物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

『物理数学散歩』の目次

2025-02-24 12:00:00 | 物理学
小著『物理数学散歩』(国土社、2011)の目次をここに挙げておこう。

1. 単振動の合成
2. 立体角
3. 自然対数の底eの近似値
4. arcsin x+arccos x=n/2を理解する
5. 微分をして、積分を求める
6. 母関数の方法
7. 関数の定義
8. ラプラス演算子の極座標表示
9. Legendre変換
10. 分岐点の定義
11. 積分公式の場合分けはいらない?
12. ベクトル積の成分表示
13. ベクトルの3重積の公式の導出
14. rot rot A=grad divA-ΔAの導出
15. テンソル解析の学習における問題点
16. 「Levi-Civita」再論
17. 「Levi-Civitaの記号の縮約」再々論

である。

この本はアマゾンコムでもAmazonのマーケットプレイスに出品されているものであるが、自著でもある。委託して販売をお願いしたのであるが、本当はとても役立つ本だと思う。

出版社との関係からうまく売り出せていない。それで、まずはお披露目したい。売価2,200円は安い(注)。安いと価値がないと思われるのが、残念だが値段以上の価値があると思っている。

内容の一部紹介をしておこう。

(2. 立体角)
だれにでもわかる立体角の説明はいまでは各所でみられるようになったが、私が書いたころには立体角の説明はほとんどなかった。いまでは「予備ノリたくみ」さんの本には私の本よりも詳しい説明がある。しかし、本質的なところは逃してはいないつもりである。

(5.  微分をして、積分を求める)
これは『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波書店)のある章のエピソードをエッセイの書く動機としたものだが、そういう動機づけが面白いと自分では思っている。この同じことをエッセイとして取り扱った本やエッセイもぼつぼつ現れてきている。

要するに、定積分の被積分関数の中にパラメータがあれば、そのパラメータで微分することによって定積分の値を求める方法である。この方法を使って多くの積分をファインマンはやって見せたので、積分なら何でもできる男との評判をとったという(2024.5.13付記参照)。

ファインマンは単に自分の知っていた方法が役立っただけだと言っているのだが、この方法はあまり学校の講義では強調して教えられることがない。それで私も悪乗りしてみたのだ。

私も「数学・物理通信」に3つほどその後同じタイトルでエッセイを書いている。関心のある方はインターネットで検索してみてほしい。

(6.  母関数の方法)
これは伏見康治先生の本『伏見康治著作集』(みすず書房)のある巻のエッセイからヒントを得て書いたエッセイであるが、中身は量子力学でも出てくるエルミートの多項式について述べている。要するに母関数の方法が重要だとの認識を伏見先生に教えてもらったから書いた。エルミートの多項式は母関数の方法の使えるほんの一例にすぎないが。

(7. 関数の定義)
高校の数学の先生なら、「ははあ、関数をブラックボックスと見るという関数の定義だな」と推察されるだろうが、そういう見方だけではなくもっと広い関数の定義について述べている。

もっともそれを知っていて、高校で数学を教えるときに役立つかなどと功利的な考えの人にはまったく役立たないだろう。だが、いろいろの関数の定義のしかたがあるのを楽しむ余裕のある人には世界が広がるかもしれない。

最近では若い人は私のような老人とはちがって特殊関数のことをあまり学ばないとか言われている。なんでもコンピュータが計算してくれるからだとか。

(8. ラプラス演算子の球座標表示)
量子力学、特に、水素原子の電子の状態やエネルギー準位を求めるときに球座標表示(3次元の極座標表示のこと)を使う。もっとも直交座標から球座標にラプラス演算子に変換するのは一苦労である。普通には一度直交座標系から円柱座標系にしておいて、それから続いて極座標系に変換する方法が用いられる(注1)。

だが、そういう便法を使わないで直接に直交座標表示から球座標表示にするのが正道の方法ではないかという思いにとりつかれてしまった。

このやり方でその途中の計算をきちんと書いた本は最近はないわけではないが、昔はそんな面倒な計算を書いた本などなかった。これはE大学に勤めるようになってから、佐々木重吉先生ご本人から先生の著書『微分方程式概論 下』(槙書店)に書いてあると教わったが、それを参考にしている。

