観察館日記

藤前干潟の庄内川河口部にある名古屋市野鳥観察館の日記帳です。

干潟を駆けるカラシラサギ

2019-08-24 16:47:10 | 夏の藤前干潟

藤前干潟

今日の干潮時間 5時26分 潮位 98cm
           17時14分 潮位145cm

今日の満潮時間11時58分 潮位189cm

 

小潮の今日は、潮の引き始めが午後なので、明け方の干潮時間が終わった後の潮が満ち始めからが比較的観察しやすい時間になりました。

干潟へ行くと、小潮なので干潮時の潮位が大潮に比べ高いため、干潟の干出も少なく狭い干潟にシギ・チドリ達が集まっていました。

この季節に一番多いソリハシシギやアオアシシギ、キアシシギの他に、今日も秋に飛来数が多くなるオグロシギの姿が観察できました。オグロシギは黒い胸の横斑が目立たなくなり冬羽へと換羽が進んでいました。(注 オグロシギの後ろを駆けるのはコサギです。)

同じく、夏羽から冬羽へと換羽が進むダイゼンやオオソリハシシギは、すでにお腹が一杯になったのか窪地で休息していました。

こちらは↑は餌を探して歩くオオソリハシシギ。


満潮へと潮が満ちはじめると、小魚を追ってサギの仲間が多く干潟へ飛来してきます。

ダイサギやコサギの群れと一緒に8月4日から藤前干潟で確認されているカラシラサギも一緒に飛来してきました。

良く似たコサギに比べると、くちばしや足の色が違いますが、動きも違います。
遠くから観察していても動きが違う事からも500m以上離れた導流堤の干潟にいても、その存在に気づくことができます。

コサギに比べ、本当によく動きます。餌の捕り方も特徴的です。

腰を低くして水際を走って小魚がいる場所までくると、身を伏せて翼を半開して忍び寄り、小魚を捕えます。

外観はよく似たコサギに比べくちばしが黄色く、冠羽の数が20本以上あります。足の色はコサギよりも黄色っぽく見え、太く丈夫そうな足をしています。

コサギと一緒に並ぶと、頭部の違いがよく分かります。コサギが近づいて緊張したのか、ちょうど冠羽が逆立ちました。

カラシラサギは日本では迷鳥とされていますが、藤前干潟では毎年春・夏・秋に2~3回、1~2羽で飛来していています。

一度飛来すると長く留まる事が多いですが、普段は500m以上先の導流堤で活動しているため、しばらくすると皆からも関心が薄れてしまいますが、繁殖場所が朝鮮半島西岸や黄河河口と限られ生息地の破壊、乱獲等により生息数が激減しているサギで、環境省レッドリスト準絶滅危惧NTに指定されています。

 

今日観察できた主な野鳥 カワウ372、ササゴイ2、ダイサギ34、コサギ24、アオサギ34、カラシラサギ1、マガモ54、カルガモ297、スズガモ6、ミサゴ7、トビ1、ハヤブサ2、コチドリ3、メダイチドリ1、ダイゼン27、ケリ3、キョウジョシギ1、オバシギ7、コアオアシシギ2、アオアシシギ36、キアシシギ9、イソシギ3、ソリハシシギ42、オグロシギ2、オオソリハシシギ3、オオハシシギ1、ホウロクシギ4、チュウシャクシギ6、ウミネコ20

 

また、今日はお隣の稲永ビジターセンターで講演会「干潟は巣穴でできている!~アナジャコのふしぎな暮らし~」が開催されました(主催:名古屋市港区保健福祉センター公害対策室/NPO法人藤前干潟を守る会)。

小学生などの子どもたちを含むたくさんの方が参加されていました。

講演会では、講師の伊谷行先生(高知大学教育学部)からアナジャコや、アナジャコのからだや巣穴に寄生・共生する生きものなど、干潟に生息する多数の生きものについてのお話を聴くことができました。

講演の中でみなさんから一番歓声が上がったのは、アナジャコの胸にくっついて寄生するマゴコロガイ(二枚貝)のお話のときです。(※マゴコロガイは藤前干潟ではみつかっていないそうです。)

アナジャコが脱皮する際、寄生するマゴコロガイはシャクトリムシのような動きをしながら巧みに動いて、脱皮後のアナジャコに移動し、同じアナジャコにずっと寄生するそうです。

この様子を動画で見せてもらったのですが、そのマゴコロガイの動きがびっくりするほどスムーズで、見事にアナジャコに再びくっつくので、みんな驚いていました。

その他、私自身は名前を聞いたこともないアナジャコや干潟の生きものを様々知ることができました(たとえば、バルスアナジャコ、オキナワアナジャコ、アナエビなどなど)。

アナジャコも、干潟の生きものもまだまだ奥深く、おもしろいものだと再認識しました。

(もちろん、鳥類についてもまだまだ知らないことがいっぱいです。)

 

 

【名古屋市野鳥観察館の秋の野鳥イベント】

9月15日(日)に開催する「藤前干潟の探鳥会」と「野鳥のおはなし」の参加者を募集しています。→詳細はこちら(PDF)

 

明日の干潮時間 6時56分 潮位 93cm           
                     19時18分 潮位155cm

明日の満潮時間13時52分 潮位192cm 


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