私がドイツ語を話すときに使える言葉の数は数百である。よく2000語がその外国語がわかるための必要最小限であるといわれる。
確かにドイツ語を話ときには使える語彙数は多分数百語くらいで十分であろう。だが、相手が話すときにそれがわかるためには最低2000語くらいであろうか。
「Deutsch 2000」というドイツ語のテキストでドイツ語をフライブルクのゲーテ・インスティテュートで学んだのはもう40年以上も前のことだが、これは2000語でドイツ語を学び、話すということであったろう。
だから、それで日常生活を送るには十分であろうが、ちょっと知的な会話を楽しむためにはもっとたくさんの言葉を知っている必要がある。それが5000語なのか8000語なのかはわからない。
大学のときにドイツ語の講義を聞いた、羽田先生は教養あるドイツ人は1万語くらいは知っていると講義のときに言われていた。そのときに日本人の学生なら2000語か3000語を大学のドイツ語の講義で知ることになるであろうと付け加えられた。もっともこれはドイツ語の言葉がテキストに書かれているのがわかるという意味である。
私が学生のころにはドイツ語を聞いてわかるとかドイツ語で会話をするなどとはまったく望むべくもなかった。話す言葉としての外国語に触れたのは私にはフランス語の方が先だった。
私たちのクラスの先生の R さんは言語学が専門ということもあろうが、クラスでいろいろ難しい言葉が出てくる。私は前回のクラスで出てきた言葉を要約して、まとめた文書を毎回つくっているが、そこには私のもっている辞書にはない語がしばしば出てくる。
仕方がないので、訳をつけないでそのまま採録だけするという方針であるが、その綴りもしっかりと確かめられないことが多い。
先日のクラスで出てきた語にイスラントがあったが、私にはこれがアイスランドのことであることはわかったが、この綴りは英語と同じくIcelandと綴るのだと思っていた。ところがそこを独和辞書で探しても出てこない。仕方なく和独辞典を引いて、Islandと綴るということを知った。ちなみにラグビーの初戦で日本が破ったアイルランドはIrlandである。
どれくらいのドイツ語の語彙を R さんが母語の話者としてもっているのかわからないが、多分、1万語ははるかにこえて数万語くらいだろうか。
一方、現在では普通の大学生がドイツ語を学ぶときに使う辞書は10万語も収録してある辞書は最近は少なくなっている。5万語も収録されていれば、上出来の方ではあるまいか。