だいぶん後になってだが、上の方針でまともに計算したエッセイを読まれた、場の量子論で高名なN先生にこういう計算を学生にやらせるのは数学嫌いを助長するのではないかとのご批判をいただいた。もっともである。

その後、「数学・物理通信」に類似のエッセイをいくつか書いている。そしてそれらの中には、肝を冷やすようで面倒なこの種の計算を少し簡潔にできる方法で述べているものもある。関心のある方はインターネットで検索してほしい。

(9. Legendre変換)
Legendre変換の一番よく知られた例は解析力学のラグランジアン L からハミルトニアン H への変換である。H=p \dot{q}-Lだったかな。

もっとも解析力学を学んだ頃はそういうことはまったく知らなかった。ハミルトニアン Hへの変換は変な変換だなという印象しかない。 これがLegendre変換であることを知ったのは大学に勤めるようになってからである。このことは後年私も訳者の一人となったゴールドスタイン『古典力学』(吉岡書店)の初版を読んで知った。

だが、それよりも熱力学の第2法則での内部エネルギーUから、エンタルピーH=U+pVへの変換、ヘルムホルツの自由エネルギーF=U-TSとかギッブスの自由エネルギーG=H-TSへの変換がLegendre変換だとは物理化学の本でようやく知った。これらは物理化学でも天下りで定義として、教えられているのではないだろうか。

これはムーアの『物理化学』上(東京化学同人)を読んでようやく知ったことである。熱力学を学ぶのは物理化学の本からがわかりやすくてよいとは伏見康治先生のご自身の経験による教えだったらしいが。

(10. 分岐点の定義)
私のような頭のわるい者には複素解析の本に書いてある分岐点の定義はわからなかった。それがようやくわかったという、お粗末噺である。

だが、世の中の人はみんな頭がよくてわかってしまうらしい。

(12. ベクトル積の成分表示)
ベクトル積の成分表示を求める方法を書いている。最近ではこういうことを書いた本もときどき見かけるようになった。特に外国語の翻訳書に多く見かけるような気がする。私は原島鮮先生の力学の本から知ったと思う。『Feynman物理学』III(岩波書店)でもこの謎は解けないが。

(13. ベクトルの3重積の公式の導出)
ベクトルの3重積の公式 A*(B*C)=B(A・C)ーC(A・B)いわゆるbac-cabルールをどうやって導くか(注)。この公式の発見法的な導びき方を書いた本はいまではないわけではない。私はこれを原島鮮先生の力学の本から知った。最近ではこれについて書いた本もぽつぽつあるが、まだ一般的ではないのは残念である。

またここには書いていないが、ベクトルの3重積の公式の記憶法としては中央項ルールというのもある。記憶法は単なる記憶法ではあるが、計算するときには役立つ。

(注)bac-cabルールはベクトル三重積A*(B*C)=B(A・C)ーC(A・B)の記憶法の一つである。同じベクトル三重積(A*B)*C=B(A・C)ーA(B・C)をどう覚えるか。これにも役立つのが中央項ルールである。この中央項ルールの説明も「数学・物理通信」に掲載してある。インターネットで検索してみてほしい。

私自身はこの中央項ルールを知った後ではベクトル三重積の計算が嫌でなくなった気がする。

(14. rot rot A=grad divA-ΔAの導出)
これは『Feynman物理学』のFeynmanの発見法的な導き方と伝統的な、ただ公式を既知の事実として、その両辺を比べて正しいことを検証する方法とを並べて書いた。

なお、表題の公式の導出にはLevi-Civitaの記号を用いた方法が、Feynmanの発見法的な導出法以外にもある。

これは(15. テンソル解析の学習における問題点)の(3節 ベクトル解析への応用)で述べてある。ただし、Levi-Civitaの記号をフルに使ってではあるが。

(15.-17. 「ベクトル解析」関係)
標題はテンソル解析とかあったりするが、実は応用としてベクトル解析のベクトル代数関係には「Levi-Civitaの記号の縮約」再論とか再々論とかが役立つし、その前の「テンソル解析の学習における問題点」なども大いに役立つ。

