花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「華やぐ女たち エルミタージュ美術館展」(3)

2005-08-26 02:47:38 | 展覧会
アンソニー・ヴァン・ダイク(1599-1641)の「エリザベスとフィラデエルフィア・ホートン(Wharton)の肖像」(1640)である。幼いながらも姉の毅然とした表情は英国貴族の威厳を感じる。姉にすがる妹がとても愛らしい。ちょっとタイプの違う姉妹のような気もするけれど(^^;
ルーベンスもだが、ヴァン・ダイクも子供の表情を描くのが巧みだ。髪のカールの描写も繊細でさすが…と唸る。2人のドレスの光沢ももちろんだ。姉(ご主人さま)の気を惹こうとする犬は忠誠の象徴とか。背景の木が傾いているのは風の強さを表わしているのか、姉の肩にかけた薄いショールも風にたなびいている。

このショールのたなびき方に、フリック・コレクションで観た「The Countess of Clanbrassil=Lady Anne Carey(クランブレイシル?伯爵夫人)」(1636)の肖像を思い出した。姉妹と同じような構図でショールが風に靡いているのだ。
更に、面白いことを発見してしまった。ネットの画像検索でいつも参照させてもらっている「Web Gallery of Art」上で、姉妹の絵の題が「Portrait of Philadelphia and Elisabeth Cary」になっているのだ!
http://www.wga.hu/frames-e.html?/html/d/dyck_van/2portrai/index.html
さて、もし Carey=Cary だとしたら、この姉妹はレディ・アン・キャリーとどんな間柄なのだろう?それとも単なる題の誤記なのだろうか??なんだか気になって仕方が無い(^^ゞ。花耀亭は美術素人なので、ご存知の方はぜひぜひお教えいただきたい。

ヴァン・ダイクは若い頃ルーベンスの助手として活躍したが、その後イタリア滞在(アングィソッラを訪ねたのもこの頃だろう)を経て、英国で肖像画を多数制作している。この姉妹の肖像画が1640年制作という事は最晩年の作品と言えよう。肖像画家として名声を博した格調の高い画風は、この幼い姉妹の品の良い愛らしさに凝縮しているような気がした。