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地球の回る音 ( キース・ジャレットのレコード )

2012-01-19 08:05:55 | お気に入り
 だんなさんが懐かしいレコードをCDにしてくれました。車の中で聴いています。


     
     キース・ジャレット ピアノ・ソロ ”ケルンコンサート”


 遥か昔のお話
場所は、本来の目的では行ったことのない武道館。その人は、一人でピアノの前に座り、静かに音を奏でた。自由な旋律はとても新鮮に聴こえた。始まりも終わりもない旋律、時々その人の口から発せられる声は、叫ぶというのではなく、話すというのではなく、なにものでもないような吐息だった。
その頃読んでいた小説(題名、作者不明)のなかで、「地球の回る音」という話題があったので、”音”に対してすごく敏感になっていたと思う。広い会場の一人の見知らぬ人が、奏でるピアノの旋律が、「地球の回る音」に聴こえた。
たぶん何人かのお仲間で出掛けたのだと思うが、たくさんの人々の中にいても、「あ~、たった一人なんだなあ。」と思った。聴こえるピアノの音もその人の吐息も、連れてくるのは、圧倒的な静寂だった。
長い時間が流れ、レコードのジャケットを懐かしく思い、小さな空間で聴いた。
「地球の回る音」には聴こえない、圧倒的な静寂も連れてはこない、だけど、自由な旋律と吐息ともため息ともつかないその声には、やはり惹かれた。