事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

新潮1月号2

2011-12-31 23:28:21 | 本と雑誌

ラジー賞を忘れてたわけじゃないのだが、何せ世の中これほどスリリングな読み物があふれてるのに何でわざわざ純文雑誌を読まにゃいかんのかと・・・いや読んだのはちょっと前なんだが

中村文則迷宮」-主人公の僕は34歳、法律事務所で債務を扱ってる、司法試験には受かってないがけっこう有能でかつまとも、まとも過ぎて実利一辺倒のボスと衝突し「おまえそんなキャラだった?」と言われたり(小さい頃はいろいろあったのだ、ボスがそれを知ってるかどうかはわからんけど)、そんな僕が元同級生の女の子と関わった、彼女は一家惨殺事件の生き残りで犯人は捕まっていない、現場は密室状態だったのだ・・・
これでもミステリ仕立てだからネタバレを避けると何も言えんくなるけど、けっこう正直に書いてるが故にアヤシイことだらけ、しかも目次の惹句は「人は覚悟もないまま悪を成すことができるのか(以下略)」バレバレじゃん、事件の真相はそう簡単じゃないけど簡単じゃないが故にこれを隠し通せたとは信じられん、ミステリだったらツッコミどころ満載、純文であるが故に許されるってとこだろか、でもそれなりにおもしろくなかったとは言わない、今までで一番よかったよ(3作めだけど)

池澤夏樹ベアマン」-北海道に住む私(若い女性らしい)、同じマンションの男=ベアマン(初対面)に頼まれてケージに入ったツキノワグマを遠野まで返しに行く、何でそうなったのか説明一切なし、おもしろくないとは言わんけど、北海道にツキノワがいる事情をちょっとは説明すべきなんじゃないかな、ベアマンよ、私の協力がなかったらどうしようと思ってたの?

吉本ばなな鬼っ子」-考えてみればこのヒトも初対面、宮崎に一人で住んでた伯母さんが亡くなって姪の私はその持ち家を片付けにでかける、伯母さんは小鬼の焼き物を作り続け、その中でもグロテスクなものを井戸の周りへ置いていた、親しくしていた裏の住人によればそれは自分の家のタタリを封じるためのもので家は売っても井戸は祠として残すという・・・
そういうの(タタリ封じ)って今でもあるのかな?信心を押しbつけて近所迷惑になるわけじゃないのなら、まーいっか、信じる者は救われるのかも

舞城王太郎やさしナリン」-やさし過ぎるが故に迷惑なダンナとその妹、妹が義理の弟にお金をつっこんじゃったおかげで話は面倒になるばかり・・・
このヒトってこんな作風だったんだ、世の中そう簡単に解決のつく問題はないって言いたいことそんだけ?そんなんお宅に言われるまでもないわ、いやまあ私は二度と読まんとは言わん、けど次はどこで会えるだろな


未読の山

2011-12-30 23:48:23 | 本と雑誌

ダールグレン-はていつ買ったんだったかな?

山尾悠子作品集成-早速届いちゃったのである、佐藤亜紀女史絶賛の「パラスアテネ」を読む、ヒトと妖怪が共存する異界の物語、これだけで完結してる気もするが連作らしい、先は長そうだ・・・

華竜の宮-SF大賞受賞、品薄だったらしいが新しいオビがついて来た、まだ最初の章だけ、「魚舟・獣舟」を読んでたからわかったが「双子出産」って?と思うヒトもいるのじゃなかろうか、ヒトとケモノの区別がなくなってる、山尾作品と共通するところがあるかも、字が小さいのでお買い得感あり、これまた道遠し

ペルディード・ストリート・ステーション-大森さんが「読んでも読んでも終らなくて予定が狂った(ウロ覚え)」とおっしゃってたシロモノ、近所の本屋にて発見、まだ開けてもいない

Boy's surface-確かに買ったと思ったのにみつからないのでもう一回買った(のが1週間前のこと)

