事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ブーリン家の姉妹-続き

2009-02-27 22:57:41 | 映画

映画にするためにはしょったところはいろいろあって、たとえば本来の主役であるメアリーの人間関係、最初の夫(病死、ほとんど何もいいことないかわいそうなヒト)、ヘンリー8世との間に生まれた娘と息子(エリザベス朝で健在だったとのこと)、そして二度目の夫(アンのスキャンダルから果敢に妻と子供らを守った-らしい)
政治と宗教関係のいろいろ-キャサリン王妃の甥っ子で当時(たぶん)ヨーロッパ最強の君主だったスペインのカルロス一世、ローマ法王、枢機卿その他の聖職者、大法官のトマス・モア・・・説明ややこしいし舞台をイギリス以外に移せばそれだけよけいなセットが必要になるし、キャストも増えるし

なんてこととは別に元ネタと設定を変えたのは主に次のことども

1.ヘンリー8世が落馬してみんながあわてるのは終り近くになってから、その時王妃のアンはエリザベスを後継にして自分が摂政になる-などと平然としてたから完全にアイソをつかされ、ジェーン・シーモアが真剣に介護してしっかり王の心を捕らえるんだが、このエピソードを映画では最初メアリーが気に入られた時に使ってしまった、別にそれでもいいけどそれじゃジェーンはどうやって点数を稼いだのかわからない

2.ヘンリー8世、最初こそヨーロッパきっての美丈夫にして聡明な君主ということになってたが10年たつうちにデブで冴えない中年しかも自分勝手な暴君に成り下がったと言われ放題(視点がメアリーだからなおのことキビシイ)-イケメンの彼にそんな役をやらせられないのは当たり前ながら、それやこれやでお話がリアリティを欠くことに・・・・

3.映画版では弟にしか見えなかった兄貴のジョージは実はホモ、彼と4人の取り巻きがアンを妊娠させるために悪魔と取引したというのがアンと彼らに着せられた(無実の)罪状だった、日本では信じられないことながら当時のヨーロッパでホモは殺人にも匹敵する重罪だったのだ-これを21世紀に映像化するのはムリがあるわね、ホモは人格とも犯罪とも関係ないし悪魔崇拝やら魔女狩りやらはホラーにしかなりえない-けどおかげで映画が元ネタほどドラマティックじゃなくなったことも事実で・・・・

キャサリン王妃は6回妊娠し何回かは出産にも至ったが無事に成長したのはメアリー女王一人だった、アンは結婚してすぐエリザベス女王が生まれたのにその後3年間のことはよくわからない、一児不妊だったのか、小説にあるように流産死産を繰り返したのか・・・何にしても原因は亭主の方にあった可能性高いよね、エドワード王子も病弱だったし、梅毒を疑うヒトもある、ま、そんなとこだったのかも-でも言えない、それだけは言えない、そういう世の中だったのだ

というわけで、中途半端な映画化ならせん方がよかったという考え方もあるかも-どうなのかなあ、こればっかしはわからない・・・・・


ブーリン家の姉妹

2009-02-26 23:57:15 | 本と雑誌
ブーリン家の姉妹〈下〉 (集英社文庫) ブーリン家の姉妹〈下〉 (集英社文庫)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2008-09
ブーリン家の姉妹〈上〉 (集英社文庫) ブーリン家の姉妹〈上〉 (集英社文庫)
価格:¥ 880(税込)
発売日:2008-09

まいったね、あの映画に元ネタがあってそれがこんな大長編だったとは

本が売れたから映画を作った-という典型的な「便乗型映画」だったのね、尺の関係でいろんな情報を(特に読んで疲れるところを)ケズりまくって、映像としてキレイに出せるとこだけ残したらああなったってことか、ある意味納得

けどいまいちつまらんものになっちゃったことも確かよね、あんまし受けなかったのもしゃーないかも・・・・・

あ、わけわからん人、ゴメン、いろいろ言いたいことはあるけど時間ないのでまたこの次


とりあえずのアップ

2009-02-24 23:46:48 | 植物

私は今日も生きてます-というわけで庭の花
Sikuramen Ume2 Ume



「ベンジャミン・バトン」大きな賞を取れなかった、特殊メイクが評価されただけだったみたいね、何もないよりはいいけど、でも彼と彼女ちょっと残念かも

「ダークナイト」のジョーカーが助演男優賞、そっか、助演の男性諸氏みんなよかったけど(主演のバットマンが一番ワリ食ってたかも)、亡くなった方が代表で-ってことかな?

「おくりびと」を今さらお金払って見るのはシャクだからTVで放送するまで待とう-と日付変わる前に・・・・・


映画版ベンジャミン・バトン

2009-02-22 21:23:18 | 映画

時間が空いたので行って来た、なるほど名作、読んでから見た視聴者として、どんな意味でも文句のつけようがない、ここまで作りこまれた映画ってそうはないのじゃなかろうか・・・・

2005年8月、巨大ハリケーンが接近するニューオーリンズの病院で老いた女性が40代の娘に古い日記を読んでくれと言う
「今は1985年、私ベンジャミン・バトンは第一次大戦が終わった年(1919年)に生まれた」-つまり暦年齢は66歳だが-ヒャー、なるほどその手があったか・・・・・

母親は生れた時に死に、若い父親は老人にしか見えない新生児(小さい)の自分を老人ホームの石段に捨てた、幸い親切な職員に拾われて老人たちといっしょに面倒を見てもらい、それなりの教育も受け、17歳(見た目は約60歳)で-これまた幸い世話好きな船長に会えたので-船乗りとして世に出た

世界を巡り、ソ連で倦怠期の人妻と束の間の恋をしたり(この人が60代になってからドーバー海峡を泳ぎ渡って彼を元気づける)、第二次大戦に徴用されて仲間と船を失ったり、ニューオーリンズへ戻ると実の父親が名乗り出て彼を相続者にしたり、49歳(見た目30代)になってから昔なじみの女の子(彼女も40代)と結婚して娘が生れたり・・・

だが娘のために自分はいない方がいいと、父親から引き継いだ事業を処分して放浪の旅に出、戻ってみると奥さんは再婚していた、娘はもちろん彼が誰だかわからない・・・・

そして数年後、記憶喪失の幼児として保護された、老人ホームにいた身内の女性が自分の弟だと言って引き取り、そこへ夫と死別した奥さんも入所、2003年奥さんに抱かれて息絶えた・・・

最初に戻る、ハリケーンの水がどんどん増して来て・・・・・完(重態だったけどまだ生きてた老婦人=奥さん、どーなったんだろな、やっぱ心配かも)

スコット・フィッツジェラルドが元ネタを書いたのは1922年だった、この時期、作中のベンジャミンはハナタレ小僧としてまだ生きている、彼が死ぬ前年(29年)に大恐慌が起きるなんて作者は知るよしもなかったのだった

それから80年、ヒトの本質は決して変わってないハズだけど世の中は確実に変わった、環境がよくなってヒトは平均的に長生きになり、それだけ人生のシュンを(うまく行けばだけど)長く楽しめるようになった、また家事の省力化が進んだので女性が家庭に縛られる時間は昔よりずっと短くなって女性の社会進出が進んだ=女性の社会的地位がはっきり上がった-というわけで、あの元ネタを21世紀に映画化すればおおむねこんな感じになるかなと・・・・この記事のトップに戻る

最後に一つ、彼も彼女も子供時代は子役がやってます、特殊メイクで年寄りにはなれても子供はムリ、考えてみれば当たり前だよね