この薄い本がすべてのことに役立つはずもないが、ベクトル解析の一部にはとても役立つ。ただ、あまりこの本の存在が知られていないのは出版社には、この書の価値がまるでわかっていないから。それよりもあまりに価格が低くて出版社の利益が出なかったことが理由だったかもしれない。

しかし、私のような多くの普通の人たちには目から鱗が落ちるような衝撃を与えるだろう。

(注)本来の定価は1、200円である。アマゾンマーケットプレイスに出品するにあたって、いくらか売価を値上げして申請されている。それがいくらだったか覚えていない。

(2024.5.13付記)
積分が上手だと聞いて記憶のいい人はマリー・キュリーの伝記を思い出すかもしれない。マリー・キュリーが積分が得意だったということがその伝記に書かれていたからである。

これは夫のピエール・キュリーは、学生が積分できないとか嘆いたら、「マリーが来るまでちょっと待ちなさい」とか言っていたとか書いてあったと思う。これがどこに出ていたのか、二女のエーブ・キュリーが書いた『キュリー夫人伝』にでもあったのだろうか。

要するに、微分は誰にでもできるが、基本的な積分を除いて、積分ができるためには、ある種の能力が必要だという証拠ではないかと思っている。

(注1)学生だったころにラプラス演算子の極座標表示に挑戦してみたことがある。1週間ほど頑張ってみたが、どうも計算がなかなかあわず残念ながら断念してしまった記憶がある。円柱座標を経由して球座標(3次元極座標系のこと)に変換する方法は当時学んだ高橋健人『物理数学』(培風館)に載っていたので、こちらの方は簡単にチェックできたと思う。

(注2)日本人は自分を自慢するのはいけない、慎むべきこととなっている。私自身も日本人だからそういうことも思わないでもない。しかし、外国人にとっては自己PRは普通のことである。そういう観点から自己PRすることにした。鼻につくと思う方はそう思えばいい。その覚悟はある。むしろ控えめであって他の人に役立たないよりは。

(2023.7.26付記) 実はこの本『物理数学散歩』と『数学散歩』についてはこれらの本のpdf文書を無料配布するというかなり多くのサイトができた。これは自慢しているわけではなく、事実を述べているだけである。

3,000円もしない本の無料pdf配布のサイトができたのはなぜなのか。多分、大学での数学のある分野に役立つからと思われたからであろう。そのときに著者の私のところには『物理数学散歩』の数百部の本が在庫していたというのに。これははっきり言って流通の問題であった。だれが価値がない本を誰がそのpdf資料を配布したりするだろうか。

インターネットの古本市場で一時14,000円などという高値がついていたこともある。そういう高い値段がつくのは著者としては心外であるが、「安かろう、悪かろう」の本ではないのだ。

昔、外国で出版された書籍を国内で闇で印刷して売るという海賊版があった。これはその当時日本円はとても弱くてそういう外国で出版された本など購入することが普通の日本人にはできなかったからである。いまでは私たちも外国の書籍をちょっと無理すれば、購入できる時代になった。だが、国内で『物理数学散歩』のような、現在の日本ではありえないような安価な書籍の海賊版が横行するとは信じられなかった。

(2023.7.27付記) ご注意を頂いたので付記しておく。『物理数学散歩』がインターネットで14,000円もの高値がつくのなら、2,200円で何冊かを買い占めてそれを14,000円で売ることを考える人がいるのではないかという心配である。

もっともなご心配だが、そういうよからぬことを考える人は成功しないことを知っておいてほしい。私は買っていただくことには反対はしないが。

ちょっと考えたらわかることだが、いくらいい本だと言っても、これは値段との相談であって、14,000円も出してこの本を買う人はいない。2,200円ならお買い得品であるが、そこを間違えてはいけない。私は14,000円という値段をつけた人がいたとは言ったが、それが売れたとは思わない。私だってたとえ喉から手が出るほど欲しくてもその高い値段を考えてやめにするからである。

