昨日(2023.9.29)の朝日新聞で江沢洋さんが9月10日に亡くなっていたことを知った。私は江沢さんの比較的晩年になって知己を得た一人だが、彼らの紹介したMilne法を用いて微分方程式の固有値を数値的に求める方法をSpline関数を用いてrefineして少なくとも5つか6つは論文を書かせてもらった。
特にこれらの論文のシリーズの終わりほうでは江沢洋さんとの共著となった論文も2編だけ書いたことがある。
江沢さんの大学退職後に出された記念の本に載っている彼の終わりの方の二つは私たちとの共著の論文であった。これには彼の従弟のYさんの尽力によるところが多い。Yさんは私の長年の友人でもあり、研究の仲間でもある。
これで板倉聖宣(きよのぶ)さんに続いて、江沢洋さんも私たちは失ったことになる。この二人とも老衰のために亡くなったというのが象徴的である。
しかし、彼は晩年に『江沢洋選集』(亀書房)6冊を私たちに残された。
元東京大学の西村肇さんによれば、仮設実験授業で有名だった板倉さんは、水道方式で有名だった、遠山さんたちの水道方式に対する政治弾圧ともいえる圧迫に反抗した遠山さんを見ていて、表に出ないようにと政治的ともいえる圧力を受けないような配慮をしていたともいわれる。それも板倉さんの生活の知恵であったといえようか。