元と清

中国は，しばしば北方のモンゴル高原や東北の強力な騎馬民族あるいは半牧半農の異民族に征服され，支配された。その異民族王朝のもっとも大規模なものが元(【１２７１】年～【１３６８】年)と清(【１６１６】年～【１９１２】年)である。

　中国の版図は漢民族王朝のときは小さく，かえって異民族王朝のときに大きくなった。なんといっても，チンギス汗の孫【フビライ】により１２７１年にたてられた、１２７９年南方のガイ山の戦いで南宋勢力を滅亡させ中国統一を達成した。その元帝国の版図は空前のものであった。北はシベリア，満洲，朝鮮から西はモスクワやキエフをふくめ，南はインドシナ，ビルマ，ジャワなどを従えた。現在の雲南省も，漢の武帝のころに中国の支配下に入ったが，その後，反復常ならず，「西南夷」の国とされた。それが，【14】世紀初頭，モンゴル兵の馬蹄のもとに確乎として中国領に組み入れられるにいたる。これを元朝の功績とすれば，漢民族王朝のなしえなかったものといえるのではないか。

　元は「【モンゴル人至上主義】」採って中国人を差別したが、それは【科挙を一時中断】したことにも現われている。また、【財務】には西域出身の【色目人】を採用した。それまでの中国を支配した征服王朝とは大きな違いである。例えば、契丹族の 中国は，しばしば北方のモンゴル高原や東北の強力な騎馬民族あるいは半牧半農の異民族に征服され，支配された。その異民族王朝のもっとも大規模なものが元(【１２７１】年～【１３６８】年)と清(【１６１６】年～【１９１２】年)である。

　中国の版図は漢民族王朝のときは小さく，かえって異民族王朝のときに大きくなった。なんといっても，チンギス汗の孫【フビライ】により１２７１年にたてられた、１２７９年南方のガイ山の戦いで南宋勢力を滅亡させ中国統一を達成した。その元帝国の版図は空前のものであった。北はシベリア，満洲，朝鮮から西はモスクワやキエフをふくめ，南はインドシナ，ビルマ，ジャワなどを従えた。現在の雲南省も，漢の武帝のころに中国の支配下に入ったが，その後，反復常ならず，「西南夷」の国とされた。それが，【14】世紀初頭，モンゴル兵の馬蹄のもとに確乎として中国領に組み入れられるにいたる。これを元朝の功績とすれば，漢民族王朝のなしえなかったものといえるのではないか。

　元は「【モンゴル人至上主義】」採って中国人を差別したが、それは【科挙を一時中断】したことにも現われている。また、【財務】には西域出身の【色目人】を採用した。それまでの中国を支配した征服王朝とは大きな違いである。例えば、契丹族の【遼】は、【燕雲１６州】を支配したが、【北面官】でモンゴル高原の契丹族を支配し、【南面官】で燕雲１６州の中国人を支配した。また、【女真族】の【金】も中国人には【州県制】を、女真族には【猛安謀克（ミンガン＝ムケ）】で【二重統治体制】を布いた。

　清朝は，いうまでもなく【満洲】からおこり，漢民族とは言語，風俗をまったく異にする満洲族の王朝で，【１６１６】年後金を建国した【ヌルハチ】を祖とする。１７世紀から１８世紀末までの百年間は，この元来の蛮族であった王朝の卓越した政治力によって中国史上もっとも堅実な繁栄期がもたらされた。彼等は、中国人に対しても【漢人八旗】を組織させ、清の正規軍に組み込む一方で、【１６４４】年の入関後は自治組織として【緑営】を組織させた。

　康熙帝のころになると、女清族の風習である【辮髪】を中国人にも強要し、【文字の獄】と呼ばれる思想統制も行った。しかし、このようなきびしい統治を行った反面、【科挙制度は存続】させ、「【満漢併用策】」を採用して、満州人（女真族）と漢人（中国人）をそれぞれ一人ずつ同じポストに登用する政策もとっている。この点は元と大きく異なる統治方法といえる。

　【康熙】，【雍正】，【乾隆】と相次いだ三人の皇帝の統治能力と外に対する武威の持続は，それ以前の中国史に見ないほどのもので，この清朝によっていまの中国（中華人民共和国）の領土の原形が確立した。

　清朝は，ときにシベリアにむかって急速に膨脹してきた【ロマノフ朝】の【ロシア】からその故郷満洲を守り，またそれまでの王朝が御(ぎよ)しがたかったモンゴル族をおさえ，内蒙古と外蒙古を版図にくわえ，さらに西は【青海】を領土にした。またはじめてチベットを領土にとり入れ，さらには，【新疆】をも国土とした。清朝はその歴史の後半を，西洋勢力の東漸によって浸(ひた)されてしまう。