小著『四元数の発見』(海鳴社)もpdf版が出回ったことがあった。いまは出まわってはいないと思うが。いまどき2,200円で買える本などあまりない。税込みだとそれよりはすこし高いが。それだって相当に安価な本である。それだのに無料のpdf版が出回るとはどういうことだろうか。日本の文化のために嘆かわしいことである。著作権もなにもあったものではない。

安いことが価値がないことだとは思わないでほしい。価値のあることを安くても良心的な気持ちで提供していることもあるのだから。この物価高の世であっても。

ちなみに私自身は著作権が死後50年というのを延長したいという考えには反対である。アメリカでディズニーの著作権を50年から70年に延長するという試みがあるとか、またはその延長が認められたとかとも聞くが、これはあまりに利益偏重で文化をないがしろにする話である。

(2024.6.23付記)
小著『数学散歩』だが、神田の有名な自然科学の古本店「明倫館」で6,000円で売っているのを今さっきインターネット「日本の古本屋」で見かけた。この書は私の手元にも自分用の数冊しか残っていない。

一方、『物理数学散歩』は多量の在庫があるのだが。




昨日も原稿を読んだ

2024-08-29 12:49:33 | 物理学
昨日も原稿を読んだ。Nさんの『武谷三男の生涯』である。Nさんは故武谷三男邸を訪ねて武谷の残した文書等についてレポートをしたことのある、科学史研究家でもある。

なかなか詳しい説明がある書の原稿であり、すべてに通じているわけではないが、たぶんこの書を越える谷三男の伝記はでて来ないだろう。

だが、それにもかかわらず不満がないわけではない。それは武谷の業績の評価がある意味では不足していると思うからである。

その点をNさんにこのことをメールで尋ねたら、自分以外の人にそのことはしてもらいたいというようなお考えらしい。なんでも人一人のすることには限界があるし、観点もちがうからしかたがないのであろう。

本書の本文は207ページである。それ以外に注が40ページくらいある。私の一度目の読みはいま157ページまで来ている。本文だけでもまだ50ページほど残っている。


他の仕事ができない

2024-08-27 14:22:34 | 物理学
Nさんの『武谷三男の生涯』の原稿を読み出したら、他の仕事はまったくしなくなった。これはいいことなのか、悪いことなのか。わからない。

普通はラジオを聞いたり、ラジオ体操をしたりしているのだが、そのことを忘れてしまった。

9月になれば、「数学・物理通信」の投稿があろう。それで一応の『生涯』の閲読に精を出しているということもある。

台風はやって来ているのだが、まだその影響が松山に及ぶには数日かかりそうだ。


エントロピー

2024-08-22 13:51:13 | 物理学
微小エントロピーdSを微小熱量d'Qに積分因子1/Tをかけて
  dS=d'Q/T
で定義すれば、こうして定義されたエントロピー状態量となるとどの熱力学の本にも書いてある。

数学の式として不完全微分であったものが積分因子をかけて完全微分になるという例があるのは知っているのだが、もう一つピンとこない。そこのところを多くの熱力学の本にどう書かれているのだろうかという疑問を持っている。

もう一つのよく知られたことは内部エネルギーUは状態量であるので、dUと完全微分で書かれるが、これは熱の不完全微分d'Qと仕事の不完全微分のd'Wの和である。

 dU=d'Q+d'W

となるという疑問もあるが、こちらの方はまだよくわかったわけではないが、ムーアの『物理化学』上(東京化学同人)の「熱の力学的定義」という節だったかに説明があってそれを読んで納得したという記憶がある。

