「本格小説」のどこがスゴいって、キャサリンに当たるヒロインが二人の男に死ぬほど愛されるにもかかわらず、それほどの美質を持ってるとは全然思えない書き方で作者が平然としてるってことかな?確かに元ネタでもそう魅力的かどうかわからんけど、とにかくもカワイイし活発で生命力にあふれてる、ちょっと男の子っぽいてなことはわかる(たぶん作者がそういうヒトだったんだろね)、こちらのヒロインと来た日にはかわいくない上に不器用で運動能力ゼロ、そらこの私じゃないかよ!(笑-じゃなくてホント)
またヒースクリフとエドガーが何となく仲良くなっちゃって、キャサリンを共有することにさしたる抵抗を感じてないらしいというのもかなりスゴい、元ネタのヒースクリフはエドガーをバカにしきってて「あんな野郎、80年生きたところでオレの1ヶ月分も愛せるもんか」(「金色夜叉」の貫一は絶対マネしてますね)なんて言ってる、エドガーの方はちょっと鈍くてヒースクリフを問題にしてない、キャサリンの心が自分にはないことに気づいてないから多少救われてる、亭主として奥さんに愛人がいることを知りながら心穏やかでいられるとしたら、そら聖人かアホかどっちかだろ、いやま結局どっちでもなかったからついには破局となるんだが・・・・
で、どこがミステリなのかって、語り手のエレン・ディーンが元ネタでは完全な第三者として真実を伝えてるという設定だけど、実はもうちょっと深く事件(特にキャサリンの死*)にかかわってたんじゃないか-と考えついた時から「本格小説」の構想は始まったんではないかと(見て来たようなウソ)-あ、これ以上はネタバレになるので言えない、ぜひ買って読んでちょ
*注-よく読みなおしたら、はっきりほのめかして(どういう書き方だよ)はいなかった、ただロックウッドに当たる若い男が「悪夢に悩まされた」ところがそれであると(飲んだくれてた時には)読めたのだった、わけわからんくてゴメン、だから買って読んでちょ、元ネタも是非ね