事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

阿南シリーズ最新作

2011-07-31 18:34:43 | ミステリ
無伴奏 無伴奏
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2011-07-27

ようやく読了、いやもうミステリってホントにいいものだなあ、ほんのちょっとの間でも純文に浮気してたなんて、我ながら恥じ入るばかり、オバハンは若い男に頼られると(いや頼られたと思い込んじゃうと)弱いもんなんだよ

前作で孤独なお年寄りに頼られた阿南さん(別にそのせいでもないだろけど)、10年後の今、岐阜でヘルパーの仕事をしている(一時期配送をやってたこともあるらしい、そん時どっかへ出演したのかなあ?)、例によって文句なしに有能、脳梗塞で寝たり起きたりのお父さんを世話してくれと同居のお兄さんに頼まれたが・・・・

舞台はほとんど阿南さんの家族が住む浜松で岐阜県は岐阜羽島の駅前がちょっと出るだけ、あんなとこに店なんかあったかしらん、いや今はあるかな、彼クルマを持ってないらしいけど岐阜市内からどうやって行ったの?あ、今は電車があったか、でも20分で着けるかなあ、しかも名古屋から(か浜松からか)来たクルマが見張ってるって・・・・・おっとこれもしやネタバレ(じゃないと思うけど)

え、アラ探しにもワケがあるんじゃなかったのかって?そら岐阜県人だからね、死ぬまで岐阜県人だから岐阜県のネタは特別、それにケナしてるわけじゃないよ、太田さんのミステリであるが故にこうでなくては(一気呵成にナゾを解かなくては)いけないとも思ってるし、これでミステリが成り立たなくなるわけじゃないし

あ、お年寄りの一人が「梅を見に行く」って言ってる、これ梅林(バイリン)だろな(と勝手に決める)、阿南さん、必ず行ってね、私はもう長らく行ってないけど・・・・・

てなこととは全然関係なく、太田さんのおっしゃる通り、歳をとっていいことは少ないよね、ないとは言わんけどそれも私らぐらいまで、あと20年生きたくない-と死んだオヤジも言ってたな、あん時、今の私よりちょっとは年上だったかもわからんけど、結局テクノロジーは進歩しても世の中そんなに変わってないんでないの?


ストレートにミステリ

2011-07-30 19:05:59 | ミステリ
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド) 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2011-07-15

これを出さなきゃミステリ読みの名(そんなもんないけど)が廃る-という文句なしのミステリ、大ヴェテラン皆川博子女史の新作である、いやこういうものを読むために私は存在してるのだ、わけわからんものを純文と称してわからんヤツはアタマが悪いと言ってれば済むどっかの雑誌に金払うためじゃなーーい!!

舞台は18世紀末のロンドン、最先端の科学であればこそ全然金にならない「解剖学」のために法律違反も知っちゃいない、だけどいささか世間にはウトい学者の先生と、そんな先生のために汚れ仕事をいとわない若き弟子たちのところへナゾの死体が次々やって来る・・・あれ、何か違うな、これじゃずっと昔、海渡英祐さんがやってた「吉田警部補シリーズ」みたいじゃん(と言ったって誰も知らんよなあ、おもしろかったんだが)

解剖学教室へ死体が現れるにはワケがある、そいつらが顔や手足を損傷されてることにもそれなりの事情がある、スレッカラシの読者なら怪しいヤツの見当はつくハズ、また死体の身元が言われてる通りのもんじゃないことも、死体損壊の目的も

だけど真相は見抜けないと思う、ラスト数ページを読んだら誰でもアッと驚くと思う、だからだまされたと思って買ってちょ、絶対損はさせんから-今ちょっと時間ないのでこんだけ、後で追記するかも

早速追記-ツッコミどころはあるよ、そもタイトルの英語が変、だけどそれがミステリとしてのテーマを価値を傷つけてないなら私は別につっこまないのだ、アラ探しにもワケがある(誰もわかっちゃくれんだろうが)


鉄腕アトム

2011-07-29 21:20:02 | 本と雑誌
やけで連投する、「新潮」に載った高橋源一郎の「アトム」を若い友人がえらく評価してるから
私にとって彼はカスな作家だった(こちら)、一作しか読んでないのに作家をカスと呼んじゃいかんのかもしれんが「官能小説家」はモロにカスな小説だったんだからしかたあるまい

というわけで(どういうわけで?)「新潮」を買った、ホント新潮社、集英社、講談社殿、ラジー賞を考えたイカちゃん(我が若き友人)に感謝してくれよな、こんなことがなきゃ絶対売れなかった雑誌が1冊よけいに売れたんだから(するわけないけど)

で、「アトム」だが・・・
未来の記憶を持ったまま時間を逆行する語り手-これ私ダメなのである、生理的に受けつけん、まさに文字通りの意味で吐き気がする、食卓で食事を吐き出すって、よくそんなシーンを平気で考えられるなあ、トイレはどうするの?(ギャーーーーーー)
学校で習ったことを忘れる、そらいーよ、だけど何で足し算を忘れるのに引き算するの?逆なら多少は納得なのに、それもわざとやってるのかわからんけど、もしいいかげんにやってるんだったらと思うと(その可能性高いから)イラつく
そも天馬博士は亡くした息子の代わりにアトムを作って、やっぱしアトムは息子じゃないから失望して捨てたけど、でも捨て切れなくて見守ってるって設定なんだよね?悪い、そこんとこ私はリアルで知らないのだ、知ってるのは60年代のノー天気なアニメだけ
で?どうして天馬博士とその死ななかった(らしい)息子が世界を破壊しようとしてアトムと戦うことになるわけ、ちゃんとわかるように説明してちょうだい

高橋が私よりちょっと上、まさしく鉄腕アトムの世代であるが故にこんなものを「純文」として書くのは許しがたいのである、文句あるならいつでも言って来やがれ!!!