いま急遽ムーアの『物理化学』上を書棚に探したのだが、見当たらなかった。しかし、こちらはすでに解決済みであると思っていい。

だが、もう一つのほうはまだdS=d'Q/Tの方はそのことについてはっきりと書かれた文献を知らない。そのうちにどこかできちんと書いてある文献に出会うことだろうか。

これはこのブログでも書いたことがあると思うが、温度Tは相転移があるときには変わらないのでエントロピーの導入の理由はそういうことのためにもあるということだ。

算数といわれる初等数学においても遠山啓さんらが提唱した量の理論では示量変数といわれる量は外延量と呼ばれており、示強変数は内包量と呼ばれている。

私はこういう名前の量のことを知ったのは多分40歳代であった。熱力学は大学で単位はとったのだが、そういう示量変数とか示強変数とかの名も聞いたのかもしれないが、覚えていなかった。


理論物理学者と計算物理学者

2024-06-29 15:50:12 | 物理学
理論物理学者と計算物理学者とはどういう意味の違いがあるのか。

昔は実験をしない物理学者を理論物理学者と呼ぶことが多かった。ところが私が学生のころに大学を退職した理論物理学者の三村剛昂先生がおられた。

彼は理論物理学と数理物理学とを峻別された。数式を使って計算するが、哲学のないような物理学のことを彼は数理物理学と呼んだのであった。その後
コンピュータが進歩してきてもっぱら計算に頼って物理学の研究をする者を計算物理学者と呼ぶようになった。

最近では国際的な計算物理学会まで開催されるようになってきているので、あまり計算物理学者と称しても肩身が狭いことはない。

それにしてもトップのレベルには理論物理学者がおり、そのすぐ下に数理物理学者がおり、そのはるか下に計算物理学者がいるという構造になっている。

もっとも私などはその最下位の範疇の計算物理学者にも入れていたのかどうかは定かでない。



計算嫌いな計算物理学者

2024-06-29 15:31:11 | 物理学
計算嫌いな計算物理学者がいるものかどうか。

私は自称では元計算物理学者だが、計算嫌いである。それでも鋭い直観とかをもっていれば、生きていく方法はあろうが、そういう才もない。要するに何の取り得もない。

ただわからないところを納得したいという欲求だけはもっている。それも普通の人ならなんでもないことがわからないという具合だから困ってしまう。困ってしまうというか最近ではそこに居直って自分の特色だと思っている。

いや、こんなことを書いているのは理由がある。先ほどまでただ塾の中学校数学の先生を務めていたのだが、生徒さんがまったく計算問題をやってくれない。それでこまって難しそうな問題のどれを解いてみせたらいいかと、尋ねて数問の連立方程式を解いてみせた。

こういうことの繰り返しで少しづつ関心をもってくれたらいいのだがと思っている。

私も中学生時代に計算嫌いの中学生であったから、この中学生の気持ちはわからないでもない。一般に数学の好きな人は数式の計算や数の計算でも嫌わないようだ。

高校生のころだが、問題集の中にある私には全く面倒だとしか思えなかった計算問題もすべて同級生のO君が解いているのを見せてもらったことがある。

このO君は有名大学のK大学工学部電気工学科を卒業して日本電気だったかに勤めておられた。優秀な方はまったくちがうものだと思っている。


今日か明日かのつもりだったが、

2024-06-25 15:35:40 | 物理学
今日か明日かのつもりだったが、昨日数学・物理通信14巻4号を発行した。一日二日かが待てないくらい私はせっかちである。

送付先だが、78か所だと書いたが、あと9か所増えて87か所である。自分の出身の大学の研究室のOBの方に送付していたことを忘れていた。

待ちきれないというのは私のわるい癖だが、それだけではない。いつまでも懸案の事項が残るのは嫌だという気持ちがある。そういうことでご了解を得なくてはならない。

編集と発行にかける時間は結構かかるので、こういう作業をしたことのある人ならわかってもらえるのだろうか。時間がかかって嫌だという気持ちを。

もっともそれならそういう雑誌の発行を止めればいいではないかというご意見を持つ方もおられようか。

その志の高さを評価してほしいものだと思うのだが。もっとも、これは自分が好きでやっていることだから別に他人からほめてほしいわけではない。

いや、誰かから少しほめられたくらいで、続けてやれるような種類の仕事ではないと思っている。

編集人は私も含めて3人だが、筆頭の編集者の友人の数学者Nさんは現在施設に入っており、私の編集を手助けしてくれる状況にはない。でも彼が私の提案を快く受け入れて賛同してくれなかったら、このような雑誌は発行できなかったろうから、Nさんには感謝の念しかない。

