天才・・・(どれのことってそらデビュー作だよ)

てなわけで入手可能な作品ほぼ読了かも、私の一押しは他のヒトとは違うと思うけど最初に読んだ「逃げる幻」かな「一人で歩く女」「殺す者と殺される者」もオススメ

猫探偵正太郎

2016-11-26 16:45:43 | 本と雑誌
猫は毒殺に関与しない」お気に入りシリーズの一つだがまだ紹介したことはなかったかも、このカードは故あって柴田さんご本人(正確に言えば光文社の担当さん)からお送りいただいた貴重なモノなのでもったいなくて使えない、今日までサイフに入れてお守りにして来たのだが(その間にサイフは代が変わった)、はてそれがいつのことだったのか記憶定かじゃないのである

表題作は作家ひとみさんの一人称、そう言えば今までこれなかったかも、どうやら彼女は命を狙われてるらしい、どう考えても人畜無害っぽい彼女が何で?と思うんだがヒトはどこで恨みを買うかわからんもんよね、さう言えば前にもストーカーに遭ったよーな、本人は気がつきもせんかったけど
猫は三日ですべて忘れる-正太郎いわく「忘れるのは恩だけ、そんなもの感じてない」かも
正太郎、恋をする-いつの間にやら去勢雄になっちゃったらしい彼、まさかまた恋をするとは思わなかったが・・・関係ないけど不運な編集者の糸山君はだうしてるんだろ?

ひとみさんが猫探偵シリーズを書いてるわけじゃないらしい、書けば売れるハズなのにね(と正太郎も思っている)

フォークナー2

2016-11-25 08:33:24 | 本と雑誌
アブサロム、アブサロム
篠田一士いわく「ミステリとしたらこれほどできの悪いものもあるまい」(意訳)
まさしくその通り、作者本人が巻末の年表で、日本語版の編者が(だと思う)冒頭の人物紹介と家系図でネタ割ってなかったら何が書いてあるのかわかる読者はほとんどいないのじゃあるまいか、もっとも一人称語りに徹することの利点を最大限利用した作品とも言えるわね
「主人公が何をしたのか作者も知らない」たとえば無一文の貧乏人が金持ちになる方法とか・・・本作の登場人物ってほとんどがカスミを食って生きてるんじゃないかと思うよ、純文学にもストーリーは必要(篠田が言ってるほどつぶれてはいない)、だけどリアリティは必ずしも必要ない・・・あ、これホメてるつもりだからね

今時間ないのでとりあえずアップ

追記-ミステリだとしたら最大の難は前半の語り手二人が事件の真相を知らされていないという設定だと思う、篠田は自分で訳してるのにコンプトン青年が「お祖父さんから事件の真相を聞いた」と思ってるっぽい、実際はあくまでお父さんから又聞きのハズ、お祖父さんも主人公からホントのことは聞かされてなかったと考えないとツジツマ合わんのじゃないか、ラストで40年以上行方不明だった殺人犯人がわざわざ戻って来たのは青年と老婦人に真相を聞かせるためだったハズ、2行で済むもんね
「あなたどうしてあの男を殺したの?」
「あいつは****で****だったからさ」(わざとらしく伏字、読者は本分を読む前から知ってることなので)