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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ヒーローショーのブルー

2013-10-21 23:14:33 | ショートピース
最初に登場した熊のような生き物が踊ったり歌ったりする度に、みんなは手拍子をして盛り上がったけれど、僕はじっと固まっていた。仲間の獣が加わり校長先生のようなジョークを言って爆笑を誘ったけれど、僕は時計を見つめていた。終演時刻が迫る中、任三郎さんは未だに現れなかった。#twnovel

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言葉の窓

2013-10-15 16:22:30 | ショートピース
中に入りたいという意志がコツコツと執拗に叩き続けている。微笑をみせ受け入れてしまえばどれだけ楽かわからなかったが、意志に屈してしまえば良心はもう戻ってはこないのだ。長い夜を越えることによって闘いは終わりを告げた。そう思って窓を開くと「言葉」は黙って入り込んできた。#twnovel

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ブラック・ゲスト

2013-10-08 21:26:16 | ショートピース
答のない1日の終わりに現れた小さな友人が「そろそろ掃除くらいしたら?」と言う声にも無視を決め込んでいたのは、自分自身との対話に疲れ切っていたせいだ。「私は誰だ? ここはどこ? これからどうするの? 私が現れたことの意味は?」虫の繰り出す謎々の中で夜は更けていった。#twnovel

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アホウの贈り物

2013-10-01 12:46:11 | ショートピース
「あなたが国民から選ばれました」と寝耳に水の声。「早速100万円の登録料をお願いします」引換えにすぐ議員バッジを届けると言い放つ電話の男。「議員になればすぐに回収できますよ。税金でね」悪くない話に乗って、私は銀行へと向かった。私を選ぶなんて、どこのアホウだろうか。#twnovel

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起床

2013-09-25 07:44:35 | ショートピース
どうすれば上手く眠ることができるのか。若者はあらゆる獣を数え、あらゆる子守唄を聞き、あらゆる退屈な本を読むことを繰り返した。長年の努力が実を結び、ようやく眠りの核心に触れる頃、見えてきたのは安らかな永遠へと続くスロープだった。明け方、鶏の鳴き声で老人は目覚めた。#twnovel

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インスタント店長

2013-09-20 11:12:14 | ショートピース
入店して3分も経つと私は店長になった。「私が店長の綿鍋です」という他にも店長は現れて、我も我もと店長は名乗り合い、競い合って働いた。「店長を出せ!」と誰かが叫ぶと皆一斉に集合し、深く頭を下げた。私たちは皆で協力して店長の責任を背負いながら、休む間もなく働いている。#twnovel

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いとをかし

2013-09-19 12:57:01 | ショートピース
もう赤くはない。運命を帯びていたはずの縁からはどこかですっかり外れ、私はどこにもつながらず、どこにも編み込まれることなく、ただ空気を読んで漂うばかり、今は見知らぬ紳士の肩を借りて一休みしているところだ。「糸くずがついていますよ」親切な人が私の存在をあえて口にした。#twnovel

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エヴァードッグ

2013-09-17 12:57:53 | ショートピース
同期が完了すると一緒に散歩を始めた。巧みな犬コントロールを見せるおばあさんの足元から、犬は一定の距離を保って動く。角を曲がった時だった。「パスワードの再設定を。」メッセージと共に、犬は消えてしまった。「サイバー攻撃だ!」おばあさんは慌てて町の動物病院に駆け込んだ。#twnovel

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初秋

2013-09-11 08:13:43 | ショートピース
毎日毎日、寺に通い詰めて1つ1つ自分の中の弱い心を追い出していきました。日々は過ぎ、私の中に千のあきが流れ込んで、ついに生まれ変われる時が訪れました。「新しいあなたにバージョンアップする準備が整いました」私はあきと過ごした月日にさよならを告げ新しい明日に踏み出す。#twnovel

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一夜のガバナンス

2013-09-04 08:41:06 | ショートピース
犬の鳴き声で目覚めてカーテンを開けると外の大臣がすっかり変わっている。「僕ちょっと見てくる!」突然訪れた政治への目覚めを止めることはできない。「すぐ帰るのよ」冷たい風の中を、駆け出していく。「不祥事ではないがガバナンスが悪い」朝のコメンテイターが真剣な顔で述べる。#twnovel

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エンディング

2013-09-02 07:20:14 | ショートピース
「あの子だけはどうしても守りたかった」崖っぷちに立ってヒロインはあらましを述べる。「あの時は他にどうすることもできなくて」目はナイフのように潤んでいる。「まあ立ち話もなんですし」共感を示しながら腰を折ると脇役は身を投げた。続いてペンギンたちも次々と海へ飛び込んだ。#twnovel

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モトカノ

2013-08-28 09:00:10 | ショートピース
深く落ち込んだので原点位置まで返って詩人の家の扉を叩いた。回復に必要な言葉を選び取って、いつかのように詩人の手元に預けようとした。「もう詩はやめたんです」ごめんねと女は言った。「3年前に」冷たく突き放すのではなく、温かく包み込むような微笑の中に3年の歳月が流れる。#twnovel

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夏のあかり

2013-08-26 11:55:13 | ショートピース
全ての取り扱いを終え何人も招くことのないATMの光に吸い寄せられやってきたカブト虫は、夏の残高を照合しようと透き通る壁に張り付いた。「ずっと待っていたよ」微かな角の動きで少年は目を開いた。「君は僕の最後のカードになるんだ」少年の網が甲冑の王を捕らえようと近づいた。#twnovel

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気配は猫である

2013-08-21 08:07:20 | ショートピース
瞬時に本質を見極めることは難しい。猫は置物のように自分を消して固まることができるし、置物も猫のように愛らしくポーズをとることがあるからである。しばらくしても動かないのでこちらから話しかけてみる。「ねえ君、名前は?」猫または置物に近寄って様子を窺う。返事はまだない。#twnovel

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死語感想文

2013-08-19 11:56:52 | ショートピース
あなたは誰ともしゃべらなかった。あんなにも大勢の人の中にいて、勿論それはあなたが死んでいたから。あなたはすぐに書かなければなりません。時間が経つと生身の熱がすっかり冷めてしまいますから。もう冷たくなっているですって? 心配は要りません。生まれ持っての資質ですから。#twnovel

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