ここ数年編集者として働いて下さっている、Sさんには難しい論文の査読で大いにお世話になっている。彼なしの数学・物理通信は考えられなくなっている。







数学・物理通信14巻3号を昨日発行した

2024-06-18 10:01:31 | 物理学
数学・物理通信14巻3号を昨日発行した。

私の親戚の者にも「数学・物理通信」を送っている。これはみんな理系の人たちだけにではあるのだが。読んだという反応があるのは義弟だけであとは多分読んではいないだろうか。

親父がもしくは叔父(伯父)に「変なことをやっているのがいてね」とでも他人には話しているかもしれない。その辺はどうでもよいのだが。

昨日もこのブログに書いたと思うが、送り先は78件であり、思ったよりは少なかった。2009年の年末に始めたからそれでも10年以上続いていることになる。

およそ巻数が示す通りの年数だが、はじめの一年は巻が二年合わせての巻数だったような気がする。あまり巻数をつけるという意識がなくて、そういう変なことになってしまった。

無料だし、もちろん編集人も無報酬である。これは編集者はもちろんだが、投稿 者からも一切お金とか費用とかは徴収していない。もちろん原稿料など払ったことがない。

それでもなんとか発表者というか投稿する人はいるから不思議である。もっとも何かを書きたい張本人は私である。だから続いたともいえる。

誰からも褒められたこともないが、けなされたこともない。要するに無害無益だという訳である。

徳島科学史会という科学史関係の会を行っている方々がおられて尊敬に値する仕事をされている。彼らは20数年、いや、30数年にわたって年間1号だが雑誌を発行している。その努力たるやすさまじいと言える。

この方々が直面しているのは会員の死去等による減少である。そうすると財政的に成り立たなくなってくるかもしれない。

そういうことは幸いなことに「数学・物理通信」の場合には全く心配の必要がない。だが、私の知り合いの方々の逝去は私にはどうしようもない。

いずれにしても心配しないで済むシステムなどはこの世にはないということだろう。

(2024.6.26付記)
私の出た大学の研究室のOBの方々に9人送っていた。実はもっとOBの方々には送っているのだが、OBの名簿からお送りしている方々が9人いたのを忘れていた。合計87名の方々にお送りしている。




数学・物理通信の送付先は

2024-06-17 14:05:29 | 物理学
数学・物理通信の送付先はいくつあるのか。メールアドレスを整理して数えてみた。

アドレスは増える一方で死亡される方や生死は不明だが、メールのアドレスが届かなくなったりしている。

そういう増減を経て、いま78ヶ所に送っていることがわかった。多いというのか少ないというのかわからない。100か所を越えていると思ったのだが、さすがに100か所は越えていなかった。

印刷物として発行しているものでも国会図書館が所蔵の対象にするものは100部以上を発行している印刷物というから、まだまだそれには及ばないことになる。もっとも名古屋大学の谷村先生のサイトで不特定多数の方が数学・物理通信を閲覧されていると思う。

人の生死はなかなか予測不可能である。私の知人・友人でも亡くなった方がけっこうおられる。少なくとも30人は下らないであろう。あまりよくは存じ上げない方を含めると50人以上になるであろうか。

生老病死、人生はままならないものである。

さて、これから14巻3号の発行をしようか。
 

「Levi-Cvitaの記号の縮約再論1」

2024-06-15 11:42:47 | 物理学
数学エッセイ「Levi-Cvitaの記号の縮約再論1」の改訂版を数学・物理通信14巻4号に掲載するために点検中である。

もう1週間も以前に入力済であったのだが、昨夜点検をしたら、いくつかのミスを見つけた。これは式の番号が変わっていることとか入力中に変なパソコンミスが起こったのを見逃していたのである。