そしてユリシーズ-まだ一冊目

日付変わる前にとりあえずアップしよう、でもって続き(12/31)

男同士の絆-シェイクスピアのソネットがけっこうおもしろい、へえそんなストーリーだったのか、どうもあんましなじみのない作者が多くてね、ディケンズの「我らが共通の友」って読んだハズなんだが全く思い出せぬ、たぶんわけわからんかったんだろな、「エドウィン・ドルード」は読んでない、売ってるだろか、それはさておいて訳文には問題ありさうだな、「キャノン」とは何だよ、そら大砲だろが、「カノン」=正典じゃないの?

時間封鎖-太陽の寿命が終わったときに火星が助かるとは思えんのだがなあ、土星ぐらいまで行けばひょっとしたら・・・と常識人はつっこみたくなるのであった、作者は私とほぼ同年代、と思ったけど赤色巨星と言っても大きさは地球の軌道程度のこともあり、表面温度は低くなるから火星まで離れれば大丈夫かも、土星では寒くなり過ぎ、木星でもどうか、ともあれ非常識なのはこっちだったらしい、読むかな?

図書館戦争-「阪急電車」作者のSF、何となく敬遠してたのだが文庫になってるし大森さんおすすめだし・・・

あなたのための物語-おそらくは実現しないと思われる「人格を持った機械」のお話なのかな?次はこの3つのどれかで行ってみるかと・・・


坂の上の雲 CD

2011-12-29 21:23:22 | テレビ番組

ピアノ&コーラスピース NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 ピアノ&コーラスピース NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲
価格:¥ 735(税込)
発売日:2009-12-17

DVDは買わんけどCDなら買ってもよいと言ったらほんとに売ってたので買ってしまった(と思ったけどこれCDじゃないな、azonの検索ではうまく出ないのだ)、2年前番組が始まった時にはもう作ってあったのね、なるほど商売とはそういうもの、今PCで再生しながら書いている、旅立ち、松山、青春、サムライ、戦争・・・どれも何となくそれっぽい、買ってよかった、だけどこの時点でまだ本格的な戦争は始まってなかったハズ、この後広瀬武夫のテーマ(これは絶対あったと思う)とか正岡子規のテーマ(これはなさそうだな)、旅順、奉天、日本海それぞれにBGM作られたハズだよね、売るのかな?(私はもう買わんけど)

ところでだうでもよいことながらドラマの終り近く、夏目漱石が自分の書いた「大和魂」(「猫」の一節)を読むシーンがあった、これは元ネタにはない、こういうのもうちょっと思い切りやってもよかったのじゃなかろうか

秋山真之が正岡子規の墓へ参った、その時お母さんがチラと見かけて妹にそう言ったというクダリは元ネタそのまま、真之と子規の妹律の間に心の交流があったのでは?というドラマの設定はここに由来してるんだと思う、だったらここでもうワンカットほしかったかと・・・いやちょっとむつかしいかな

さて作者は何も言わずに引いてるだけだが東郷平八郎のいわく

百発百中の一砲、能く百発一中の敵砲百門に対抗しうる

しえないよ、東郷ほどのヒトにそういう単純な算数がわからんかったとは思えん、だけどそう言わざるをえんこともあったかな、「対抗しうる」と言ってるだけで「勝てる」とは言ってないし、日本海海戦はというか日露戦争はまさにそういう状況だった、かくして日本は海軍も破滅へ向かったんだね、ああ・・・・

NHKスペシャルドラマ 「坂の上の雲」 オリジナル・サウンドトラック NHKスペシャルドラマ 「坂の上の雲」 オリジナル・サウンドトラック
価格:¥ 2,800(税込)
発売日:2009-11-18

CDはこれ、ちゃんとみつかった、さっきはどこでまちがったのか?


