人情あふれる、人生模様を感じる物語
とある港町、運河のほとりの古アパート『霧笛荘』。メチャクチャ安い家賃、半地下の湿った部屋。
わけ知り顔の管理人の老婆が、訪れるものを迎えてくれる。
誰もははじめは不幸に追い立てられ、行き場を失って霧笛荘までたどりつく。しかし住人だちはしだいに人生の真実に気付きはじめる。
・・・本当の幸せへの鍵が、ここにある。七つの優しさにあふれた物語です。
『港の見える部屋』に住む無気力なホステス千秋、どうしても死にたくて醜い男と寝ることで薬を得る、けれどうまく生きられない女は、うまく死ぬこともできない。
『鏡のある部屋』の眉子は、人目をあつめる美貌の女。彼女はかって裕福な社長夫人だったがある理由でその地位をなげすてる。
『朝日のあたる部屋』に住む・チンピラ・鉄夫は飛びぬけた人情家
『瑠璃色の部屋』に住んだ四郎はミュージシャン志望の青年で、足の不自由な姉の助けで上京してきたが、現実にはばまれて進めなくなっている。
『花の咲く部屋』のカオルはオナベを自称しているが、実はだれも愛せない女、本当はレスビアンでないが、そうゆう自分うぃお作り出さなければ生きていくことができなかった。
『マドロスの部屋』の園部は元特攻隊隊員 霧笛荘のキャプテイン
最後『ぬくもりの部屋』は管理人 太太自身の物語・・・・
いわゆる勝ち組・負け組という、いまどきのいやな言葉で区別すれば、みんな負け組にはいる連中ばかりです、しかしほんとに負け組なのか・・・
一気に読んでしまいました、久々にハートウォーミングな物語に入り込んでしまった・・・
浅田次郎の小説はほんとにぐいぐい引き込まれる、短編集でもその短い中でぐんぐん引き込まれる魅力がたっぷりだな。