多くの本を見ればその取り扱っている対象が同じものでもいろいろ違った捉え方をしているということがあるものだ。
これは新聞なんかでも言えるのかもしれない。日本には大手の全国紙でも5つくらいある。朝日、毎日、読売、産経、日経の5つである。それらの新聞の政治的主張も異なっているらしい。
政治的主張とは関係がないが、出版した書籍の広告を出すにも朝日新聞の広告料が高いので出せないと言われたのは私の本を出してくれた出版社の社長であった。
「他社の2倍くらいの広告料がかかるので、小社のような小さな出版社では朝日新聞には本の広告を出せないのです」と直接に口頭で聞いた。「インテリは朝日新聞を読んでいるのですが」とも。
ここで新聞について書くつもりはまったくなかったので、話を元の筋に返すことにしよう。
三角関数の還元公式について多くの本でどう書いているかをここ数日集中的に見てきた。大体は標準的な書き方だが、ちょっと視点の違いが細かな所で現れていたりする。それをどう取り入れてエッセイにまとめるかが私の課題である。
これとは直接には関係ないのだが、sin x 関数をその変数で微分するとcos x 関数になる。そしてcos x 関数をまた微分すると-sin x関数となる。-sinx 関数をもう一度微分すると-cos x関数になる。さらにもう一度微分するとsin x 関数となる。
要するにsin x 関数またはcos関数を4回微分するともともとの関数が得られるのだが、これはどうしてか。
たとえば、sin x 関数を一度微分したとき、cos関数になるが、これは偏角(位相)が\pi/2 だけ遅れることになる。すなわちcos x=sin (x+\pi /2)となる(注:このことをグラフ的にいえば、sin xのグラフを\pi/2だけ左に平行移動することである。偏角(位相)が遅れると電気工学的には表現されるが、この位相が遅れるということの意味がわかりにくい)。
1回微分するごとに\pi/2だけ左に平行移動するのだから、4回微分することによって(\pi/2)・4=2\piであり、2\piはsin x 関数の周期であるから、これは元の sin xのグラフと一致する。
というようなことは今まで考えたこともなかった。15冊ほど本を読んでそういうことはどの本にも書いてはいなかったが、自然にそうではないかと思いついた。