新玉葱を手にしてからすぐに「あっ」とロボットは声を上げた。形なく玉葱はつぶれてしまった。
「まだ自分の力をわかってないのね」
冗談ぽく言ったつもりだったがそうは伝わらなかったようだ。ロボットはクッキングをやめた。まあ、そういうこともあるって。先週は上手くいっていたのに、今日は駄目だった。成長は何事も行ったり来たりするもの。彼はまだ挫折にも慣れていない。「何も手につかない」そう言ってアームを腰にしまい込んでしまった。次のアップデートまでキッチンに立たないと宣言した。
「仕方ないな」
私は今夜のレシピをロボットから引き継いで包丁を握った。
アベコベに
ゲノムを組んだ
鳥人が
うどんにのせる
フルーツポンチ
(折句「揚げ豆腐」短歌)
「まだ自分の力をわかってないのね」
冗談ぽく言ったつもりだったがそうは伝わらなかったようだ。ロボットはクッキングをやめた。まあ、そういうこともあるって。先週は上手くいっていたのに、今日は駄目だった。成長は何事も行ったり来たりするもの。彼はまだ挫折にも慣れていない。「何も手につかない」そう言ってアームを腰にしまい込んでしまった。次のアップデートまでキッチンに立たないと宣言した。
「仕方ないな」
私は今夜のレシピをロボットから引き継いで包丁を握った。
アベコベに
ゲノムを組んだ
鳥人が
うどんにのせる
フルーツポンチ
(折句「揚げ豆腐」短歌)