goo blog サービス終了のお知らせ 

眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

努力前夜

2020-06-27 20:26:00 | 忘れものがかり
旅先の宿でテレビをつけた
真っ暗な部屋の中に
もぐもぐとする鹿を見た
それからリスを小熊を
チーターを見た

食べるために
隠れるために
探すために
追うために
逃れるために
作るために
休むために

動物たちはみんな
生きるために
努力を積み重ねていた

努力って何だろう
先生が大切だって言ってたけど
まあよくわかんない

小学校に入ったら
僕も
たぶんやんなきゃね

ごめんなさい(小説が読めない)

2020-06-07 09:32:00 | 忘れものがかり
いつからだろう
小説が読めない

設定につまずく
人の名前が覚えられない
筋書きが入ってこない
台詞が抜けていく
段落につまずく
ページがめくれない

ごめんなさい ごめんなさい


微かにみえる光
あれは「詩」だ

何も
わかりたくない
だけど
何かを感じたい

そうだ あれは詩だよ


最初の遊び(物語誕生)

2020-06-02 21:24:00 | 忘れものがかり
 信念は壁を壊す。人参を徹底的に煮込むことによって人間ができるように。憧れが創作へと導くと人間はテーブルに4本脚をつけた。最初のテーマは真似ることだった。すぐに成果はみえなかった。つけ方を変えてみても、いくらか寝かせてみても、結果は変わらない。テーブルはテーブルのままだった。動物に進化することはなかった。鳴き声をあげたり駆け出すことはできず、部屋から飛び出していく光景はみられなかった。人間は現実に獣を創り出すことはできなかった。
 人間はテーブルの上にノートを置いた。物語の中で豚を羊を馬を猫を狼を猿を犬を自由に動かし始めた。それが人間にできることだった。


初夏の隣人

2020-05-21 07:37:00 | 忘れものがかり
少し前まで
全身で求めていたものが
ベッドの片隅に追いやられている

そのままどこにも行かない
厚い毛布は
終わってしまった恋人のようだ
いつまでも手つかずのまま
少し邪魔で少し気になる

「もうそろそろ片づけないとね」
そう思ったまま
ずっとずるずるとして

雲が初夏を運んでくる



アルバムはここに

2020-05-20 23:11:00 | 忘れものがかり
好きなバンドが解散した/


仲違いしたから

疲れたから

家業を継いだから

燃え尽きたから

大人になったから

引っ越ししたから

作家になったから

地球が吹っ飛んだから

夢をみつけたから


/解散したバンドを好きになった

寂しいよ/寂しくないぜ


アルバムはここにある

私の保護者

2020-05-11 01:25:00 | 忘れものがかり
私たちは私を取り巻くものたちを
周到に調べ上げた

私たちによって導かれた結論は
私だけを助けてくれた

ありがとう
私だけを愛する私たちよ

法も正義も飛び越えて
私は私が一番かわいい

 追いつめられて不幸にもなくなった人へ
 私はせめて(私のために)
 申し訳なく思う

今更ながら
私たちは私を取り巻くものたちを
常識にとらわれて調べることはできない

かつてないことがあった
もしも不都合な真実が含まれるなら
私は一番に隠したい
(結論が変わることは絶対にあってはならない)

必要か必要でないか
それは何より
私にとってなのであります

私は私を守りたい
私と私だけを愛するものを守りたい

法も正義も飛び越えて
私は私が一番かわいい


ぼくだよ(締め切り)

2020-04-29 02:42:00 | 忘れものがかり
 いいなと少し思っても一気にすべてをつかみ切ることは難しい。ほんの少し触れたところで一旦置いて離れてしまう。心の片隅に置いたままで日常の中に戻っていく。もしも本当に自分にとって大切なものなら、簡単に消えてしまったりしないはず。離れて暮らす時間は本心を見極めるための必要な時間でもある。(最愛のものならばより強い形になって自分の元に戻ってくるだろう)離れているようでつながっている。ぼくらを結ぶ絆は決して永遠ではない。
 今日は新しい友達を待たせていた。

「ごめん。今日はちょっと……」
 友情を育むことは難しい。(一度で切れる友情ならいらない)それよりも大事なものをいくつも闇の向こうに待たせているからだ。きらきらとしたネオンの中に包まれるより、芳醇なアルコールの中に溶け込んでいくよりも大事なもの。
 今夜また一つの締め切りを迎える。
 ずっと寝かせていたけれど、ここで起こさなければ二度と目覚めることはないだろう。今になってわかる。失いたくない。まだ何も手にしていないけれど、跡形もなく消えてしまう前に生み出すのだ。
 寝室のドアを開けて約束のページに灯りを当てた。

「どちらさまですか?」
 つれない返事。
 詩はすっかり冷たくなっていた。
(ああ。またそんな態度をするの)

「ぼくだよ」
 きみはぼくだよ。


もどかしい仕草

2020-04-28 08:45:00 | 忘れものがかり
目を見開いて驚きを
耳を立てて警戒を
鼻を輝かせて歓迎を
口を開けて当惑を
尾を振ってよろこびを
足を鳴らして怒りを
舌を出して渇きを

私たちは
ここにあるものを使って
何かを伝えることができる

道の向こうで
あの人は手を振っている

「何?」
どうした?