ジョージ・ソーンダース

2011-12-29 18:30:29 | 本と雑誌
短くて恐ろしいフィルの時代 短くて恐ろしいフィルの時代
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2011-12-27

ラジー賞にかかわってなかったら間違ってもこんなもの買わんかったと思う、だけど先月新潮に載ってた作者、訳は岸本佐知子さん、でもって確か豊崎女史が期待して元本を買っちゃったとおっしゃってたと来れば、近所の本屋でみつけたその時に買わずんばあるべからずではないか
で、これがどういうお話かと言うと・・・
登場人物がヒトではないどころか生物でもない道具や機械を複雑に組み合わせたモノども、彼らがわずかな土地を争ってモメてると、あれやこれやで思いもよらずとんでもない事態に発展してしまった-と思ったらそこへ作者=神様が出てきて「どうもオレまちがったみたい」とみんなを組み立てなおす、もちろんそれで万事めでたしじゃないんだが(あ、ゴメン、これネタバレ)

アメちゃんてのは解決策として猟銃だけじゃない、神様まで持ち出すのね、全く何と言ったらよいのやら、日本人はここまでせんのじゃないか、いや〆切に追われたらするだろけど6年かけた書き下ろしにこういうことはやらんし、やったら殺されるんじゃないかなあ(されない!!)

一応言っとこう、このタイトル

The Brief and Frightning Reign of Phil=短くて恐ろしいフィルの時代

というのが岸本さんの訳なんだけど機械の自動翻訳は

フィルの概要と恐ろしい治世

なんだ、合ってる・・・合ってるよ、恐るべし機械!!!


山尾悠子

2011-12-28 17:01:58 | SF
ラピスラズリ ラピスラズリ
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2003-10

初対面である、ハコ入り、布張りのハードカバー、この私がこんなもの買うのは何年に一回のイベントだ、かなり入り組んだお話なので一読何のことか全然わからない、二読めの最初の方で「あっ」と思う、だけど「小説中小説」の後編にしてメインディッシュに当たる第3章は時間軸が乱れてるせいもあって、おおよそのスジは読めるものの最終的にどうなったのかよくわからない、第4章もナゾめいてるが序章を受けてると考えれば何となく見当がつく(でもそれが正解かどうかはわからない)・・・

わけわからんくて申し訳ない、テーマは「冬眠者」である、語り手の「私」は駅にある画廊で本の挿絵らしい銅版画を見せられる、店主は「これは冬眠者を描いた物語だと思う」と言ってタイトルを教えてくれる、そのうち一枚は「使用人の反乱」
2章と3章はヨーロッパのどこかに暮らす冬眠者の一族に起きた事件の顛末、使用人の反乱で眠ってるうちに森へ放り出されたれたわけではないようだ(それは過去に起きたことらしい)が、経済的に破綻して彼らに見捨てられたとも、一部は痘瘡にやられ、また森から戻った死者たちに襲われて館が炎上したとも読める、思いっきり技巧的な「小説中小説」が途中で終わってるのかも(最初に見せられた銅版画、ラストの1枚が説明されぬまま)
4章の主人公は文明が衰退しどうやら大きな災厄に見舞われたらしい遠未来日本のどこかに暮らす冬眠者、序章の私と同一人物ではないがその子孫かと思われる(いややっぱし本人なのかもと思えなくもない、この章は回想で今はどうなってるのか意図的にボカしてる)、また主人公と姉(らしき女性)の関係は2,3章に登場する姉妹(序章のタイトルだけで説明されない銅版画「幼い少女と姉」)と重なる
終章は13世紀のヨーロッパで晩年の聖フランチェスコが冬眠者の青年と会話する、3,4章の一族も日本人の「私」も彼の同族なのだろう・・・・

とにかく不思議な読み心地の作者、作品集買うかな、高いけど

追記-ドヒャ、アップしてから気がついたけど文庫版が予約受付中ではないか、そらねーだろ、ま、しかたないか、本屋でみつけたら解説だけ立ち読み・・・と思ったけど「銅版画」のプレミアとかがついてたらきっと買っちゃうだろな