眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

宝くじに当たる

2023-06-30 09:02:00 | 忘れものがかり
途方に暮れている母を
遺品に紛れた宝くじに引き込んだ
束の間ならば現実を離れられる
ジャンルというものもある
(それにしてもどうして未開封なのか?)

1等から順に確かめる
大当たりなんて認めないと母は言う
兄の命には見合わないからだ
(100万円までなら許すらしい)

案の定 まるで当たりくじは出てこない

手つかずのままのスクラッチを10円玉で削る
母は表面の銀のみならず絵柄まで削ってしまう
(力を込めすぎだ)

やっぱり 全部駄目だった

削りかすで真っ白になったテーブルの上に
コードレスの掃除機を滑らせた

母が使いこなせない奴

(なぜ?) 今はそう問うこともなくなった


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