とは私もこのタイトルでエッセイを書いたことがある(小著『数学散歩』(国土社)所収)。だが、昨年末の12月31日だったかに旅行先の高知市帯屋町の書店「金高堂」で数学書を立ち読みしたときに私の知っている方法ではない説明があった。ここに書いておこう。
いま、x=0.999・・・とおこう。要するにこの x の値が 1 であることを示せればいい。いま10x=9.999・・・であるから、これから前の x を引けば、
9x=9
が得られる。ここで、両辺を 9 で割れば、x=1が得られる。という論の進め方であった。
普通にはどう説明しているか。
1=(1/3)*3
であるから、1/3=0.3333・・・を右辺に代入すると
1=(0.999・・・)*3=0.999・・・
であるから、ということがわかる。
他の方法としては、高校数学の無限等比数列の公式を知っていれば、
0.999・・・=0.9+0.09+0.009+0.0009+・・・
は初項0.9で公比1/10の無限等比数列であるから、この無限等比数列の和は収束する。したがって、この値は
0.9/(1-(1/10))=0.9/(9/10)=0.9/0.9=1
である。したがって、0.999・・・=1である。
0.999・・・=1であることを知ったのは、もう60年ほど前の大学生のころで、数学者の吉田洋一さんのエッセイを読んで、であった。