このブログの入力もせっかく入力して公開しようとしてどこかにデータが飛んで消えてしまうということなど最近では多い。理由はよくはわからないが、メモリが不足してきているのではないかと思っている。

それとメールソフトoutlookのversion upか何かで元々のocnのメールが使えなくなっている。パスワードを更新すれば、元にもどるらしいのだが、そこまでの手続きが分りずらくてまだ復旧を果たしていない。

一時このブログもアクセスできなかったのがこちらは今は復旧している。ocnの技術力が低いのではなかろうか。本来自分の顧客の不便を顧客に不便をかけないで復旧するくらいの技術力がいるのではなかろうか。

それとoutlookに苦情を申し込むくらいの気概がないのはどうしてなのか。おかしいと思わないでもない。こんなことで毎月のプロバイダーとしての使用料金をとるのは詐欺まがいではなかろうか。

いや、数学エッセイ「Levi-Cvitaの記号の縮約再論1」の改訂原稿を点検中ということを言いたかっただけだが、変な方向にとばっちりを向けてしまった。

「Levi-Cvitaの記号の縮約再論1」はベクトル解析に直接には役立たないが、すでに数学・物理通信に改訂版が掲載されている、「Levi-Cvitaの記号の縮約再論2」はベクトル解析に直接には役立つ。もっともタイトルは「再論2」ではなく「再々論」とそこではなっているが。

数学・物理通信14巻3号の編集をはじめた

2024-06-10 10:42:41 | 物理学
昨日だったか、一昨日だったか忘れたが、数学・物理通信14巻3号の編集をはじめた。

ほぼ記事は埋まったが、編集後記はまだ書いていない。編集後記は一応投稿原稿を見てから書くと決めている。編集者は私だが、私がすべての論文を理解しているわけではない。

「そんな無責任な」と言われると思うが、もし理解しないと発行しないという不文律を立てると、なにも発行できなくなる。少なくとも私にはそうである。

世の中には聡明な方がおられてなんでも理解できる方がおられることも事実だが、そうでないからこそこういう雑誌を発行できているというのが私にとっての現実である。

すべてを理解していなくとも原稿に注文をつけたりはしているのだから、不思議なものである。

ラプラス演算子の3次元の極座標表示

2024-06-05 10:45:29 | 物理学
ラプラス演算子の3次元の極座標表示についてのエッセイを何回か書いたことがある。一番面倒な真っ当な導出法も何回か書いたことがある。

だが、もしか始めから軌道角運動演算子Lが極座標で書かれていたら、そのL^{2}も計算が楽になるだろう。このことを書いているらしいのが昨夜書いた学習院大学の田崎先生の『数学』にある。

ということで記述の該当箇所の近辺のチェックを今朝起きてから始めた。まだ当該のところまでは達していない。もし演算子L^{2}が比較的簡単に計算できるとすれば、これは量子力学のシュレディンガー方程式を解く人にも大いに朗報となる。

教育はある程度の繰り返しも必要だが、学ぶ学生に不要な労力をかけないようにすることは必要である。どこかに記録があってそれを学べば済むようになっていてほしい。

生物の進化に個体発生は系統発生を繰り返すとかいうが、教育にはそういうところがある。だが、「個体発生は系統発生を繰り返す」というのだって要領よく繰り返しているから生物は存続しているのだと思う。

教育でもそうだろう。

(2024.6.6付記)
当該箇所をほぼチェックした。ラプラス演算子の3次元の極座標表示を導出する、いままで私がエッセイを書いた方法以外の導出法がわかったので、これについても書いておきたいと思うが、いまは文章にまとめるという意欲がわかない。

(2024.6.19付記)
ラプラス演算子の3次元の極座標表示を導出することをまともに導出したいと思っている人がいるなら、もちろんご自分でやってみるのもいいが、私がなんどか真っ当に計算したノートが「数学・物理通信」のバックナンバーにあるからインターネットで検索してみてほしい。そういうことで若い方の貴重な時間を奪ってしまいたくないから。

私も20代前半だったかにこの計算をまともに試み、1週間ほどを時間を費やして最後まで計算をやり遂げることができなかった記憶がある。

それなりに計算に工夫をしてあるレポが「数学・物理通信」のバックナンバーにあるはずだ。Bon courage.