わからない
さっぱりわからないよ

ああ
もどかしい


名店はホームの上に

2020-04-22 02:56:00 | 忘れものがかり
 テレワークが浸透したためか、夜のホームは山口駅のように人が少なかった。その昔、人気のないホームの上にあのうどん屋はあった。ホームに立つ人も疎らなのに夜も遅くまで開いていた。電車を30分、1時間と待つのは当たり前のことだった。
 がらがらと扉を開ける。(いや扉などなかったか)
 肉うどんを注文するとおばあさんが(おばあさんではないかもしれない)手際よくうどんを作ってくれる。

「はい、どうぞ」(無言だったかもしれない)

 昇る湯気、出汁の香り。七味唐辛子を振り入れてうどんを啜る。抵抗なく喉を通る麺。器を抱えて出汁を飲む。熱い。そして旨い。(旨いと目の前の人に伝えたい)僕は黙って息を吐く。それからもう一口。次の電車がくるまで15分余り。うどんならゆっくり食べても十分に間に合う。この出汁はどこから出ているのか。肉からか? それもあろう。鰹と昆布からか。それとも作っている人が持つ特別な何かが……。どんな堺筋のうどんよりも、どんな千日前のうどんよりも、どんな南のうどんよりも、どんなバカでかい器のうどんよりも、確かにそれは旨かったのだ。電車がくることが惜しいくらいだ。一口飲む毎に感動が押し寄せる。もちろん出汁は最後の一滴まで。ごちそうさま。(少年は無言で丼を置いて店を出る)
 あれは本当だったろうか。ホームだから、電車を気にしていたから、夜だったから、風が吹いたから、まだ舌が幼かったから、記憶が旨く盛られているのかもしれない。(もう確かめることはできない)

 ある時、うどん屋は突然なくなってしまった。
 僕がそうなる事情を何も知らなかったからだ。


日曜のばあちゃん

2020-04-18 21:20:00 | 忘れものがかり
日曜日はいつも他と違う
隅っこに追いやられている
赤く色づいている
担当者がいない
のんちゃんがおやすみ
手数料を取られる
ドアが閉ざされている

いいな ばあちゃんはずっと日曜日で
(僕はばあちゃんの子供時代を知らなかった)
いいな 学校がなくて

いつもばあちゃんは一人で畑に出ていた
日が暮れて帰ってくると人形のように座っていた
怒ったとこなんて見たことがない
何があっても笑っていた



背中を押すパワー

2020-04-18 06:40:00 | 忘れものがかり
 どうしても箸が進まない。
 そのような状態にはまる時がある。
 前回の食事からは十分な時間が経過している。あれこれ思考を巡らせて、ずっとキーボードを叩いていた。だけど、胸がいっぱいだ。今日は駄目な日かもしれない。不安を引きずったまま、弁当箱の蓋を開ける。
 中から現れた肉と玉葱には、黄金の味がかかっている。
 重々しい箸を、その一切れにつけてみる。

(ああ、そうだ。これだ)

 気がつくと休みなしに箸が動いている。
 黄金の味によって動かされている。
(あの不安は何だったのだろう)
 不安だから助かったのかもしれない。不安だからこそ今がうれしいのかもしれない。
 考えてみればいつもそうだ。
 何もできなくなったという時にそれは決まって現れて、何かをさせるようにするのだ。
 そんな不思議な力によって私は生かされているようだ。

産地直送

2020-04-09 20:48:00 | 忘れものがかり
へい Siri どう思う?
はい それはこの上ないプレゼント!

うれしいな
心の底からうれしいな

どこにもなかったマスクが
ライフにも キリンにも ダイコクにも
マツモトにも スギにも イオンにも
タカシマヤにも 商店街にも

1枚じゃない
2枚だぜ!

へい Siri やることが違うね
はい それは躊躇ないプレゼント!

やったじゃないか
おい やったじゃないか
おい よくやったじゃないか

1枚は大事に置いといて
もう1枚を大切に使おう

マスクをつけてどこに行こうか
学校へ行こうか
会社に行こうか
行楽に行こうか
ドラッグストアにマスクを買いに行こうか
(いやもうそんな必要はないんだ)

散歩に行こう
ジョギングに行こう

へい Siri?
はい それはこの上ないプレゼント!

そうだ区役所に届けに行こう
わーっ! 
(人がいっぱいだー!)
やっぱり
家にいるのが一番かな

ねえ Siri 季節外れのサンタクロースだね
はい それは真っ赤なお鼻のトナカイさん!

うれいしいね
心の底よりうれしいね

手をたたき踵を鳴らし
この喜びを表現しよう

おい やったじゃないか
やっぱりすごいじゃないか

愛よりも理想よりも
何より形あるプレゼント

はい それは手応えのあるプレゼント!

ついについに
あのマスクがやってくる

1枚じゃない
2枚だぜ!
イエーイ! Baby!

1枚を洗濯している時だって
もう1枚は無事だよ

おい すごいじゃないか
おい ほんとすごいじゃないの

へい Siri?
はい それはお金にかえられないプレゼント

イエーイ!


横断歩道のメロディー

2020-04-07 00:21:00 | 忘れものがかり
不思議な横断歩道がやってきて
不思議なメロディーを奏でる

誰も渡らない

どこかで聞いたことが……
あるようないような
メロディーがみんなを
苦しめて
楽しませて
もやもやとさせて

ゆっくりゆっくり小さくなって

横断歩道は次の町へ飛び立っていく