■■【健康・環境】 懸念が進む北極圏の温暖化 12a13
2005年2月16日に「京都議定書」が発行しましたが、グローバルに見回しても一向に地球温暖化への気運が高まっていません。それどころか、自国の事情を背景に、自国擁護の動き優先で、一向に温暖化防止への動きが見られません。
■ 懸念が進む北極圏の温暖化
だいぶ前のことになりますが、NHKの室山哲也解説委員が、北極の異変について警告していました。
すでにいろいろなメディアで報じられているように、今年の夏は、北極海氷面積が観測史上最小を記録しています。当然、これは地球全体の環境にも深刻な影響を及ぼすでしょう。
1980年の北極と比較しますと、大きく衰退し、今までの最少の2007年と比べても日本の面積2個分がさらに減少しているという深刻さです。
北極の氷は「多年氷」(越年氷)と「一年氷」(一年でとける氷、平たく割れやすく溶けやすい)があります。室田氏の懸念は、ことしはほとんどが一年氷であることです。効率の質が悪化したといえます。
皆さんもご覧になったことがあると思いますが、ホッキョクグマが氷の上に乗ったまま漂流したシーンがあります。これがその現象の代表的なものです。
南極の場合は、北極ほど深刻ではないですが、北極は氷の厚みが南極に比べて極端に薄いことです。
原因は地球温暖化ですが、それに他の要因が重なって、加速度的変化が起きているといいます。
温暖化で氷の一部に隙間ができますと、そこがきっかけになって氷が移動を始め、それが海流に乗って回転運動となります。その結果、それがポンプの役割をして、あたたかい太平洋の海水を北極海の奥深くに呼び込み、氷ができにくい傾向になっていっていると、室田氏は解説しています。
北極と南極の氷は、太陽光線を跳ね返し、一種のラジエーターの役割を果たしていて、地球の気候を安定させています。北極の氷がなくなりますと、地球全体の気候のバランスが崩れ、予期せぬ影響が懸念されるのだそうです。
また北極海の海水が温められますと、海流も強くなります。すると、周囲の環境や生態系にも影響をあたえるといいますので、日本への影響も考えられるわけです。
一方で、北極海に氷の隙間ができることで、すでに「北極航路」の開拓をすすめている国もあるようです。
今まで南回りの長距離を航海していた船が、進路を変えて北極航路を利用しますと、燃料も節約でき、温室効果ガスの排出も減るといいます。温暖化が、皮肉なメリットを引き起こすことになります。
北極圏には資源もあります。石油が世界の1/4、天然ガスが世界の30%といわれているのです。各国がこの資源に目をくらませ、資源の収奪競争をはじめますと、今までと同じように大量に化石燃料を燃やすことになり、地球温暖化をさらに悪化させることが懸念されます。
【 コメント 】
砕氷船を持つ日本が独自研究をし、北極海の異変の影響を科学的に調査するなど、国際貢献をして、日本の存在感を高めることも必要ではないでしょうか。