田崎晴明さんの『数学』

2024-06-04 21:56:19 | 物理学
まだ十分には見ていないのだが、物理ための数学という観点では学習院大学の田崎さんの書かれている『数学』がとてもいいように思う。

田崎さんはかなり以前から『数学』を発表されていたと思うが、あまり詳しく読んだことがなかった。最近プリントしたので画面上ではなく紙面で読むことができるようになった。いやこれは私の事情である。

ベクトル解析に関心があるので、彼がベクトル解析についてどのように書かれているのかを学んでみたいと思っているが、なにせ忙しくて十分に時間がとれないのが残念である。

こういう良心的でかつ熱心で最高の著者がいるのは現代に物理学の学ぶ者にとっては幸せであろう。その利点をできるだけ享受したいと思うのだが。

ちょっと見てよかったのは3次元ラプラス演算子の極座標表示が簡単に導かれていることである。これは私などが馬鹿正直に計算して高名な物理学者のN先生から数学ギライをつくってはいけないとご注意を受けたことがある。それはそうなのだが。




『群と物理』

2024-05-30 14:46:57 | 物理学
ちょっと用があって、佐藤光『群と物理』(丸善)を走り読みしている。この本を購入したのはずいぶん以前である。

ちらっと見たことはあったろうが、部分的にでも走り読みしたことがなかった。なかなか要点を得た、いい本であるようだ。SU(2)の2価表現のことを知りたいと思って読みはじめたのだが、そこだけ読んでもわからないので、第3章の「リー群とリー代数」を読み始めたが、なかなか要を得た記述である。

もう数十年も以前にルートだとかウエイト(リー代数とその表現のこと)だとかについて学ぼうとしたことがあったが、十分に身につかないうちに沙汰やみになってしまったことがあった。

それらがいまようやく、すこしづづ関連付けられるかもしれない。



熱力学第一法則とマイヤー

2024-05-29 13:46:45 | 物理学
ここでいうマイヤーは統計力学の古い本で、マイヤー=マイヤーという通称で知られているマリヤ・ゲッペルト=マイヤーのことではなくて、熱力学第一法則の提唱者としてのマイヤーのことである。

このマイヤーを「ドイツ語圏とその文化」第2号で紹介したのだが、これはちょっとした数式が含まれていた。

それで3回目としてここにコピーをしようとしたが、うまくいきそうにないので、コピーはやめることにした。私自身は数式を少し含んでいるエッセイのほうが私が書いたらしくていいと思っているのだが。

力学で知られている力学的エネルギー保存の法則がある。もちろんこのときに熱エネルギーを含めたエネルギー保存則を考えられてはいない。その力学的エネルギーが熱エネルギーを含めて考えられるのではないかと考えた、始めの人が船医だったマイヤーだった。

マイヤーはあまり数学とか物理の知識が十分でなかったために、その論文は論旨がはっきりせず掲載拒否にあったという。しかし、いま言った熱エネルギーを含めたエネルギー保存するという考えは明白だったらしい。力学的仕事と熱エネルギーが互いに変換するという考えはその当時もすでにあったそうだ。

一時は精神を病んで精神病院にまで入院したとまで言われる。しかし、病気が癒えて退院して、その後、彼の論文のプライオリティは認められた。いくつかの賞を受賞したりするが、彼の研究生命はもう終わっていたという。

昨日紹介したレントゲンは研究では成功したが、晩年は第1次世界大戦のインフレで破産したというから、どの科学者も時代の波にもまれて苦労している。

レントゲンはノーベル賞の賞金はヴルツブルグ大学にすべて寄贈したそうだし、X線でパテント(特許)を取りませんかと、どこかの会社から勧められたが、取る気はないと経済的に恬淡としたところは、私たちには容易に見倣えないところだ。