かるたに憧れた。かるたの形に、絵のついた札に、一文字の拡大に、読み上げられる調べに、伸び行く手先に、荒れる畳に……。かるたの持つ個性に、かるたを囲むすべてに。かるたに憧れた。憧れるままに、かるたの切れ端を拾うように歌っていた。嗚呼。歌っても歌っても、かるたの形にはなれなかった。かるたの形を知っていても、かるたの本質を知ることはなかった。かるたとは何だろう。かるたに憧れた。かるたは謎だった。かるたは遥か遠くに見えた。それを読み上げる声も、きっと遠い星からのものに違いなかった。かるたの一つにはなれなかった。僕は歌った。憧れを秘めながら、歌い続けた。
・
かのいろは
かるたはダブル
ミーニング
イルカオルカの
詩歌をかけた
(折句「鏡石」短歌)
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かのいろは
かるたはダブル
ミーニング
イルカオルカの
詩歌をかけた
(折句「鏡石」短歌)