物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

自分の数学

2018-01-11 18:05:37 | 数学

をつくりたいという気がしている。これはちょっと誤解を招く表現だが、新しい数学をつくるという意味ではない。そういう意味ではつまらないことだろうが、発見法的に納得できる数学をつくりたいということである。

世には秀才の方々がたくさんいて、それらの方々の数学の理解とか物理の理解とかにもときどき感銘を受けることがあるが、それでもそういうことはあまり多くはない。

数学というモノは論文として提示されるときにはきれいにまとめられて論文が書かれるので、なかなかそのはじめの原点がわかりづらいのである。

たとえば、微分積分学でも数学をつくるというような観点から書き直しをしたいという考えをもった人もときどき出てくる。「数学・物理通信」の共同編集者の N さんなどもそういう気持ちの強い人である。だが、残念なことに彼は病気で仕事があまりはかどらない。

それでときどき会いに行って話をするときにいつも彼の焦燥感を感じてしまう。これは悪いことばかりではないので、ときにはいいふうに回ることもあるであろう。だが、気持ちだけがあせるのはあまり精神的にはよくない。

私にしてもほんとうに自分でも納得できるような事項の方がすくないので、まだ納得したことが点にもなってはいない。点から線になり、それが面へと広がっていくことを期待したいのだが、なかなかそうはいかない。


複素数に i をかけると

2018-01-11 12:59:04 | 数学

この複素数 a+bi をガウス平面で90度回転したものが得られる。このことを証明しようとして、いろいろ考えた。

一番初めに考えたのは、原点と座標 (a,b) とを結ぶ直線と原点と座標 (-b,a)とを結ぶ直線の傾きの積が-1となることを用いた。それだと

(a/b)(-b/a)=-1

となって二つの直線が互いに直交していることを示すことができた。

ところが、わたしはなぜ直交する二つの直線の傾きの積が -1 となるのか、その理由を知らないことに気がついた。この理由を知らないことに気がついたので、他のいくつかの方法で座標 (a,b) が90度だけ反時計回りに原点のまわりに回転すれば、(-b, a)となることを調べた。

その詳細はブログに書くことができないが、 (a,b) と(-b, a)とをベクトルと考えて、その内積が0になることとか、原点のまわりの90度の回転の行列をかけて、 (a,b) から (-b, a) が得られることとか、a+bi=r(\cos \theta +i\sin \theta)がi(a+bi)=r[\cos (\theta +\pi/2)+i\sin (\theta +\pi/2)]となることを示した。

それらの方法で -b+ai は a+bi に i をかけたものだが、それは  a+bi を原点もまわりに90度回転したものであることは疑うことはできなくなった。

ところが仕事場に来て、一番初めに考えた、はじめの直線の傾きが -1 になることの理由を調べてみたが、私の持っている本は少なくはないはずだなのだが、なかなかその証明には行き当らなかった。

とうとう、何十年も前に子どもが使っていた、高校の数学の学習参考書に確かめ問題としてこの知識が出ているのを見つけてようやく納得したが、このことを示す方法はいくつもあるらしい。そのうちのたったひとつをようやく知っただけである。他の証明もこの機会に知りたい。

いやあ、自分にとって当然と思えた知識もまったく、その理由をよく知ったうえで使っている知識ではないことに気がついてびっくりした。