オレステス

2011-07-29 11:25:14 | SF

このキャラはギリシア神話の世界でかなり重要な位置を占めている、父はトロイア戦争でギリシア方の総大将を勤めたアガメムノン、母はクリュテムネストラ、この女性の妹がトロイア戦争の原因になった絶世の美女ヘレナである、オレステスには二人の姉がいた、エレクトラとイフィゲニア-とこれだけ書けば後は説明不要なんじゃないかという気もせんではないけど、実を言えば「タウリスのイフィゲニア」がどんなお話なのか、この私もつい昨日まで知らんかったわけで、ここは屋上屋を架す長文を記すかなと思う次第なのである(せんでいいって?まあまあ)

トロイア戦争とは何か?ということはこちら、トロイアの王子パリスがスパルタの王妃ヘレナを奪ったのが原因ということになってるのだ、これがホントかどうかは・・・まあだうでもよい、オレステスは戦争が始まった時まだ子供だったようでトロイアへは行ってないらしい、彼が登場するストーリーは以下の3つ

まずは「アンドロマック」(こちら)、愛するヘルミオネ(ヘレナの娘、つまりイトコ、英語読みはハーマイオニー、アッと言われる方も多いと思う)のために恋敵を殺して発狂するという役だが、このラストはたぶんラシーヌの創作だと思う、彼はこれからまだ忙しいのだ

次は「エレクトラ」(こちら)、父を愛して母を憎む女の子の感情をエレクトラコンプレックスとか言うが、エディプスコンプレックスの「オイディプス王」が全く違うお話であるように、こちらもちょっと違う、実際に母を殺すのは弟のオレステスで、これは浮気な母親を憎む男の子のお話なのである

そして「タウリスのイフィゲニア」、ちょっと長いけどこちらがよいかと思う、アガメムノンがイフィゲニアをいけにえに捧げたという発端に元ネタがあるかどうかは知らない、ともあれイフィゲニアは生きていて、母殺しの罪で追われるオレステスと再会する、いろいろあるけどまあめでたし-と、上のwikiによればオレステスの友人ピラデスはエレクトラと結婚したみたいね、しかしこの音楽メチャよさげではないか、思わずレコードを注文してしまった、輸入版だけどこの解説があれば大丈夫・・・かな?

何で急にこんな話になったかといえば雑誌「群像」に「塔の中の女」(間宮緑)という長編が載ってて、登場人物が主人公のオレステス、友人のピラデスとヘルミオネ、姉のエレクトラと妹(らしい)イピゲニア-なのである、以上の元ネタを知らなきゃこんな名前を出せるわけがない
ところがさてどんなお話かというと、オレステスは家族の記憶がない、ピラデスの家で養われてヘルミオネと知り合い、姉のエレクトラに出会って復讐を吹き込まれ、城へ乗り込んでモンスターと闘う・・・・舞台は異次元世界で物理法則も微妙にこの宇宙とは違うらしい、一応の文明(電灯、ラジオ、電話、クルマetc)はあるが社会の状況はギリシアローマ時代かも、モンスターと来た日にはガラクタをかき集めた機械でありながら性格はヒトそのものというシッチャカぶり(ってヒトがヒト以外の精神構造を考えつけるわけはないんだが)

普通なら「何かわけのわからん話だなあ、純文てのはこんなわからん書き方でよいのか、ある意味気楽だな、わからんヤツはアタマが悪いとか言ってればよいんだから」で終わらせるところなのであるが、登場人物の名前をギリシア神話からとってて、各章のタイトルにもギリシア語訳(らしきもの)をつけてることにどんな意味があるのか、それを考えると眠れなくなるのだ(半分ホント)、たとえば紙魚(シミ)というモンスターは昆虫のシミではない異形のモノだが、そいつがparazito(だったと思う、今手元にない)になってる、これって「寄生虫」じゃない?とかね

というわけでとりあえずアップ、皆様のご意見を賜れれば幸いです


さよなら、小松さん

2011-07-28 16:47:33 | SF

26日に亡くなられたとのこと(こちら)
今度こそもう絶対に新作が出ることはなくなったんだね

世に作家の数は多けれど私にとって小松さんは別格、たぶん最初に「著者名と作品」を結びつけて「このヒトが好き」と思った作者だと思う(新聞あるいは「学研の科学」に載ったSFショート)
だから何があろうとあなたは死ぬまで我が最愛の作家でございます、アーメン