花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「華やぐ女たち エルミタージュ美術館展」(2)

2005-08-25 03:24:14 | 展覧会
オランダのユトレヒト出身の画家ヘリット・ファン・ホントホルスト(1592-1656)はアブラハム・ブルーマルトを師とし、1610年代にはローマで学んだ。その間にCARAVAGGIO作品に触れ、明暗のコントラストの強い画法を取り入れたカラヴァッジェスキとなるが、特に夜の蝋燭の灯りの中に浮かび上がる人物像を得意とした。ローマではCARAVAGGIOのパトロンでもあったジュスティニアーニ侯の庇護を受け、「夜のゲラルド(ヘリット)」と呼ばれるまでの名声を得る。エルミタージュで観て感動した「キリストの少年時代」(1620)は大工仕事をしているヨセフの手元を照らそうと蝋燭を差し照らす少年イエスを描いていおり、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)の「大工の聖ヨセフ」(1645)を想起させる作品だ。
http://www.wga.hu/html/h/honthors/c_christ.html
http://www.wga.hu/html/l/la_tour/georges/2/06carpe.html

さて、今回展示されていたホントホルスト作品は音楽演奏をテーマにした絵で、リュートを弾く肩をあらわにした女性の肖像だ。光が明暗のコントラストがCARAVAGGIOの影響を見せるが、タッチは明るく陽気な音楽が聞こえてくるようだ。女性の肌や黄色い衣装が光を受けて明るく輝く。対になる男性像もあると言う。同様の画題は同門のヘンドリック・テル・ブリュッヘン(1588?-1629)などにも見られ、当時人気のあった画題のようだ。今年の春に行った独カッセル州立美術館でも良く似た作品を観た。
http://www.wga.hu/html/t/terbrugg/1/flutepla.html

余談だが、私的に、ラ・トゥールの夜の作品はゲラルド=ホントホルストに、昼の作品はテル・ブリュッヘンの画法に似たものを感じてしまうのだが…。