南米に社会主義的政権が続々と生まれているとこの間みた新聞に書いてあった。社会主義国であったソ連が崩壊したのが1989年だったか。ベルリンの壁は1989年9月だから10月だかに崩壊をした。
それは単に物理的な壁の崩壊というよりはもう精神的に束縛を受けたくない、自由を希望した人の量的増加によっていたと思う。経済的にも社会主義が成り立って行かなくなったという感じであった。
社会主義国家が崩壊したのはその理論が崩壊したというよりは官僚制や小回りの利かなさといった実務的側面が大きかったと思う。また、市場経済社会国家の方が豊かだとの情報がインターネットで流れるといった技術面の進歩も大きかった。
そしてこの社会主義国家ソ連の崩壊は社会主義の敗北と言われたが、それはしかしアメリカの宣伝というかいわゆる西側国家の政治家や資本家のPRの気が強かった。その後グローバルスタンダードと称するアメリカの攻勢によって資本主義の市場経済自身にも破綻が見えて来ている。
それは弱者切り捨てとか非正規雇用者の増加とかに見られる。また人材派遣労働者も増えた。これは資本主義はあくまでも利潤の追求をするので、世の中でワーキングプアが出ようとそれは会社とは関係がないという立場だが、社会全体が疲弊して再生産ができなくなるという危惧もあるのだと思う。
これは人材の面でもいえるのではないだろうか。会社は自分の会社の人材だけを確保できれば、当面はいいのだが、それもいつまでもできるかどうか。
介護ビジネスがペイしないために介護に従事する人がだんだん減っている。また人が減ると働いている人に過重の労働を強いることになる。ことは介護士だけの問題ではない。医者も産科の医師とか麻酔科の医師とかはたまた外科の医師とかが減っているという。絶対値は急に減る訳はないかもしれないが、救急病院等に勤める医師は少なくとも少なくなっている。
これらはすべて過酷な労働と少ない報酬とが原因である。それはやはり資本主義国家としてのあり方をいま問われているのだと思う。
原油価格の高騰にしても原油を買い占めて利益を得ようとする資本の動きによるのものであり、それは多くの貧困層を創り出すであろう。したがって、資本主義国家が社会民主義的な政策を取り入れた国家運営をするかどうかしなければ、早晩資本家や経営者を中心にした国家運営は没落するであろう。
日本の企業はここ5年から7年くらい利益を上げて来たが、その利益を雇用者に配分しては来なかった。そのつけが企業に跳ね返って来るのはそんなに遠い将来のことではないかもしれない。