花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

東京都美術館「ボッティチェリ展」感想をサクッと。

2016-02-02 23:43:17 | 展覧会

上野の東京都美術館「ボッティチェリ展」を観た。感想をサクッと(^^ゞ

多分、この展覧会は2011年ローマのスクデリエ・デル・クイリナーレ「Filippino Lippi e Sandro Botticelli nella Firenze del '400.」展を基にしたものかもしれない。同じアレッサンドロ・チェッキ氏が監修している。 

展覧会内容は、ボッティチェリの画業の変遷をフィレンツェの歴史(メディチ家の栄光と没落&サボナローラの登場と失脚)とともに語り、師のフィリッポ・リッピや、その息子でありボッティチェリの弟子であるフィリピーノ・リッピにも作品言及する極めて全うな展覧会であり、その正攻法的展示は私的にも好もしかった。 

作品としては、ボッティチェリのウフィッツィ《東方三博士の礼拝(マギの礼拝)》や、ポルディ・ペッツォーリ《聖母子像》が見どころであろう。

ボッティチェリ《ラーマ家の東方三博士の礼拝》(1475-76年頃)ウフィッツィ美術館 手前右端は画家自画像

 

ボッティチェリ《聖母子(書物の聖母)》(1482-83年頃)ポルディ・ペッツォーリ美術館 

私も含め日本人はボッティチェリ好きが多いと思う。丸紅が《美しきシモネッタの肖像》を購入したのも宜なるかなだ。だが、フィリッポ・リッピやフィリピーノ・リッピにスポットが当たる機会が少ないのも事実で(「プラート展」もあったけど)、今回、ボッティチェリの師匠と弟子(ライバル?)という関係ながら、作品紹介されたのは私的に喜ばしい。 

多分、チェッキ氏はフィリピーノ・リッピがお気に入りだと思うし、確かに《幼児キリストを礼拝する聖母》(←動画をリンク)もなかなかに素敵だ。ウフィッツィでは横目素通りしていたので、今回はちゃんと見せてもらった(^^;;;

で、実は私的に意外な作品と再開してしまった。ヴィチェンツァ市民銀行蔵フィリッポ親方《聖母子》は2014年秋にプラートのパラッツォ・プレトリオの展覧会で観ていた。(ずっと昔に読んだ辻邦生『春の戴冠』での「フィリッポ親方」という言い方が気に入っている(^^ゞ)

フィリッポ・リッピ《聖母子》(1436年頃)ヴィチェンツァ市民銀行

ちなみに、プラートのドゥオモ主祭壇にはフィリッポ・リッピのフレスコ画が残っている。フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラのストロッツィ礼拝堂にはフィリピーノのフレスコ画が見られる。 私的お気に入りでもある(^^ゞ

フィリッポ・リッピ《ヘロデの饗宴》(1452-65年頃)プラート大聖堂

フィリピーノ・リッピ《マルス神殿から龍を追い出す聖ピリポ》(1487-1502年)サンタ・マリア・ノヴェッラ(ストロッツィ礼拝堂)

ということで、感想がサクッとなってしまったが、ボッティチェリの絵画的変遷やキャラクターにも迫りながら、フィレンツェの春を体現したかのような画家たちの作品を楽しめる良い展覧会だった。



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4 コメント

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繰り返し (momo)
2016-02-07 22:19:15
Buonasera(^◇^)
同じ作品でも何回も観てると画家さんやその背景が自分の中に入ってくる・・・
ボッティチェリとフィリッポ・リッピの関係・・・師弟関係だったんですよね。
改めて観てみると絵が似ているかも・・・
イタリアでどちらの絵を観ても気が付かなったのですが、なぜか今そう思うのです・・・
そして「チェーザレ」のお陰でメディチ家、サヴォナローラとの関係がわかりました。
ここで、展覧会を観に行けばもっと理解が深まるんでしょうね~~
やっぱり繰り返しって必要なんだ!と腑に落ちたのでした(笑

そろそろ、1回やっただけでは覚えられないお年頃に突入し、仕事も当然のことながら勉強もそうなんだわ・・・
繰り返しやらないと自分のものにはならない。
近道はないのね~~(*_*)
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momoさん (花耀亭)
2016-02-09 00:17:04
おっしゃる通り、ボッティチェリの初期作品は師匠のフィリッポ・リッピによく似ていますよね。
で、繰り返しの効果って大きいと思います。同じ絵を繰り返し観ていると、前回気付かなかった新たな発見があったり。
momoさん、年寄りの私なんて2度でもダメで、ミルフィーユみたいに何度も重ねないと自分のものにならないのですよ(涙)。
でもね、momoさんも好きだからこそ「繰り返し」ができるのではありませんか?なんでも好きになることが一番大切だと思いますよ(^_-)-☆
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親方 (PineWood)
2016-02-24 03:15:49
フィリッポ・リッピを親方(マイスター)と呼ぶのが好かった…。先日モーリス・ピアラ監督のフランス映画(ヴァン・ゴッホ)を見ていたらゴッホのことをマイスターと呼ぶシーンがあって、売れない無名の画家なのに尊敬の念が感じられた。それはそうとフィリッポ・リッピの聖母子像はダヴィンチのモナリザと並ぶ不思議な美しさだ。サンドロ・ボッテチェリ絵画の魅力を解き明かす本展の視点は見事でしたね。
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PineWoodさん (花耀亭)
2016-02-24 21:35:27
はじめまして、ようこそです!
映画「ヴァン・ゴッホ」は見ていませんが、マイスターという言葉に込められた尊敬の念はわかるような気がします。「親方」という日本語も、その仕事を認めての尊敬が滲みますよね。
それに、元々やんちゃな破戒僧だったフィリッポ親方が、あのような美しい聖母像を描くのですから、あの時代のフィレンツェって不思議です(^^;;;
で、PineWoodさんのおっしゃる通りで、ボッティチェリの魅力が堪能できた展覧会でした♪
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