だんなさんと二人でちょこっと旅に出ました。
元々は、息子の友人が西の方で市役所の観光課にお勤めしていて、是非その街に来てくださいと誘ってくれて、息子が
「お母さんが好きな工場見学とかもできるみたいよ。」
と言ってくれたのです。でもこんな年末の慌しい時期では、見学させてくださる工場の方にも迷惑かな?ということで、その街への旅行は、年も明けて少し春の風が吹き始めた頃にしようということになりました。
そういえば・・・? 今年の私のお誕生日(9月なのでずっと前ですが・・・)のプレゼントに旅行に連れて行ってくれると言っていただんなさんは、すっかりそのことを忘れてしまっていたようなので、少しプリプリしながらそのことを思い出させてあげました。
こんなに寒くなってきてから、さてさてどこに・・・?
以前にテレビのCMで見た「養老天命反転地」。名前と画像のシュールさが気になっていたので、候補地に選びましたが、富士からは十分に日帰りができる場所です。やはりお泊りはしたいなあと思い、仲良しのIちゃんがお薦めしてくれた「休暇村 近江八幡」(「養老天命反転地」からは1時間ほどの距離)に宿を取り、近江八幡に残る「ヴォーリズ建築」を巡ることにしました。
『 養老天命反転地
「養老天命反転地」は、荒川修作+マドリン・ギンズの構想を実現した実験的なアートプロジェクトです。
荒川修作とマドリン・ギンズは、現在の世界の絶望的な状況を希望のある未来へ転換させようとしています。
そのためには「死」を前提とした消極的な生き方を改め、古い常識を覆すことが必要だと言っています。この死へいたる「宿命(天命)」を反転することを使命として荒川+ギンズは活動を続けてきたのです。30数年に及ぶ研究の中で彼らが注目したのは「身体」が持つ可能性と、身体に作用する「環境=建築」でした。彼らは身体感覚の変革により意識の改革が可能だと考えたのです。
彼らの長年の研究の集大成となる「養老天命反転地」には、水平垂直を極力排除し、複数の人工的な地平線を配するなど、人間の持つ平衡感覚や遠近感に揺さぶりをかける仕掛けが施されています。
これは、私たちをヨチヨチ歩きの子供の状態に戻して知覚を再構築させるよう隅々まで計算された構造なのです。
しかし、「養老天命反転地」は、荒川+ギンズの終着点ではありません。むしろこの作品を出発点として、彼らの建築的実験は現在も続いているのです。』(頂いたパンフレットより)
「極限で似るものの家」
すり鉢状の「楕円フィールド」
天気予報は晴れのはずだったのですが、雪雲のような黒っぽい空の下、閑散とした(実際に私たち以外には10人ほどしかいなかった)不思議なこの場所を歩き回りました。以前から足元の不安定さが苦手だった私は、見るからに不安定そうな建物に酔ったような感覚に襲われて、予想はしていたもののわざわざ遠くまで訪れたことをちょこっと後悔しました。
歩き回りながら、ふと、木を見ると優しい緑色で真直ぐ立っていてすごく安心しました。
・・・古い常識を覆すことも宿命を反転することも難しいと実感させられた見学となりました。青空の下だったら、アスレチック気分で歩き回れたかもしれません。
私の予定では、散策路を巡りながら「養老の滝」まで歩くつもりだったのですが、小さな雨粒がポツポツと落ちて来てしまいました。だんなさんが、車で行けるところまでいってみようと言い出して、山道を上がって行きました。有料の駐車場に車を停めると雨も上がって、階段を下ると「養老の滝」まで行けるということが分かりました。
滝の水がお酒になったという親孝行の伝説が残る「養老の滝」
落差32m、幅4mの美しい滝です。
山肌には雪が残り、山の中の滝は静かに流れていました。
「大好きなお酒が流れているかもよ。」
とからかうとだんなさんは、
「今夜飲むからいいよ~。」
と笑っていました。だんなさんのお父さんはもういないので、孝行息子にはもうなれそうもありません。息子に期待することにして(笑)、また雨が降り出した「養老の滝」を後に、この日のお宿「休暇村 近江八幡」に向かいました。
そして、目の前に琵琶湖で一番大きな島「沖島」を眺めつつ、温泉に浸かり、カニやらフグやら近江牛などをお腹いっぱい頂きました。
施設紹介 養老公園 岐阜県養老郡養老町高林1298-2
☎ 0584-32-0501
つづく